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2010年8月に作成された記事

2010/08/17

何時の間にやら早6年:10万アクセス突破

日記:平成22年8月某日

このblogも6年前に開始して以来早6年を経過,7年目に入っていることに今日気がついた.猛暑とは言え,ぼーっとしていたものである.
アクセス数もいつの間にか10万を超えており,最近の平均アクセス数を見るに,今年の6月頃,10万アクセスを突破したらしい.これもとんと気がつかなかった.

世の中にはまあ,良くもこういう独断と偏見,言いたい放題のblogを覗いて下さる方がいたものである.改めて感謝申し上げたい.だからといって言いたい放題を止めようとは思わないし,独断と偏見が改まるわけでもない.

たまには面白いと思っていただけるようなことが書かれる場合もあるかも知れないので,今後とも懲りずに覗いていただきたいものである.

記念に何を差し上げる,というわけでもないが,とりあえずご挨拶めいたものを書いておかなければと思い,アップいたしました.この記事を見ていただいた方に,きっと良いことがありますように.

ではまた.

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独断的映画感想文:ヒトラーの贋札

日記:2010年8月某日
映画:「ヒトラーの贋札」を見る.1
2007年.監督:ステファン・ルツォヴィツキー.
出演:カール・マルコヴィクス(サロモン・ソロヴィッチ(サリー)),アウグスト・ディール(アドルフ・ブルガー),デーヴィト・シュトリーゾフ(フリードリヒ・ヘルツォーク),マリー・ボイマー(アグライア),ドロレス・チャップリン(カジノの令嬢),アウグスト・ツィルナー,マルティン・ブラムバッハ.
第2次大戦の欧州戦線の終戦直後,砂浜で海を眺める男.上着の背中には認識票をはぎ取った痕.
やがて男はホテルに現れ,鞄に詰めた現金で身なりを整えカジノに向かう.カジノで大金を儲けながら追憶にふける男….
贋札作りのサリーは,1936年ベルリンで逮捕され,ユダヤ人収容所に送られる.
将校等の肖像がを書いて生き延びたサリーは,第2次大戦末期ナチスがベルンハルト作戦という贋札作りを始めたとき呼び集められ,主にユダヤ人からなる様々な職種のチームを指揮して贋札作りに従事する.
彼らは清潔なベッドと食事,休日ありという破格の待遇を受けたが,贋札作りが失敗に終わったときは元の収容所に戻されることになっていた.2
彼らの努力の成果は現れ始めたが,一方贋札作りの成功はナチスの延命に手を貸すことになる.
印刷工ブルガーはサボタージュを主張,ナチスは作業の遅れに対し毎週作業員5人を銃殺すると脅し,サリー達は窮地に追い込まれる….
そのブルガーが書いた原作による物語.
サスペンスとしても面白く,またナチスとユダヤ人という極限状況の人間ドラマとしても印象的.
サリーのプロの職人としての技術や誇りと,犯罪者としての臨機応変な対応が,チームの危機を幾度も救う.
彼の一本芯の通った生き方が共感を呼ぶ(ブルガーのサボタージュを止めるよう説得する一方で,ブルガーを密告しようとする仲間の動きを許さない.結核にかかったコーリャの為に危険を冒して薬の調達を図る等).3
戦闘シーンは全くないが,これは紛れもない戦争映画だ.戦争のもたらす悲惨は計り知れず,その空しさは言う術がない.
ナチの腐りきった高官に比べ,犯罪者サリーの精神の崇高さが対照的だ.
★★★☆(★5個が満点)
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2010/08/16

