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2010/04/28

独断的映画感想文:ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~

日記:2010年4月某日
映画「ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~」を見る.01
2009年.監督:根岸吉太郎.
出演:松たか子(佐知),浅野忠信(大谷),室井滋(巳代),伊武雅刀(吉蔵),広末涼子(秋子),妻夫木聡(岡田),堤真一(辻),光石研,山本未來.
映画の冒頭,深夜の道を走る和服に下駄の男,息を切らしてとある家に駆け込むと座敷に上がり抽斗を探る.この家の主,小説家の大谷である.
大谷は馴染みの酒場椿屋から売り上げを奪って逃げてきたのだ.後を追ってきた主人吉蔵夫婦を刃物で脅すと,妻佐知を残して飛び出してしまう.
佐知は翌日から椿屋に働きに出ることにした.11
大谷は売れっ子の作家だが,執筆料は全て飲んでしまい,浮気は数知れずという放蕩もの.椿屋には奪った金と別に2万円からの付けがたまっていた.
椿屋は若い佐知が働きに出るといよいよ繁盛,主人夫婦も佐知を大事にする.
一方大谷は働きに出て美しさを増す佐知に妄想的な嫉妬心を抱く有様.ある夜,勤めの帰り,佐知は電車で初恋の男辻と出会った….
破滅型で甘えん坊の作家と美しくしっかり者の妻.
03
いよいよ破滅に突き進む自分自身への恐怖さえ感じる夫に対し,妻は現実的で理性的,時にしたたかでさえあるが,二人をつなぐのが「愛」であることは間違いあるまい.
そのような状況を丁寧に描いていく佳作である.
俳優はいずれも好演.松たか子の存在感は印象的.
浅野忠信は,放蕩に熟練した(しかし)傷つきやすい男を過不足なく演じている.椿屋の主人夫婦も素敵.
特筆すべきは「坊や」を演じる子役であろう.如何にも昭和20年代にいたかも知れない,痩せたはかなげな2歳児を,良く見つけてきたものである.14
物語の背景となる昭和20年代という難しい時代を,椿屋という酒場や,省線(当時中央線はこう呼ばれていた様だ)の乗客等を通じて描いていくやり方は秀逸.味わいのある映画である.
★★★☆(★5個が満点)
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