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2010/11/11

独断的映画感想文:男の敵

日記:2010年11月某日
映画「男の敵」を見る.1
1935年.監督:ジョン・フォード.
出演:ヴィクター・マクラグレン,ヘザー・エンジェル,プレストン・フォスター,マーゴット・グレアム,ウォーレス・フォード,ウナ・オコナー,ジョセフ・ソーヤー,フランシス・フォード.
1935年度のアカデミー賞4部門を獲得した名作.
1922年のダブリン,アイルランド独立義勇軍は英軍と激しく対立している.
怪力を誇る大男のジポは,処刑を命じられた裏切り者に命乞いされ逃がしてしまったかどで義勇軍から追放され,食べるものにも事欠く有様だった.
恋人の街娼婦ケイティのために20ポンドの金を作ろうと思い立ったジポは,親友で義勇軍のお尋ね者フランキーを英軍に密告し,その賞金20ポンドを手に入れる.3
ところが金を手に入れたジポは酒場で飲み始め,たかられるままに金をばらまいていくのだった….
余りにも愚かな男ジポを巡る,一夜の出来事を描くドラマ.
観客にとってこの映画は,苦い映画である.
裏切りで始まるドラマの主人公ジポは,誰から見ても共感を持ち得ない.そのためにフランキーの家族は悲しみのどん底に突き落とされ,義勇軍は存亡の危機に瀕する.
観客は主人公に感情移入どころか,嫌悪感を持ちながらドラマの行く末を見守ることになる.2
救いは最後のシーンでようやくもたらされるが,人間の愚かさと人生の苦しさをこのように描いた作品が,アカデミー賞4部門を制覇したことは驚きでもある.
映画は,霧深いダブリンの街の一夜の出来事を描いて,緊張感高く展開する.苦い印象ではあるが,如何にも映画らしい映画.
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