独断的映画感想文:告白
日記:2011年2月某日
映画「告白」を見る.
2010年.監督:中島哲也.
出演:松たか子(森口悠子),木村佳乃(下村優子(直樹の母)),岡田将生(寺田良輝(ウェルテル)),西井幸人(渡辺修哉),藤原薫(下村直樹),橋本愛(北原美月).
湊かなえのベストセラー小説の映画化.
冒頭,騒がしく収拾のつかない中学1年生のクラス,その中で担任教師森口悠子の話が始まる.
数ヶ月前プールに浮かんで死んだ彼女の娘愛美は,警察の言う事故死ではなく,このクラスの生徒2名による殺人であると.その復讐として,今日二人が飲んだ牛乳パックにAIDS患者である愛美の父親の血液を注入したと.
この告白で始まる,クラスの生徒達の動きと悠子の復讐劇の物語.
この映画の特徴は,森口悠子の告白に始まる復讐とそれを巡る中学生のクラスを,その陰惨ないじめ・引き籠もり・道徳的退廃の状況を,高い緊張度を保った沈痛な蒼い色調の画面で描き続けたことにあるだろう.
この陰惨で救いようのない中学生の状況を描くのに,映画が毅然とした筋目正しい描き方を持って対していることには好感が持てる.
その点では,岩井俊二監督の「リリイ・シュシュのすべて」を思い起こさせる.
この悲惨な状況に対し,それでも希望があり得るのだということを映画は指し示して終了するが,それを成り立たせるのは,映画の最後数秒間の松たか子の演技だ.
能面のような表情で淡々と告白を続けてきた彼女の表情が,この数秒間に激しく動く.歌舞伎役者の直系の家に生まれ,様々な演劇的修羅場をくぐってきた彼女の実力を,この演技で改めて印象づけられた思いである.
見るべきであり見る価値のある映画.
★★★★(★5個が満点)
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