« 2011年5月 | トップページ | 2011年7月 »

2011年6月に作成された記事

2011/06/28

独断的映画感想文:ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1

日記:2011年6月某日
映画「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」を見る.09
2010年.監督:デヴィッド・イェーツ.
出演:ダニエル・ラドクリフ(ハリー・ポッター),ルパート・グリント(ロン・ウィーズリー),エマ・ワトソン(ハーマイオニー・グレンジャー),ヘレナ・ボナム=カーター(べラトリックス・レストレンジ),ロビー・コルトレーン(ルビウス・ハグリッド),トム・フェルトン(ドラコ・マルフォイ),レイフ・ファインズ(ヴォルデモート),ブレンダン・グリーソン(アラスター・“マッド-アイ”・ムーディ),リチャード・グリフィス(バーノン・ダーズリー),ジョン・ハート(オリバンダー老人),ジェイソン・アイザックス(ルシウス・マルフォイ),ヘレン・マックロリー(ナルシッサ・マルフォイ),ビル・ナイ(ルーファス・スクリムジョール).07
ずっと見てきたこのシリーズだが,ヴォルデモート一統とハリー・ポッター組との闘いがはっきりしたので,敵と味方は判ってきたが,顔と名前は相変わらず一致しない.
とにかく登場人物が多すぎる.それに,ここにいたって,第1作で観客を魅了した魔法の楽しさもスピード感飛翔感も全く影を潜めた.
圧倒的な敵の勢力から逃れて山野をさまよう中での互いの葛藤・仲違いの苦さ.しかし,彼らの苦しみはまさに人間の青年の苦しみだ.そしてこれは紛れもない戦士達の物語だ.
そのことに胸を打たれ,涙を禁じ得ない.04
冒頭の家族との決別シーンから,ただならぬ緊張感が画面にみなぎる.
長い長い物語の最終章に期待をつなぐ,見逃せない作品.
しかしちょっと長すぎたかしら.
★★★★(★5個が満点)05
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2011/06/25

独断的映画感想文:オカンの嫁入り

日記:2011年6月某日
映画「オカンの嫁入り」を見る.2
2010年.監督:呉美保.
出演:宮崎あおい(森井月子),大竹しのぶ(陽子(月子の母)),桐谷健太(服部研二),絵沢萠子(上野サク),國村隼(村上章),林泰文(本橋信也),斎藤洋介(佐々木義男),春やすこ(島村幸),たくませいこ(和田真),友近(小谷聖子).
陽子と月子の母子二人暮らしの森井家,中庭をはさんで大家のサクちゃんと住む暮らしは,月子の生まれる前に父親が死んで以来変わることなく続いてきた.
ところがある夜,陽子がべろんべろんに酔っぱらって帰ってくる.彼女は同じく酔っぱらった若い男を連れてきて,そのまま二人は潰れてしまう.1翌朝陽子は,その男研ちゃんと結婚すると宣言し月子は仰天,陽子は研ちゃんともう3年越しの仲だと言う.
怒り狂った月子は父の位牌を持ってサクちゃんの家に転がり込み,陽子との間は険悪な状況となったのだが….
これはどうも親離れ子離れのドラマの様だ.
月子は就職先で本社から来たエリート社員につきまとわれ暴力行為を受けるが,会社はその男の側に立ち,月子は退職後も電車に乗れないという後遺症に悩んで,引きこもりの状態にある.
その月子にとって幼少時以来の大家と母親に囲まれた居住空間は,究極の引きこもり場所だ.そこに入り込んできた研ちゃんは美味しい料理を作る板前さんだが,月子には到底受け容れ難い存在である.
でも,愛犬ハチの危急を救ってくれたり,美味しい食事を作ってくれたりして,月子の心は徐々に開いていく.その経過を宮崎あおいと大竹しのぶがじっくり演じていくのが心地よい.3
陽子が何故この様な唐突な形で子離れを図ったかは,映画の後半で明らかになる.
映画は無言の場面の長回しを多用しているのが嬉しいが,それが可能なのは二人をはじめとする俳優陣に力量があるからであろう.
特に陽子の勤め先の診療所の医師を演じる國村隼,大家のサクちゃんを演じる絵沢萠子が素晴らしい.
俳優の力量を信じ安心して物語の展開を追えるしあわせな映画,一見の価値有り.
★★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

