独断的映画感想文:悪名
日記:2010年3月某日
映画「悪名」を見る.
1961年.監督:田中徳三.
出演:勝新太郎(朝吉),田宮二郎(モートルの貞),中村玉緒(お絹),中田康子(お千代),水谷良重(琴糸),浪花千栄子(麻生イト),山茶花究(吉岡).
昭和初期の八尾を舞台に,独立系やくざもの朝吉とモートルの貞の男ぶりを描く活劇.
やたらと喧嘩に強く,度胸と腕っ節は人並み外れた朝吉と朝吉を兄貴と慕う貞が,それぞれ恋女房を持ちながら芸者琴糸の足抜きを義侠心から助ける活躍を描く.
ところで,モートルの貞は八尾のやくざの子分として登場するから出自はそれなりに明らかなのだが,朝吉というのは謎の人物ですね.
原作ではどうなっているのだろうか,映画から理解できるのは,正業に就かずやくざでもなく,喧嘩は強く男度胸は人一倍,酒はからっきしなのに女にはやたらもて,そうそうたる親分連中相手に渡り合う.
およそ世の中にそんな人はいないであろう.
一体何をして金を得ているのか,どこで男を磨いたのか,一切不明.
まあそんなことはどうでも宜しいというところから映画はスタートしているのだろうが,そこは最後まで釈然としない.
映画の展開は痛快で,時のたつのを忘れる.特に田宮次郎と勝新のからみは絶妙で,この映画が直ちにシリーズ化されたのも納得がいく.
俳優の魅力が堪能できる映画である.
★★★★(★5個が満点)
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