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2010年5月に作成された記事

2010/05/23

独断的映画感想文:ジェイン・オースティン 秘められた恋

日記:2010年5月某日
映画「ジェイン・オースティン 秘められた恋」を見る.4
2007年.監督:ジュリアン・ジャロルド.
出演:アン・ハサウェイ(ジェイン・オースティン),ジェームズ・マカヴォイ(トム・レフロイ),ジュリー・ウォルターズ(オースティン夫人),ジェームズ・クロムウェル(オースティン牧師),マギー・スミス(レディ・グレシャム),ローレンス・フォックス(ウィスリー氏),アンナ・マックスウェル・マーティン(カサンドラ・オースティン).
18世紀末の英国の田舎を舞台にした6編の長編小説で知られる,ジェイン・オースティンの伝記的物語.7
牧師一家の末娘ジェインは文章を書くのが好き,姉カサンドラの婚約者を迎えた夕食会で姉への言葉を朗読するが,その内容を兄の友人トム・ルフロイにこっぴどくけなされてしまう.
激しく反発するジェインだったが,トムの破天荒な行動にやがて惹かれていく.
一方,母親は近くに住む富豪グリシャム夫人のただ一人の甥,ウィスリー氏とジェインを結びつけようと,活動を開始する….3
愛のない結婚など考えられないという進歩思想の持ち主ジェインが,ウィスリー氏のプロポーズをいったんは受け容れながら,生涯ただ一度の愛に飛び込んでいくその結末はどうだったか.
本人の小説そのままの堅苦しい18世紀英国の田舎の世界.その世界で必死に自分の生き方を探すジェインの行動に引きつけられる.6
アン・ハサウェイが美しい.
しかし,ジェイン・オースティンの映画でいつも思うんだけど,ジェインは身分もなく財産もないと決めつけられるが,そうするとジェインの家で働いているメイドや農園や庭園で働いているおばさん達は一体どういう身分なんでしょうね.奴婢か農奴かしら.
英国の階級社会も奥が深いものである.2
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:新・平家物語

日記:2010年5月某日
映画「新・平家物語」を見る.04
1955年.監督:溝口健二.
出演:市川雷蔵(平清盛),久我美子(時子),林成年(藤原時忠),木暮実千代(泰子),大矢市次郎(平忠盛),進藤英太郎(伴卜),菅井一郎(木工助家貞),千田是也(左大臣頼長),柳永二郎(白河上皇),羅門光三郎(了観),夏目俊二(鳥羽上皇),河野秋武(平六),石黒達也(藤原時信),中村玉緒(藤原滋子),十朱久雄(関白忠通),沢村国太郎(如空).12
平安末期,租税を免除された荘園を持つ寺社や公家の力が増し,天皇の御所の力は衰え院の御所との間に勢力は均衡する.
平氏の棟梁忠盛・清盛親子は西海の海賊を平らげて帰還したが,公家の阻止により恩賞も授けられなかった.
そんな中,清盛は藤原時忠の娘時子と知り合い,また西海を経由した貿易を進めようとする商人伴卜の知遇を得る.しかしその伴卜から,自分の出生の秘密を聞かされ動揺するのだった….15
崇徳天皇と鳥羽上皇の対立する中,新興勢力武士の台頭を抑えんとする公家達,武力で都を制圧する僧兵等と対抗しつつ溌剌と活躍する清盛達若き武士の一統の姿を描いて,痛快時代劇とはまさにこういう映画を言うのかと印象深い.14
市川雷蔵が何と言っても魅力的だが,脇を固める実力俳優始め,都らしい山並みを背景に築かれたオープンセットや,都大路を埋め尽くす群衆シーンの見事さが,この時代の日本映画の隆盛・勢いを感じさせる.
久我美子や木暮実千代も充実した美しさ.時子の妹で出演している中村玉緒が愛らしい.
見て損はなし.08
★★★★(★5個が満点)
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2010/05/18