番外・独断的歌舞伎感想文:2011年新橋演舞場6月大歌舞伎夜の部

日記:2011年6月某日
新橋演舞場6月大歌舞伎夜の部を見る.Shinbashi201106b_3
演し物は,「一、吹雪峠(ふぶきとうげ)」
直吉(染五郎),助蔵(愛之助),おえん(孝太郎).
こちらは新歌舞伎で台詞劇.
駆け落ちした夫婦が,女の元亭主で男の兄貴分にあたるやくざものと,吹雪の山小屋で出会ってしまうという物語.歌舞伎としては趣向が変わっているが,こういう小品と舞踊を入れるのとどっちが良いか,意見の分かれるところとなろう.
「二、夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」住吉鳥居前;難波三婦内;長町裏.
団七九郎兵衛(吉右衛門),女房お梶(芝 雀),お辰(福 助),玉島磯之丞(錦之助),傾城琴浦(孝太郎),伜市松(金太郎),堤藤内(桂 三),大鳥佐賀右衛門(由次郎),釣船三婦(歌 六),三河屋義平次(段四郎),一寸徳兵衛(仁左衛門).
こちらはそれぞれに男を売っている三婦,団七九郎兵衛,一寸徳兵衛の3人とその女房達が,義理ある家の若殿(これがいい加減な男である)に振り回され,ついには団七九郎兵衛が義父殺しの大罪を犯すという物語.
吉右衛門は熱演だが,その台詞も動きも,如何にも貫禄があり過ぎて,この30両すらままならないやくざものの有りようとはちょっと合わない.
女房を演じる柴雀,福助は好演,特に柴雀は先月の九重に続いて美しい.
三婦の貫禄と義平次のけちな悪党ぶりも良かった.大詰めの殺しの場面はやはり芝居として面白い.
「三、色彩間苅豆(いろもようちょっとかりまめ)  かさね」
かさね(時 蔵),与右衛門(染五郎).
これは題名にはそぐわない殺しとたたりの物語である.
因縁としては複雑怪奇だが要するに与右衛門がかって,愛人かさねの母と通じ父を殺し,その祟りがかさねの顔の崩れに出るという何とも理不尽な話.
このためかさねは遂に与右衛門に殺されるが,これで終わったと見えた物語はかさねの亡霊が与右衛門を花道から呼び戻すところで恐怖の大詰めとなる.なかなか見応えあり.時蔵が好演.
本日は浮気と不倫3連戦,殺しの2連戦という中身の濃いプログラムであった.
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2011/06/19

