« 独断的映画感想文:ラブリーボーン | トップページ | 独断的映画感想文:オーケストラ! »

2011/01/04

独断的映画感想文:悲情城市

日記:2011年1月某日
映画「悲情城市」を見る.5
1989年.監督:ホウ・シャオシェン.
出演:リー・ティエンルー(林阿祿),チェン・ソンユン(林文雄),ジャック・カオ (林文良),トニー・レオン(林文清),チェン・シュウファン(美黛),ホアン・チンルー(阿雪),ケニー・チャン(阿嘉),シン・シューフェン(呉寛美),ウー・イーファン(呉寛榮),チャン・ホンジー(林先生),中村育代(小川静子),長谷川太郎(小川校長),雷鳴(上海ボス),林照雄(阿城).1_2
冒頭,1945年8月15日,昭和天皇の終戦の詔勅玉音放送が流れる中,台湾基隆の林文雄に長男が生まれる模様が描かれる.息子は光明と名付けられた.
この映画は,終戦後日本から中国に統治権が移動する台湾の1945年から1949年までを,基隆で船舶運送業を営む林家の3兄弟文雄,文明,文清と文清の親友,呉寛榮・寛美の兄妹を中心に描く.6
文清は聾唖者で,写真屋である.折しも台湾は,終戦後大陸から渡ってきた外省人と従来から台湾にいる本省人の対立が激化,本省人の闇タバコ摘発で死者が出た2.28事件をきっかけに,外省人政府による白色テロと呼ばれた本省人の殺害が吹き荒れる.その渦中で,林家の兄弟,呉家の兄妹はそれぞれ苛烈な運命をたどるが….3_2
物語は登場人物達の視点から離れず,歴史の流れはあくまで登場人物の見聞きしたことという形で説明され,基隆の彼らとその周辺の状況を淡々と描写していく.
テンポはゆったりとしていて長回しが多用されるが,その緊張感は高く,159分の長尺ながら退屈は感じない.2_2
この時代の悲劇的な状況の衝撃もさることながら,一方,文清を演じるトニー・レオンの演技はさすがに印象的.
最初に文清と寛美が登場するシーンの初々しい清新さや,終盤の家族写真のシーンの哀切さは,胸に応える.
堂々たる叙事詩.見て損は無し.7
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ


« 独断的映画感想文:ラブリーボーン | トップページ | 独断的映画感想文:オーケストラ! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 独断的映画感想文:悲情城市:

« 独断的映画感想文:ラブリーボーン | トップページ | 独断的映画感想文:オーケストラ! »