独断的映画感想文:インセプション

日記:2010年8月某日
映画「インセプション」を見る.4_2
2010年.監督:クリストファー・ノーラン.
出演:レオナルド・ディカプリオ(コブ),渡辺謙(サイトー),ジョセフ・ゴードン=レヴィット(アーサー),マリオン・コティヤール(モル),エレン・ペイジ(アリアドネ),トム・ハーディ(イームス),ディリープ・ラオ(ユスフ),キリアン・マーフィ(ロバート・フィッシャー),トム・ベレンジャー(ブラウニング),マイケル・ケイン(マイルズ),ピート・ポスルスウェイト(モーリス・フィッシャー),ルーカス・ハース(ナッシュ).
映画の冒頭,海岸に打ち上げられた男.この海岸の警備員が男(コブ)を主のもとに連れて行く.
主は大変な高齢者,その老人(サイトー)に向かい,コブは「あなたを迎えに来た」と言う.
場面は変わってサイトーのオフィスに侵入するコブ,金庫を開け目指す書類を奪ったところで若きサイトーと美女モルが現れコブを取り押さえる.2_2
隙を見て逃げ出すコブ,銃弾が飛び交い建物は崩壊し始める.それはサイトーの夢の中の出来事,コブ達はサイトーの夢から機密事項を盗み出そうとして失敗に終わったのだった.
一方サイトーはコブに自分に協力しないかと持ちかける.
サイトーの提案は,彼のライバル会社の跡取りに,会社を継がないという意図を密かに植え付けること(インセプション)であった.
夢を舞台に情報を盗むプロであるコブだが,今や国際指名手配された上,妻モルの殺害容疑で子どもの待つアメリカに入国すら出来ない.コブはサイトーの政治力で手配を取り消してもらう代わりに,インセプションを引き受けることにする….
というわけで,登場人物の夢の中で展開されるアクション映画.
コブは夢の設計士,偽造士,調合師等,各パートのプロを集めたチームで標的の夢の中に侵入し,自分の意図で会社を潰す方向を選択させるべく,標的にある概念を植え付けようと試みる.5
標的をビジネスクラスでの10時間のフライトを利用して眠らせ侵入を図るが,訓練を受けた標的の夢には強力な警備陣が現れ,銃撃戦を展開してくる….
夢には幾重にも階層があること,一つ下の階層に行くと時間経過は120倍の遅さになること,夢の中で死ぬと夢から覚めるが,重度昏睡中の夢では二度と覚めない場合もあること,チームの各人はトーテムという小道具を持ち(コブの場合は小さなコマだ),トーテムの動きで自分が夢の中にいるのか現実の中にいるのかを判断すること,等々夢の構造が説明される.
チームは様々な困難と闘いながら階層を幾重にも降りて標的の心理の深層に入っていくのだ.
この映画は,夢を舞台としたドラマの仕掛けを充分に施し,それを圧倒的な映像表現で見せつけた点で,極上のエンターテインメントに仕上がっている.6
それは夢にありがちな奇想天外な映像ではないが,現実と区別の難しい・しかしやはり夢としか思えないといった映像で,印象的である.
夢の階層間の120倍の時間差を利用して,限られた時間内に作戦を完了しようと悪戦苦闘するチーム,一方でコブの意識の投影で登場するモルとの哀切なやりとりが,観客の心を引きつける.
複雑巧妙なドラマの構成は,最後まで観客を一気に持って行くだろう.
最終シーンで,午後の日を浴びコブのトーテムであるコマが,机の上で回っている.このシーンは何を意味しているのか.実に余韻のある幕切れである.
俳優は皆熱演,モルを演じるマリオン・コティヤールが魅力的.7
彼女がかって扮したエディット・ピアフの歌う歌が,夢の中での合図として幾度も使われる.その歌とこの映画全体の意外な関係が,エンドロールを最後まで見ると明らかになる.これも面白い仕掛け.
★★★★☆(★5個が満点)
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2010/08/15

独断的映画感想文:シャーロック・ホームズ

日記:2010年8月某日
映画「シャーロック・ホームズ」を見る.3_2
2009年.監督:ガイ・リッチー.
出演:ロバート・ダウニー・Jr(シャーロック・ホームズ),ジュード・ロウ(ジョン・ワトソン),レイチェル・マクアダムス(アイリーン・アドラー),マーク・ストロング(ブラックウッド卿),ケリー・ライリー(メアリー),エディ・マーサン(レストレード警部),ジェームズ・フォックス,ハンス・マシソン,ウィリアム・ホープ,ブロナー・ギャラガー,ジェラルディン・ジェームズ,ロバート・メイレット.
次々と美女が拉致されては殺される連続事件が発生.シャーロック・ホームズは犯人を突きとめ,まさに美女を儀式で殺そうとしている現場を押さえ,犯人・ブラックウッド卿をスコットランド・ヤードに引き渡す.
ブラックウッド卿は,自分の復活を予言して刑場で死刑を執行されたのだった.
ところが,ブラックウッド卿が本当に復活したとの噂が流れ,ホームズは再度対決すべく,相棒ワトソン博士と共に立ち上がる….2_2
このホームズは「名探偵:シャーロック・ホームズ」とは似て非なる人物,観客は以下に述べるこのホームズを受け容れる自信がなければ,この映画を見ない方が宜しい.
このホームズは観察力に優れ記憶力もあり論理的思考が得意である.
しかしその考察には配慮を欠き(ワトソン博士の恋人メアリーが以前婚約指輪をしていたことを見抜き,そこからメアリーが医師であるワトソン博士に乗り換えたと結論づけたのだが,事実はメアリーは恋人に死別したのであった),また捜査を実行するにあたり倫理的観点を無視する.
彼は思索派ではなく饒舌すぎるほどのお喋りである.また肉体派・アクション派であり,街の無頼を相手にするボクサーでもある.1
午前3時に人の迷惑顧みずバイオリンを弾き,親友ワトソンの犬を実験材料にしてしまい,実験による失火も起こす.
彼が捜査に赴くや,ドアの錠は無断で破り,家屋は炎上し,工場は爆発する.造船所の船は完成前に撃沈され,工事中の橋は破壊される.
こういうホームズでも構わないという観客はお好きにどうぞ.僕は願い下げである.
ワトソン博士はまともで(ジュード・ロー,渡辺謙と似ているので好きです)いい奴なのだが.
シリーズ化する意図満々であるが,二度と見たくない.4_2
★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:インビクタス/負けざる者たち