独断的著作感想文:マイ・バック・ページ

日記:2011年6月某日
川本三郎の著作「マイ・バック・ページ」を読了.
本書は著者の自伝的エッセイ.雑誌への連載をまとめたものだが,後書きを読むと映画化した時の主題である菊井(映画では梅山)の事件は当初書きたくなかったらしい.
しかし書かねばおかしいという編集者の薦めもあって,これが本の後半の山場となった.
著者は学生運動の経験はないが,60年代後半から70年代にかけての東京(自宅は阿佐ヶ谷,隣のアパートに,麿赤児さんが住んでいたそうな)のカルチャー,社会状況にどっぷりつかったその生活が,読み取れる.
漫画家永島慎二の拠点だった阿佐ヶ谷の「ポエム」も行きつけだったらしい.
フランツ・ファノンの引用や,全共闘の自己否定思想の説明など,如何にもこの時代を真っ正直に生きた東京のナイーブな青年の心情が初々しい.
関西で青年期を過ごすと,自己否定思想など「そんなの関係ねえ」と言いたくなるのだが,いかんかなあ.
映画では菊井を京大経済学部助手竹本(筆名滝田修)に紹介したのはまさに川本さんという感じで描かれていたが,実際は川本さんが紹介する前に菊井の名前は滝田に伝わっていたらしい.
どうも僕としては,個人的には菊井を「こういう奴の心情も理解は出来る」という風には見たくない気持ちがあるが,菊井という固有名詞を外して一般論でいえば,「こういう人間もいるだろうな」というところである.
いずれにしろ,この時代,菊井の様な奴も川本さんの様な奴もいっぱいいたし,僕自身もそのバリエーションの内の一つだったのは間違いない.興味深く読んだ.
ところで,菊井の事件に関しては,個人的な記憶が甦る.
菊井のでたらめな自供をきっかけに,警察に1972年1月にでっち上げ指名手配を受けた京大助手竹本は,警察の追及を逃れ潜行した.
この1年後,経済学部教官協議会は「出勤しない」竹本助手の分限免職処分を京都大学評議会に上申,処分手続きが進行し始めた.
これ以来学内世論は,官僚的に「出勤しない」竹本助手を自動的に切って捨てるか(日本共産党は,こちらを支持した),竹本助手の思想故に仕掛けられたでっち上げ指名手配に対する抵抗を認め処分を阻止するか,真っ二つに割れて激しい論争が繰り広げられた.
当時,日本共産党は敵対する学生の実名を警察に通告する「告訴告発戦術」をとっており,その結果,学内や学生寮のいたるところに連日警察の強制捜査が入るという異常事態となったが,大学当局と日本共産党はかえって支持を失い,共産党系の学生自治会執行部は法学部を除きことごとく罷免される結果となった.
この状況を受け,1974年3月に京都大学評議会は竹本助手の処分審議を凍結することとなった.これが第1次竹本処分闘争である.
この間,時計台には京大山岳部が描いた「竹本処分粉砕」の銀色の文字が輝き,今も京大時計台といえばその光景が頭に甦る.川本さんの菊井との関わりは,僕にとってはこういう状況となって波及したのだと,この本を読んで思ったことだった.
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2011/06/14

独断的映画感想文:RED

日記:2011年6月某日
映画「RED」を見る.Red0
2010年.監督:ロベルト・シュヴェンケ.
出演:ブルース・ウィリス(フランク・モーゼズ),モーガン・フリーマン(ジョー・マシス),ジョン・マルコヴィッチ(マーヴィン・ボッグス),ヘレン・ミレン(ヴィクトリア),カール・アーバン(ウィリアム・クーパー),メアリー=ルイーズ・パーカー(サラ・ロス),ブライアン・コックス(イヴァン・シモノフ),ジュリアン・マクマホン(ロバート),リチャード・ドレイファス(アレクサンダー).Red3
今は引退し悠々自適の生活を送る元CIAのフランク,唯一の趣味は年金を送ってくる事務担当のサラに口実をもうけては電話を掛け愛を囁くこと.
ある晩彼の家が暗殺部隊に襲われる.苦もなく全員を片付けたフランクは,累がサラに及ぶことを案じ,彼女を拉致同然に連れ出す.
更に昔のネットワークを通じ,襲われた原因を探ると共に武器を調達,仲間を集めて反撃に移るのだが….
引退したベテランが大活躍するアクション映画だが,この映画は何といってもキャラクターの集め方が成功の原因.Red1
フランクはともかく,マーヴィンとヴィクトリアという殺人能力抜群の爺さんばあさん両名の登場や,ヴィクトリアとは敵対組織にもかかわらず彼女を愛して数十年というイヴァンのサポートや,要するにスパイ映画の定番を逆手に取った登場人物の魅力が抜群である.
ジョーも得難い個性だったが,80を超えた癌患者ということで(ここからはネタバレ)段取りを終えた後はあっけなく死んでしまう.ただ最後まで実は生きていましたというどんでん返しを期待してはいたのだが….
一気に見る快作.
個人的にはヘレン・ミレンが大好き.
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

