独断的映画感想文:白いリボン
日記:2011年7月某日
映画「白いリボン」を見る.
2009年.監督:ミヒャエル・ハネケ.
出演:クリスティアン・フリーデル, レオニー・ベネシュ,ウルリッヒ・トゥクール,フィオン・ムーテルト,ミヒャエル・クランツ,ブルクハルト・クラウスナー,ライナー・ボック,スザンヌ・ロタール,ウルシーナ・ラルディ,シュテッフィ・クーネルト,ヨーゼフ・ビアビヒラー,ブランコ・サマロフスキー.
2009年のカンヌ国際映画祭ではみごと最高賞のパルム・ドールを受賞したという作品.
1913年の北ドイツ.はじまりはドクターの落馬事故だった.
小作人の転落死,男爵家の火事,荒らされたキャベツ畑,子供の失踪.それぞれの事件が,徐々に村の空気を変えていく.誰の仕業なのか,皆が不信感を募らせる.そして村人たちの素の顔が,次第に浮き彫りになっていく.
敬虔な村に潜む,悪意,暴力,欺瞞(ぎまん)の連鎖.少年の腕に巻かれた白いリボンは,「純真で無垢な心」を守れるのだろうか・・・(公式サイトより).
村で次々に起こる事故のさなか,牧師の家では長女と長男の帰宅が遅れたことが叱責され,二人のために全員が夕食を抜き,更に翌日のむち打ちが予告される.
純真無垢な幼年時代を思い出すため白いリボンを袖に巻く二人.
しかし更に男爵家の息子が暴行され,看護婦の子供で障害のある少年も暴行を受ける.
厳しいしつけと裏腹にその村を集団で横行する少年少女達.
時代は第1次大戦勃発の前夜,何とも言えない不安と重苦しさの中,人々が次第にその本性を露わにしていく過程が恐ろしい.何が悪いのか,誰が犯人か,いずれも明示されないまま,重苦しさだけが進行していく中,サラエボでオーストリア皇太子が暗殺された知らせが伝わる.
最後のシーン,教会の賢信礼で歌われる賛美歌「神はわがやぐら」の美しさが印象的だった.
緊張感に満ちた映画らしい映画,しかし僕は生理的にこの映画は好きになれないし,得たものは何もない.この時代のドイツ社会というものも,理解し難かった.
この監督の「ピアニスト」も優れた映画と言われたが,どうしてこれほど嫌なことが描けるのかと,僕には到底受け容れ難い映画だった.
残念ながらハネケ監督は僕との相性は悪いらしい.
今度はもっと楽しい映画を見よう.
★★★(★5個が満点)
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