独断的映画感想文:世界で一番美しい夜
日記:2010年4月某日
映画「世界で一番美しい夜」を見る.
2007年.監督:天願大介.出演:田口トモロヲ(水野一八),月船さらら(檜原輝子),市川春樹(ミドリ),松岡俊介(石塚),美知枝(〆子),斎藤歩(鬼塚健児),江口のりこ(テレサ),佐野史郎(遠藤),菅田俊(原(組長)),鴇巣直樹(醜い男),山崎一(窪田),小林麻子(アカネ),若松武史(平野(宮司)),大河内浩(笠松(村長)),神戸浩(久保(校長)),柄本明(ジャーナリスト),角替和枝(乞食の老婆),三上寛(権三),石橋凌(二瓶欽一).
日本で一番出生率の高いということで総理大臣から表彰されることになった要村.
この漁村がそうなった原因は14年前にさかのぼる.
上司に反抗しこの村の支局にとばされてきた水野,同じ左遷組の同僚と馴染みのスナックに通ううちに,そこの美人ママ輝子の前夫と元の婚約者がいずれも心臓発作で死んでいることを知る.スクープをものにしたら本社に帰れるかと勇み立つ水野.
一方人里離れた湾に浮かべた船で怪しい爆弾(?)の製作に励む二瓶は元過激派.幼なじみの輝子を恋しながら,縄文人のセックスパワーを現代人に甦らせる研究に励む.
ところが輝子が実は不思議な超能力を持つことが判り,話は思いがけない方向へと突き進む….
寓話的映画である.言いたいことは只一つ,セックスが世界を平和にする,ということらしい.
そのこと自体は目新しいことでもないが,長尺の映画をさして退屈せずに見られたのは,ちょこまかと展開される諸々のエピソードが結構面白いのと,俳優達のキャスティンのおかげであろうか.
スナックのママ輝子を演じた月船さららが良かった.物静かな美人ママ変じて不気味な超能力者,実は…と言う変幻自在なキャラクターを演じて見応え有り.
彼女の恋人を演じた石橋凌も迫力有り.
三上寛が昔と(40年程前と)全く変わらず素のキャラで熱演,良い声しています.
映画は紆余曲折を経て,「世界で一番美しい夜」という結末を迎えるのだが,この「世界で一番美しい夜」ということは,概念的な美しさを意味しているのであった.
しかし僕としてはここは映像的な美しい夜を是非とも(嘘でも良いから)演出して欲しかった.そうすればこの映画の寓話性ももっと力強くなったかと思うのだが.
夜のとばりに包まれた漁村の上に,何処までも広がる濃紺の空,次第に数を増しやがて燦然と輝く無数の星達.
題名は大事にしなきゃね.
惜しいって言うところで★★★(★5個が満点)
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