日記:2010年8月某日
映画「インビクタス/負けざる者たち」を見る.4
2009年.監督:クリント・イーストウッド.
出演:モーガン・フリーマン(ネルソン・マンデラ),マット・デイモン(フランソワ・ピナール),トニー・キゴロギ,パトリック・モフォケン,マット・スターン,ジュリアン・ルイス・ジョーンズ,アッジョア・アンドー,マルグリット・ウィートリー,レレティ・クマロ,パトリック・リスター,ペニー・ダウニー.
1990年に27年服役した監獄を出たネルソン・マンデラは,1994年の選挙で南アフリカ初の黒人大統領に就任する.しかし国は長年のアパルトヘイト(人種隔離)政策のための人種対立が続き,白人は希望を失い黒人は経済格差に苦しんでいた.
マンデラ大統領は,翌年南アで開催されるラグビーのワールドカップを通じ,国民の和解と統合を実現しようと考える.
南アのラグビーチームは連戦連敗,黒人選手は1人しかおらず,当初は誰しもその考えに同調しなかった.マンデラ大統領は主将のフランソワを官邸に招待し,お茶を飲みながらワールドカップでの優勝を求める….
事実に基づく物語.
1995年の南アの優勝は,何故可能だったのか.3
映画は,マンデラが諸外国に働きかけて精力的に南アへの投資を呼びかける一方,ありとあらゆる機会を捉えて人種間の融和を訴える姿を描く.
フランソワもマンデラの依頼に従い,黒人の集落に出かけてはラグビーの普及活動に時間を割く.
それらの活動の一つ一つは,オーソドックスで何の奇をてらうものでもなかったが,何としても人種の融和に向かって進みたいというマンデラの不動の信念に裏打ちされている,その状況を映画は淡々と描いていく.
そして迎えたワールドカップ,ドキュメンタリータッチで進む試合の描写,そして遂に奇跡の優勝.
この映画は直球勝負の映画である.
事実をそのまま描いていくという直球が,はじめからずばずばと投げ込まれる.マンデラ当選直後に,荷物をまとめて出て行こうとする官邸職員に対しマンデラが行う演説.大統領警護の黒人グループに,マンデラの指示で白人の警護チーム(彼らはつい先日まで黒人グループを逮捕拘留していた当の本人達だ)が合流したことへのとまどい等.2
そしてワールドカップの試合描写では,まさに剛速球となった直球が矢継ぎ早に投げ込まれる.
選手達の戦いはもとより,マンデラを拍手で迎える白人観衆,南アチームに声援を送る黒人観衆,打ち振られる南ア国旗.
このたたみかける映像は,スポーツそのものの持つ感動と相まって,観客に深い印象を与えるだろう.
いつものイーストウッド映画通り,音楽の出来も素晴らしい.
1995年の南アの優勝は,何故可能だったのか.
その問いへの答えは,やるべきことを信念を持ってやった結果である,ということになるだろうか?
困難な問題への答えがそういうものであることを,ある種の希望をもって提示する映画,一見の価値有り.
★★★★(★5個が満点)
蛇足:因みに映画にも出てくるが,このワールドカップは日本にとっては,準優勝したニュージーランドを相手に145対17という,大敗記録の更新というおまけ付きで予選敗退した,悪夢のWCでした.
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2010/08/12