番外・独断的歌舞伎感想文:2011年6月国立劇場歌舞伎鑑賞教室

日記:2011年6月某日
国立劇場で歌舞伎鑑賞教室を見る.Chirashiomote1
今日の演し物は,「解説 歌舞伎のみかた 中村壱太郎」
竹田出雲・三好松洛・並木千柳=作 尾上菊五郎=監修「義経千本桜 (よしつねせんぼんざくら) 一幕 河連法眼館の場」.
出演:中村翫雀,中村亀鶴,坂東巳之助,中村壱太郎,中村隼人,坂東竹三郎,市村家橘.
翫雀の狐忠信だが,前半はそれぞれ芝居が重く,居眠りをしてしまった.
後半動きが出てきて芝居に身が入ったが,翫雀は体が重く,手すりを越えるか越えないかはらはらする.
それでも鼓を得た時のその嬉しそうな顔は,如何にも翫雀らしい笑顔で,こちらも嬉しくなる.
壱太郎の静はうつくしく声も綺麗だが,お姫様というよりは現代ギャルに近い感じ.先月の門之助ほど古風でなくとも良いが,こちらは今風すぎる.
最後は鼓を抱えた狐忠信が桜の木にするすると上がって,大団円の幕となった.終了は5時前
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2011/06/07

独断的映画感想文:TAKESHIS’

日記:2011年6月某日
映画「TAKESHIS’」を見る.Takeshis003
2005年.監督:北野武.
出演:ビートたけし,京野ことみ,岸本加世子,大杉漣,寺島進,渡辺哲,美輪明宏,六平直政,上田耕一,武重勉,ビートきよし,高木淳也,木村彰吾,津田寛治,芦川誠,THE STRiPES,石橋保,松村邦洋,國本鍾建,内山信二.
芸能界の重鎮として映画にTVにと稼ぎまくるビートたけし.そのたけしが偶然自分とうり二つの売れない俳優志願者北野と知り合う.
北野はコンビニの店員でバイトをしてはオーディションに出かけたり,賭け麻雀で時間を潰す日々を送っていた.ある日北野の店に駆け込みトイレで息絶えたヤクザものの鞄から,大量の銃が見つかる.北野は日常の不平不満を全て銃で解決することにして街に飛び出す….
とまあ一応あらすじは書いてみたものの,支離滅裂意味不明の夢の世界,妄想の世界が,北野ファミリー総出演で延々と続く.Takeshis002
途中何度も寝ました.
この映画から得るものがあろうとは思えない.
プロローグ・エピローグを見ると,この映画全体がある兵士が死の瞬間に見た夢だということにもなるらしいが,でもそんなの関係ねえ,としか思えませんね.
こんな映画でヌードを見せた京野ことみは偉いとしか言いようがない.Takeshis001
★なし(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2011/06/05

独断的映画感想文:エクスペンダブルズ

日記:2011年5月某日
映画「エクスペンダブルズ」を見る.1_2
2010.監督:シルヴェスター・スタローン.
出演:シルヴェスター・スタローン(バーニー・ロス),ジェイソン・ステイサム(リー・クリスマス),ジェット・リー(イン・ヤン),ミッキー・ローク(ツール),ドルフ・ラングレン(ガンナー・ヤンセン),エリック・ロバーツ(ジェームズ・モンロー),ランディ・クートゥア(トール・ロード),スティーヴ・オースティン(ダン・ペイン),デヴィッド・ザヤス(ガルザ将軍),ジゼル・イティエ(サンドラ),カリスマ・カーペンター(レイス),ゲイリー・ダニエルズ(ザ・ブリット),テリー・クルーズ(ヘイル・シーザー),ブルース・ウィリス(チャーチ),アーノルド・シュワルツェネッガー(トレンチ).
金で軍事行動を請け負うプロの傭兵集団「エクスペンダブルズ」.
海賊に乗っ取られた船を奪還する作戦も無事成功,ただしヤク中で暴走し,作戦を乱したガンナーはクビになってしまう.4
次の仕事は南米の島国ヴィレーナの独裁者,カルザ将軍の抹殺.早速偵察に出かけたバーニーとリーは,港の酒場で案内役のサンドラと落ち合うが,何と彼女は将軍の娘だった.
遭遇した軍のトラックと撃ち合いになり,これを全滅させた2人は港の飛行艇に飛び乗って脱出するが,同行を勧めたサンドラは島に残ると強硬に主張.帰還して背景を調べたバーニーは,事件の裏には資金源たる麻薬の利権を巡るCIA内部の抗争があると知る.
CIAの依頼は断るが,サンドラのため独自にヴェレーナに行こうとバーニーは決意するが,彼らをヴィレーナ側に雇われたガンナーが襲ってきた….
まあロートルのアクション俳優がこんだけ揃うというのも珍しい.ブルース・ウィリスやシュワちゃんは別撮りであろう,仕事依頼のシーンで会話を交わすだけで絡まないまま別れそのまんま.
ミッキー・ロークはそこそこ芝居はしていたが,アクションは無し(無理でしょうな).
結局現役ジェイソン・ステイサムがもっぱら活躍することに.5_2
後はもうとにかくぶっ殺すぶっ放すぶっ壊すのオンパレード.ワンパターンだが楽しい.
それと別に,飛行艇というものは素敵な乗り物ではないかという気がしたのも,この映画の感想の一つ.公式サイトによるとアルバトロス水陸両用機というのらしいが,どんな飛行機なのだろう?世界の何処にでも行けそうで楽しそうだが?
★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

