独断的映画感想文:沈まぬ太陽
日記:2010年10月某日
映画「沈まぬ太陽」を見る.
2009年.監督:若松節朗.
出演:渡辺謙(恩地元),三浦友和(行天四郎),松雪泰子(三井美樹),鈴木京香(恩地りつ子),石坂浩二(国見正之),香川照之(八木和夫),木村多江(鈴木夏子),清水美沙(小山田修子),鶴田真由(布施晴美),柏原崇(恩地克己),戸田恵梨香(恩地純子),大杉漣(和光雅継),西村雅彦(八馬忠次),柴俊夫(堂本信介),風間トオル(沢泉徹),山田辰夫(古溝安男),菅田俊(志方達郎),神山繁(桧山衛),草笛光子(恩地将江),小野武彦(道塚一郎),矢島健一(青山竹太郎),品川徹(龍崎一清),田中健(井之山啓輔),松下奈緒(樋口恭子),宇津井健(阪口清一郎),林稔侍(竹丸鉄二郎),加藤剛(利根川泰司).
山崎豊子のベストセラーの映画化.
1985年8月12日,「国民航空」のジャンボ機123便は御巣鷹山に墜落,史上空前の航空事故となる.
このとき遺族対応の係となった恩知元は,20年前は労組の委員長として激しく会社側と対立した当事者であった.
その後「国民航空」の恩知への報復は激しく,カラチに2年,慣例の帰国を反古にしてテヘランに2年,更にナイロビに2年の海外勤務を命じ,恩知自身も家族も崩壊の縁に瀕した.
一方「国民航空」は御用組合を設立し,第1組合は圧倒的少数派へと追い込まれる.御巣鷹山の事故後も運輸天下り官僚の無責任体制と御用組合のなれ合いは変わらず,「国民航空」の腐敗は頂点に達していた….
先週見たの(「笑う警官」)と同じ角川映画だが,こちらは骨太の映画らしい映画.角川春樹が関与しないとこうも違うものか.
これは20年に亘る家族の物語である.
恩知は会社にしっぽを振らない労組活動家として苦難の道を歩み,途中で転向して第2組合の設立の黒幕となる副委員長行天(後に常務取締役)とは終生激しく対立する.
しかし終盤,御巣鷹山事故後の社内改革の企図も潰され,行天にナイロビ左遷を命じられた後の恩知の家族との語らいは,この長い物語の結末として印象的である.恩知の思いは成長した家族の皆に受け容れられるが,同時にこの映画を見ている観客の受け容れるところともなるのだ.
映画は3時間を超す長尺だが,余りにも大きな御巣鷹山事故を中心として高い緊張感が維持され,最後まで一気に見た.
俳優では渡辺謙が期待通りの好演,松雪泰子は先週見た映画でも良かったが,この映画でも説得力ある演技で印象に残った.
宇津井健が事故で息子夫婦と孫を亡くした遺族を演じて好演,感動した.
この映画の上演に際しては日本航空からいろいろと妨害や圧力が入ったらしいが,まあ「国民航空」がこういう会社だということは全国民が知るべきことであろう.
事故を起こし瀕死の「国民航空」に,なお運輸官僚と○○党政治家がなんの責任も感じずに利権のみを漁ってたかってくる様子は,正視に耐えない.この辺も映画は良く描けていると思う.
★★★★(★5個で満点)
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