独断的映画感想文:キラー・ヴァージン・ロード

日記:2010年8月某日
映画「キラー・ヴァージン・ロード」をみる.1_3
2009年.監督:岸谷五朗.
出演:上野樹里(沼尻ひろ子),木村佳乃(小林福子),寺脇康文(大家さん),眞木大輔(江頭賢一),小出恵介(小峰くん),田中圭(利根川純),中尾明慶(北翔),小松彩夏(AYAKA),清水くるみ(中学時代のひろ子),田中要次(修理のオジサン),小倉久寛(小倉さん),高島礼子(春日先輩),北村一輝(景山道生),北村総一朗(沼尻源一郎).
どん尻ビリ子というあだ名を持つ沼尻ひろ子は,奇跡の寿退社を成し遂げ結婚式の支度に余念がない.そこに訪れた彼女に妄想を抱く大家が,彼女の部屋で頓死を遂げる.
殺人犯になってしまったひろ子,しかし何としても結婚式は挙げようと,死体をピンクのスーツケースに詰めて樹海に向かうが,そこで自殺願望がありながら何故か死にきれない女,福子と出会う.福子はひろ子に同情し,自分を殺してくれたら死体の処理を手伝うと持ちかける….というアホアホロードムービー.2_2
教科書通りのギャグネタを岸谷五朗らしいハイテンションで次から次へと繰り出すが,話の継ぎ目や最低限合わせて欲しい辻褄が合っていなかったり,突如ミュージカルになったり,ついていくのはなかなかしんどい.
上野樹里は「のだめ」調のこの馬鹿女キャラを,ずっと続けるつもりかしら.
大昔,映画以外になーーーんにも娯楽のなかった時代ならいざ知らず,今こういう映画を見せられるのはちょっと辛い.
強いて言うと,木村佳乃の馬鹿っぷりは根性が入っていると見えた.それでおまけの★★☆(★5個が満点) 
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独断的映画感想文:ゼロの焦点

日記:2010年8月某日
映画「ゼロの焦点」を見る.3_2
2009年.監督:犬童一心.
出演:広末涼子(鵜原禎子),中谷美紀(室田佐知子),木村多江(田沼久子),杉本哲太(鵜原宗太郎),崎本大海(鳴海亨),野間口徹(本多良雄),黒田福美(上条保子),市毛良枝(板根絹江),本田博太郎(青木),西島秀俊(鵜原憲一),鹿賀丈史(室田儀作).
松本清張の往年の大ベストセラーを映画化.
昭和30年代始めの物語だが,SLの引く列車,自動車,町並み等,当時の風景の再現映像がそれなりに見事.
会社員の鵜原憲一と見合い結婚した大学英文科卒の禎子,新婚1週間で夫は前任地金沢へ仕事の引き継ぎに行き,そのまま失踪.禎子は金沢を訪れ,夫の足取りを探る.4
折しも金沢は市長選の最中,初めての女性候補が出馬し,その後ろ盾を勤める会社社長夫人室田佐知子が夫婦揃って夫と懇意だったと知り,禎子は室田の会社を訪れる.
その受付にいた田沼久子のブロークンな英語に注意を引かれるが….
ミステリー仕立てではあるが,この映画はミステリーとは言えない.
夫の足取りを追って禎子が動き,様々な事実が明らかになるが,ある時点からは禎子の語りで一方的に事件の謎が明らかにされ,何故それが明らかになったかは判然としない.
警察が事実を知るに至った経過も不明である.1_2
映画の主眼はそこにはなく,戦争直後の混乱期に孕まれた人間関係の芽が,10年を経て悲劇に至ったその社会的状況を浮き彫りにすることにあるようだ.
俳優では何と言っても中谷美紀の存在感が大きい.配役の位置と言い演技力と言い美貌と言い,他を圧倒.
これに比べると木村多江は,演技力では負けていないが,配役の立ち位置が元来「室田佐知子」の陰にある上,普通この位置にあれば脱ぐでしょ,と思われる期待には応えていない点で今ひとつ.
広末涼子については可もなく不可もなし.5_2
原作は読んだことがないが,映画では室田儀作は何をしたので逮捕されたのか,鵜原宗太郎は何故必要のない嘘までつく人物として描かれたのか等,気にかかる点が多かった.
見ていて波に乗りきれない映画.大金かけた火曜サスペンス劇場と言えば,少し意地悪かしら.
★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:インスタント沼

