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2010/09/20

独断的映画感想文:心中天網島

日記:2010年9月某日
映画「心中天網島」を見る.09
1969年.監督:篠田正浩.
助監督:小栗康平.原作:近松門左衛門.脚本:富岡多恵子,武満徹,篠田正浩.撮影:成島東一郎.美術:栗津潔.音楽:武満徹.
出演:岩下志麻(おさん/小春),中村吉右衛門(紙屋治兵衛),小松方正(太兵衛),滝田裕介(孫右衛門),藤原釜足(大和屋),加藤嘉(五左衛門),河原崎しづ江(おさんの母),左時枝(お杉),日高澄子(女将),浜村純(黒衣頭).10
紙屋治平は,妻子のある身でありながら曾根崎の遊女小春と起請文を交わした仲,しかし身請けの目処も立たぬままの逢瀬に,何時か二人は心中を誓い合う様になる.
これを心配した治平の兄・孫右衛門は,武士に扮して小春の客となるが,それと知らぬ小春は治平と心中を誓ったが死ぬのは怖い,治平と切れたいと相談をする.
これを立ち聞きした治平は小春の裏切りと知り,起請文を捨て,兄に誓って小春との縁を切る.しかしその小春の言葉は,治平の妻おさんから受け取った夫の命を助けてくれとの手紙への,義理立てであった….
近松の原作を,この時代の俊英の結集をもって映像化したアートシアターギルドの傑作.
印象的で簡略化された大道具や,主人公の回りにうごめく黒子達など,特異な映像が緊張感高く繰り広げられる.08
恋に身を焦がす遊女小春と,その小春の義理立てに誠実に応えようとするしっかり者の女房おさんを,岩下志麻(このとき28歳)がうまく演じ分ける.吉右衛門は同じく25歳,この紙屋治平の見事なまでの情けなさは,現在の押しも押されもせぬ貫禄からはとうてい想像できないだろう.
小松方正の悪役ぶりも殺してやりたいほど憎たらしくて宜しい.07
おさんを舅に連れ去られ,呆然としながら黒子達の導くまま,大道具の壁のどんでんを返して夜の闇に消えていく治平のシーンは,ギリシャ悲劇のような運命の力さえ感じさせる.
創意とエネルギーに満ちあふれた傑作として,必見の作品.
★★★★☆(★5個が満点)
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