独断的映画感想文:パブリック・エネミーズ
日記:2010年7月某日
映画「パブリック・エネミーズ」を見る.
2009年.監督:マイケル・マン.
出演:ジョニー・デップ(ジョン・デリンジャー),クリスチャン・ベイル(メルヴィン・パーヴィス),マリオン・コティヤール(ビリー・フレシェット),ビリー・クラダップ(J・エドガー・フーバー),スティーヴン・ドーフ(ホーマー・ヴァン・メーター),スティーヴン・ラング(チャールズ・ウィンステッド).
1930年代に一世を風靡した(?)実在のギャング,ジョン・デリンジャーの生涯を描く.
銀行の金は奪うが民衆の金は奪わない,警官隊とは銃撃を交えるが市民は殺さないというスタイルのジョンは民衆の人気を得ていた.
FBIの前身たる組織を立ち上げていたフーバーは,捜査官パーヴィスを抜擢してデリンジャー逮捕を命じる.
一方ジョンは,クラブのクローク係ビリーと,運命的な恋に落ちる….
この映画の魅力はまず,ジョンとビリーの恋.
ビリーに一目惚れしたジョンは「ギャングのジョン・デリンジャーだ.俺の女になれ」と言う.結局その言葉でビリーはクロークを離れ彼についていくのだ.1930年代ってどういう時代なんだろう?
そういえば,銀行ギャングというアメリカが発達させた犯罪もこの時代のものだ.ジョンはこの分野の一流だと自称している.ジョンは確かにこの荒っぽい犯罪で成功するスタイルを守っている.
それは規律とストイシズムだ.
ジョンは,逆上して看守を射ち仲間が命を失う原因となった部下を制裁し,追放する.ジョンは薬もやらず酒に溺れず,ひたすらビリーを思い続ける.
この様に描かれるジョンの個性も,映画の魅力の一つだろう.
もう一つの魅力はメルヴィン・パーヴィスとの対決である.思いがけない手入れで逮捕され,初めてメルヴィンと会った時,お互いに撃たれた部下の死を看取った経験のある者同士としてジョンがメルヴィンにかけた言葉が印象的だ.
「俺は慣れているが,おまえは大変だな」.
その言葉通りなのか,ジョンが射殺されて数年後にメルヴィンは自殺したという.
強い光を放ちながら死に向かって疾走していく者達のドラマが,強烈に描かれる.
音楽も素敵,1926年に作られたジャズ・ナンバー「バイバイ ブラックバード」の印象的な使われ方が心に残る.
★★★★(★5個が満点)
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