東北関東大震災報告#2
日記:2011年3月某日
震災から既に2週間が過ぎ,死者は1万人を超え,行方不明者は17000人と言われている.亡くなられた方のご冥福をお祈りし,被災された方々に心からのお見舞いを申し上げたい.
当方は部屋の片付けも終わり,壊れた電子レンジの後継機も届いて何とか生活は元に戻ったが,現下の問題は福島原発の放射能問題と東京電力の「計画」停電である.
14日に福島原発の2号機で炉内のガスを放出して圧を下げ,海水注入に踏み切った.
栃木県内では15日の9時頃から,通常0.03マイクロシーベルト毎時(μSv/h)だった環境放射能水準が,一挙に1.32μSv/hに上がった.この値はその後比較的速やかに減少しているが,3月25日現在で0.13μSv/hと,以前よりは高いまま安定している.
この経過を見ると,14日の放射性ガスの放出は相当な量のものだったようだし,その後も放射性物質の放出は続いていることが伺える.
また,その後22日・23日の降雨時の降下物の放射能(県保健環境センター屋上の検査結果)を見ると,その前18日頃には1000ベクレル毎平方メートル(Bq/㎡)だった放射性ヨウ素131が一挙に25,000Bq/ ㎡になって,翌24日には上水道の蛇口水の放射性ヨウ素131水準が108ベクレル毎キログラム(Bq/kg)となった.
これも比較的速やかに減少し,現在は放射性ヨウ素131の降下物放射能は670 Bq/㎡,蛇口水の放射能水準が12 Bq/kgまで下がっている.
この様子を見ると,風に乗ってやって来た放射能や,放射性雲からの雨が,やって来てまた去っていったという感じがする.
これに対しできることと言えば,安全だと思われる時の水を汲んで冷蔵庫に保管し,出かける時にはマスクをして,手洗いうがいに気をつける,まあ花粉症かインフルエンザ対策程度のことしかないだろうか.
「計画」停電には仕事も生活もずたずたにされ,お話にならない.
実施されるかどうかは2時間前にならないと判らないため,停電にはならずに済んだときでもお店は「計画」停電の日程通り休んでしまう.買い出しや夜の停電対策や昼飯の手配やで仕事以外の負荷も高いし,仕事はもちろん停電中は片付けくらいしかできないので効率の悪いこと夥しい.
交通機関の状況も悪く,接続で1時間待ちなどということが頻々と起きる.しかし,震災の影響がこの程度で済んでいるというのは,まずまず有り難いことと言わなければなるまい.
この地震は「想定外」だという話を良く聞くが,マグニチュード9.0の地震も15メートルの津波も,世界のどこかでは起こっていたことである.
東北地方でも最新の知見では高さ15メートルの津波が押し寄せた証拠が見つかって,そのことに関する勉強会を開いた地元自治体もあったと聞く.
東京電力が地震と津波に関して今回の事態を想定外としていたということは,こういう自然現象は起こらないことを前提に原発を立てますよ,と言ったのに過ぎない.
逆に言うと,その想定を上回る自然現象が起こった時には,原発は炉心溶融し,放射性物質が放出され,周辺数十キロには人がいられなくなるという事態を想定していたことになる.
相手は自然である.人間が如何に想定しないと言ったところで,起こってしまった現実を目の当たりにして,言うべき言葉もない.
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