日記:2010年7月某日
映画「インスタント沼」を見る.2
2009年.監督:三木聡.
出演:麻生久美子(沈丁花ハナメ),風間杜夫(電球),加瀬亮(ガス),相田翔子(飯山和歌子),笹野高史(西大立目部長),ふせえり(市ノ瀬千),白石美帆(立花まどか),松岡俊介(雨夜風太),温水洋一(サラリーマン),宮藤官九郎(刑事・椹木),渡辺哲(刑事・隈部),村松利史(リサイクル業者・東),松重豊(リサイクル業者・川端),森下能幸(リサイクル業者・大谷),岩松了(泰安貿易・亀坂社長),松坂慶子(沈丁花翠).
雑誌編集者のハナメは自分では結構いけていたつもりの雑誌が売れ行き不振で休刊になり,あっさり仕事を棒に振る.3
折しも母親がカッパを探しに行った沼で溺れて意識不明となり入院するが,その折り沼から見つかった昔の郵便ポストから,母がハナメの実の父宛に送った手紙が発見される.
ハナメはその父を訪ねるが,父は怪しげな骨董店を営む残念な風貌の人物であった.
しかし父やその店に出入りするガスという電気屋の青年と付き合っているうちに,ハナメの心中にも忽然と骨董屋魂が湧き上がってくるのだった….5
「時効警察」のスタッフが作ったなんちゃってコメディ.
超豪華キャストが演じるが,小ネタ満載でどたばたなのはTVと同じ.映画らしいといえば,麻生久美子が全力疾走なのと(それが魅力的),最後の「インスタント沼」から出現する意表を突くモノであろうか.
麻生久美子は出ずっぱりの全力疾走なので,いささか鼻につくという方もいるかも知れないが,ファンからすればそれでも素敵魅力的と彼女を堪能できる.1
この映画は見た人に元気を与えるという点で,映画らしさを充分に持つ映画,見て損は無し.
★★★☆(★5個が満点)
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2010/08/11

独断的映画感想文:空気人形

日記:2010年7月某日
映画「空気人形」を見る.005
2009年.監督:是枝裕和.
出演:ペ・ドゥナ(空気人形),ARATA(レンタルビデオ屋の従業員・純一),板尾創路(空気人形の持ち主、ファミレス従業員・秀雄),高橋昌也(元高校国語教師・敬一),余貴美子(受付嬢),岩松了(レンタルビデオ屋の店長・鮫洲),星野真里(OL・美希),丸山智己(萌の父親・真治),奈良木未羽(小学生・萌),柄本佑(浪人中の受験生・透),寺島進(交番のおまわりさん・轟),オダギリジョー(人形師),富司純子(未亡人).
うだつの上がらない中年ファミレス従業員の秀雄.
自分の部屋に帰るとテーブルの向かいに座らせた空気人形(ダッチワイフ)相手に愚痴をこぼしながら飯を食う.夜は彼女を抱き共に眠る.毎日毎晩,秀雄の相手をする空気人形.
ところが空気人形にある日心が宿る.
ベッドから起き上がり,覚束ない足取りで窓辺による空気人形.窓を開け,軒の雨をビニールの手で受けると,その体に命がしみこんでいく.
やがて彼女はお仕着せのメード服を着て,秀雄の留守中に外出する様になる.002
あるビデオ店でバイトをすることになった空気人形,イノセントな子供同然の彼女は見るもの聞くものが新鮮,メイクアップを覚えて体のビニールの継ぎ目を懸命に消そうとしたり,新しい服を買ったり.
やがて彼女は,バイト仲間の純一に好意を持つ様になる….
おとぎ話,ファンタジーというにはちょっと哀しい現代の寓話.
ペ・ドゥナの演技が素晴らしい.
空気人形はイノセントな心で,周りの人間の偏った心,空っぽな心を鏡の様に映し出す.それに相応しい硬質で透明感のある空気人形の体と動きを,ペ・ドゥナが見事に演じている.
冒頭の,軒の雨を受けるペ・ドゥナの裸身の美しさには,息を呑む.
他の役者達も素敵だ.003
うだつの上がらない中年を演じて,板尾創路ほどぴったりはまる役者も少ないだろう.老醜を顔に刻み込んだ冨司純子の演技にはぎょっとする.オダギリ・ジョーが登場すると,急に画面は表情豊かになった様だ.
この映画を見ると,つくづく人間が生きることの難しさを感じさせられる.
是枝監督は,穏やかなメルヘンに見えるこの映画の所々で,人間の冷え冷えとした暗い淵を覗かせる様なシーンを交えるが,それは「誰も知らない」で感じたものと共通なものかも知れない.
ただの寓話ではない,心に残る映画,一見の価値有り.
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