独断的映画感想文:マイ・バック・ページ

日記:2011年6月某日
映画」「マイ・バック・ページ」を見る.1
2011年.監督: 山下敦弘.
出演:妻夫木聡(沢田雅巳),松山ケンイチ(梅山(片桐優)),忽那汐里(倉田眞子),石橋杏奈(安宅重子),韓英恵(浅井七恵),中村蒼(柴山洋),長塚圭史(唐谷義朗(東大全共闘議長)),山内圭哉(前橋勇(京大全共闘議長)),古舘寛治(中平武弘(週刊東都記者)),松浦祐也(タモツ),青木崇高(キリスト),山本浩司(佐伯仁),山本剛史(清原),中野英樹(津川(週刊東都記者)),菅原大吉(小林(東都ジャーナル編集長)),康すおん(高峰(刑事)),中村育二(島木武夫(週刊東都編集長)),山崎一(徳山健三(週刊東都デスク)),あがた森魚(飯島(東都ジャーナルデスク)),三浦友和(白石(東都新聞社社会部部長)).
映画の冒頭,1969年東京大学の安田講堂に立て籠もった全共闘学生を機動隊が排除する.その後とおぼしき建物に侵入し,落書きや破壊の跡を見て回る男.遅れてきた青年梅山の登場である.
一方,この年東大を卒業し週間東都に就職した沢田は,全共闘びいきの先輩中平の影響を受けながら,社会の底辺のルポ記事等で一部の支持を得ていく.
やがて東都ジャーナルに移った沢田は,革命家を名乗る青年梅山と出会う.
4月蜂起を語りその準備を勧めているという梅山に,何時しか親近感を持つ様になった沢田は,中平の警告にも拘わらず梅山を信用し,京大の活動家・前橋に引き合わせた.
やがて梅山のグループは自衛隊の襲撃に向け,具体的な準備に入る.沢田はその取材を自分にさせるようにと,梅山に持ちかけるが….2
朝日ジャーナル記者を経て映画評論家となった川本三郎氏の,自伝的小説の映画化である.
この映画のポイントは,1970年代の学生運動や全共闘運動へのノスタルジーという面にあるとは思わないし,映画もそのことはあまり描き込んでいない.
この映画の主題はやはり,ナイーブな若者の青春の蹉跌にあるだろう.
正義感に導かれ,取材源秘匿の原則を楯に守ろうとした思想犯が,実は似而非革命家であったことは,沢田にとって悔やんでも悔やみきれない失策であった.しかしその蹉跌は,おおかたの観客の共感を呼ぶものだ.
この時代,このような蹉跌に如何に多くの若者が直面したことだろうか.
主演の妻夫木聡はそのような若者像を演じて過不足無し.松山ケンイチは,同じ社会背景のもとに無気力な若者を演じた「ノルウェイの森」とはうって変わり,自己顕示欲が強く,嘘を重ねて自分も他人をも追い込んでいく梅山を演じて見応えあり.5
エンドロールに流れるボブ・ディランの名曲「マイ・バック・ページ」が,この映画を見事に総括している.
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (2)

« 2011年5月 | トップページ | 2011年7月 »