独断的映画感想文:私の中のあなた

日記:2010年5月某日
映画「私の中のあなた」を見る.06
2009年.監督:ニック・カサヴェテス.
出演:キャメロン・ディアス(サラ・フィッツジェラルド),アビゲイル・ブレスリン(アナ・フィッツジェラルド),アレック・ボールドウィン(キャンベル・アレグザンダー),ジェイソン・パトリック(ブライアン・フィッツジェラルド),ソフィア・ヴァジリーヴァ(ケイト・フィッツジェラルド),ジョーン・キューザック(デ・サルヴォ判事),トーマス・デッカー(テイラー・アンブローズ),ヘザー・ウォールクィスト(ケリーおばさん),エヴァン・エリングソン(ジェシー・フィッツジェラルド),デヴィッド・ソーントン(ドクター・チャンス).
アナはフィッツジェラルド家の次女,姉のケイトは白血病である.07
ケイトが発病したとき,両親はケイトのドナーとなるべき最適の遺伝子を持った子供を作る決断をした.その操作の結果生まれたアナは,幼児の時から骨髄の提供を始め姉のために様々な犠牲を払ってきた.
しかしケイトの白血病は止むことなく進行し,腎不全に陥ったケイトのため,両親はアナに腎臓の提供を求める.ところがアナは貯金をはたいて弁護士を雇い,腎の提供を拒否して両親を訴えるという行動に出る….
ドナーとして製造された子どもがドナーになることを拒否して親を訴える,という一見センセーショナルな物語に見えて,実はこの映画は深い家族愛の映画である.
主役は母親サラでもアナでもなく,ケイトであろう.02
自分の人生の夢や希望は何か,ということを深く考えさせる映画である.
サラの夢は自分の天職であった弁護士ではなくケイトの生存であった.ではケイトの夢は何か,そしてアナが姉の生存を脅かしてまで臓器提供を拒否する訴えを起こす理由は何なのか?一家の長男ジェシーの夢は何か?
これらの問いに映画が示す答えのそれぞれの映像には,涙を禁じ得ない.
俳優は皆好演,特にソフィア・ヴァジリーヴァが素晴らしい.
また,消防士である父親ブライアンを演じるジェイソン・パトリックも素敵.
映画の時間的経過が時々混乱するのは残念.05
キャメロン・ディアスが化学療法で髪の毛の抜けたケイトのために自分もスキンヘッドになるシーンがあるが,スキンヘッドは一時だけで前後はまたロングヘアーになってしまうのが,時間経過を混乱させる一因かも知れない.
でも一見の価値ある映画.03
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:眠狂四郎無頼控 魔性の肌

日記:2010年5月某日
映画「眠狂四郎無頼控 魔性の肌」を見る.3_2
1967年.監督:池広一夫.
出演:市川雷蔵(眠狂四郎),鰐淵晴子(ちさ),成田三樹夫(三枝右近),久保菜穂子(おえん),長谷川待子(志乃),木村俊恵,金子信雄.
かってポルトガルから天草四郎に贈られたというマリアの黄金像.そのマリア像を京都の公家に届けるという幕臣の朝比名修理亮は,黒指党と名乗る一味に狙われ,一人娘のちさを介して眠狂四郎に京都までの護衛を依頼する.5
一旦断った狂四郎だが,自分の姉が病気だと知らせに来た女性が黒指党に殺されたことから,京都行きを引き受け,ちさと共に旅に出るのだった….
とにかく出てくる女が次々に肌身を開いては狂四郎に迫ってくるというご存じの展開.黒指党に関係があろうがなかろうが,降りかかる険難女難をことごとく切って捨てる狂四郎の魔剣が冴える.
朝比名が何故京都に行くのかも,黒指党は何故マリア像に執着するのかもよく分からずじまいだが,そんなことはまあどうでも良いことで(何故?どうして?は言わないこと),市川雷蔵のニヒルさ,その鋭い視線が実に魅力的.6
鰐淵晴子の可憐さ,長谷川待子の悪女ぶり,成田三樹夫の悪玉ぶりがそれぞれに印象的である.
終盤の殺陣も力が入って見応え有り.
シリーズも9作目だから,狂四郎の出自等を含め,観客に対し「皆さんご承知の通り」とばかりに説明抜きに語られる部分が,多少気になる.1_2
★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:私がクマにキレた理由(わけ)

日記:2010年5月某日
映画「私がクマにキレた理由(わけ)」を見る.1
2007年.監督:シャリ・スプリンガー・バーマン.
出演:スカーレット・ヨハンソン(アニー・ブラドック),ローラ・リニー(ミセスX),アリシア・キーズ(リネット),クリス・エヴァンス(ハーバード大生),ニコラス・リース・アート(グレイヤー),ドナ・マーフィ(ジュディ・ブラドック),ポール・ジアマッティ(ミスターX).
父のいないアニーは看護師の母の奮闘でようやく大学を卒業,就職活動に入るが最初の面接で大失敗.セントラル・パークで呆然としているとき,たまたま事故に遭いかけた少年グレイヤーを助ける.
その母ミセスXは彼女の名前をナニー(子守)と勘違いし,アニーはX家にナニーとして雇われる.
母には企業に就職したと嘘をつき,アニーは子守の仕事を始めるが,休みはなくグレイヤーはなつかない.X家の父親は仕事と浮気に夢中で家を顧みず,母親は夫の気を引くための自分磨きに夢中で子供はアニーに任せきり.3
アニーとグレイヤーは次第に心を通わせる.
X家と同じアパートに住むハーバードのハンサム大学生とも友人になったのだが….
自分探し中のアニーの,ナニーとしての悪戦苦闘を描く.
ナニー達の言い分やマンハッタンのセレブ家庭の奥様方の言い分が紹介されていてなかなかに面白い.
ラブコメというよりは,アニーの成長物語だが,ちょっと垢抜けない普通の女性を等身大に演じるスカーレット・ヨハンソンが魅力的である.
アニーの決してめげずに奮闘する前向きなキャラクターも好印象.
格差社会アメリカの実態には吃驚するけれど,あまり悪い人が出てくる映画ではなく,エンディングも爽やかである.2
特にアニーと同世代の女性には共感を呼ぶかもしれない.
原題「ナニーの日記」に比べ,邦題は凝りすぎである.クマというのは,ナニーの監視カメラを仕込んだテディベアのことなのだ.
★★★☆(★5個が満点)
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2010/05/08

