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2010/10/27

独断的映画感想文:笑う警官

日記:2010年10月某日
映画「笑う警官」を見る.02
2009年.監督:角川春樹.
出演:大森南朋(佐伯宏一),松雪泰子(小島百合),宮迫博之(津久井卓),忍成修吾(新宮昌樹),螢雪次朗(植村辰男),野村祐人(町田光芳),大友康平(マスター),伊藤明賢(岩井隆),矢島健一(浅野貴彦生活安全部長),鹿賀丈史(石岡正純 刑事部長).
北海道警で実際にあった汚職事件にヒントを得た佐々木譲の原作による映画.
原作は日本人作家には珍しい乾いたハードボイルドで,構成がしっかりしておりしかも警察の現場を良く踏まえたものだ.読んだ時から映画化されるのを楽しみにしていた.
冒頭は原作通り,北海道の地方の交番で制服警官が拳銃で自殺する.
一方札幌ではがらんとしたアパートで女性警官が殺された.所轄の係官を押しのけ,道警が現場を把握した上,警察官津久井を覚醒剤常習の殺人犯とし,射殺命令が出てSWATが動員される.
津久井の同僚佐伯は,間近に迫った道議会の100条委員会への津久井の証言を阻止するため道警幹部が仕組んだ犯行と考え,密かに同志を集め真相の解明に乗り出す….
映画はこの同志7名の台詞劇が延々と続き,しかもその台詞がいっこうに冴えない.そうそうたる役者が揃っているのに,いったいこれはどういう訳か.
台詞そのものが感情を全て言葉にしてしまうような薄っぺらい寒い台詞で,さすがの役者達も引いてしまったのだろうか.03
一方物語はどんどん原作から離れていって,ラスト30分程はいったい何の物語かと思う程角川ワールドになってしまい,終盤の思いもかけない黒幕の登場には呆気に取られるばかり.
最後のシーンはもう訳の分からないどんでん返しというか納得しがたいもので,今までのことは夢でしたと言われたようなものである.原作をここまで変えた意図というものが全く理解できない.
思えば角川春樹の制作・脚本・監督というのは,およそ考えられる最悪の取り合わせであった.
中盤,突如マツケンがちょい役で出演するが,その奇怪な振る舞いを無茶振りされた宮迫・松雪の両名は立ちつくすだけ.その昔の角川映画「戦国自衛隊」では草刈正雄がちょい役で出て草を刈っていたが,こういうらちもない悪ふざけにも全く進歩がないと呆れる他ない.
他にも突っ込みたいところは山のようにあるが,ただ空しいばかりだ.
原作を読んだ人には悪夢のような映画.読んでいない人には無駄な映画.
星無し(★5個が満点)
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