独断的映画感想文:それでも恋するバルセロナ

日記:2010年5月某日
映画「それでも恋するバルセロナ」を見る.005
2009年.監督:ウッディ・アレン.
出演:ハビエル・バルデム(フアン・アントニオ),ペネロペ・クルス(マリア・エレーナ),スカーレット・ヨハンソン(クリスティーナ),パトリシア・クラークソン(ジュディ・ナッシュ),ケヴィン・ダン(マーク・ナッシュ),レベッカ・ホール(ヴィッキー),クリス・メッシーナ(ダグ).
実はウッディ・アレンの映画はこれが始めてである.
この監督の映画はたいてい予告編で恐れ入って,見るところまで行かなかった.004
この映画は昔からあるパターンの現代版と見える.ヨーロッパの古い町を舞台に,自由で奥深いヨーロッパの芸術家と巡り会うアメリカの底の浅いインテリというパターン.
この映画では,アメリカの現代的かつ保守的な考えのおねーちゃん(ヴィッキー)と,同じくアメリカの現代的いけいけねーちゃん(クリスティーナ)のコンビが,スペインの画家ファン・アントニオにナンパされ,それぞれアメリカ人らしい葛藤を演じて恋愛沙汰の挙げ句無事母国に帰っていくという話.
それにヨーロッパ芸術系の申し子の様なエキセントリック・ねーちゃんマリア・エレーナが絡んで,恋愛での勝負はヨーロッパ組の圧勝という形.007
更にこれに絡んでくるヴィッキーの亭主と来た日には,典型的なアメリカビジネスマンを演じて(損な役回りですね),観客を辟易させる.
このヨーロッパ対アメリカの図式は今に始まったことではないが,この映画でもペネロペ・クルスが他の2人を圧倒している.
日本人の僕から見れば,そういう図式のラブコメに見えるのだが,この映画はアメリカ人からはどう見えるのだろうか?002_2
こういう映画にはアメリカの人が「自虐史観だ」と文句をつけないのだろうか?ウッディ・アレンの視点は僕にはどうもそう見えるのだが.
アメリカとヨーロッパの関係は度し難し.
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独断的映画感想文:ウルトラミラクルラブストーリー

日記:2010年4月某日
映画「ウルトラミラクルラブストーリー」を見る.009
2009年.監督:横浜聡子.
出演:松山ケンイチ(水木陽人),麻生久美子(神泉町子),ノゾエ征爾(田中太),ARATA(島田要),齋藤咲良(奈央),竹谷円花(志乃),米田佑太(小太郎),中沢青六(種市園長),キタキマユ(薫先生),野嵜好美(里歌子先生),乗田夏子(佐藤チネ),宇野祥平(小太郎の父),小野寺陸(男子小学生),藤田弓子(三上のカミサマ),原田芳雄(三沢医師),渡辺美佐子(柴田もつ).
母と二人で有機農業をやっている陽人の村に東京で恋に破れた町子がカミサマのお告げを聞くためにやってくる.002
町子はそのまま幼稚園の先生として働き始めるが,陽人は町子に一目惚れし,猛烈なアタックを開始する….
こう書けばなんかまともな映画のようであるが,この映画はむちゃくちゃな映画である.
冒頭の画面,ラジオ(?)から流れている言語が何語かわからないまま,ゴミためのような部屋が映される.そのうち目覚ましの音と共にゴミの一部が動き出し,松山ケンイチが同様に不明な言語で叫び始める.
この言語はどうもネイティブな津軽弁らしいということがやがて判るが,登場人物が何を言いあっているかは殆ど判らないまま映画の3分の一くらいは経過する.
水木陽人という人物は,物語の都合上,当初は馬鹿という設定で登場するが,乱暴狼藉言語不明やることむちゃくちゃストーカー状態という並の馬鹿とは言い難いとんでもない人物.003
その陽人が小学生のまねしてキャベツ畑に首だけ出して埋まってみたら小学生に農薬をたっぷりかけられてしまい,そうしたら何と頭が良くなってきたので,陽人は自身で農薬を調合し浴び続ける…という展開となる.
マツケン自身がまあのびのびと気持ちよさげに演じているのが救いだが,僕にはついて行けなかった映画.特に最後の落ち(?)は何がなにやら.
向き不向きで言えば明らかには僕に向いていませんでした.世の中にはこういう映画もあるんだ.
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