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2011/09/19

独断的映画感想文:英国王のスピーチ

日記:2011年9月某日
映画「英国王のスピーチ」を見る.1
2010年.監督:トム・フーパー.
出演:コリン・ファース(ジョージ6世),ジェフリー・ラッシュ(ライオネル・ローグ),ヘレナ・ボナム=カーター(エリザベス),ガイ・ピアース(エドワード8世),ティモシー・スポール(ウィンストン・チャーチル),デレク・ジャコビ(大司教コスモ・ラング),ジェニファー・イーリー(ローグ夫人),マイケル・ガンボン(ジョージ5世).
品の良いイギリス映画である.
ジョージ5世の第2王子アルバートは幼少時からの吃音に苦しみ,真面目だが内向的なかんしゃく持ちという性格に悩んでいた.
折しもラジオが普及し,父王ジョージ5世はラジオを通じ国民にメッセージを送ることを好んだ.アルバートも大英博覧会の閉幕式の放送を担当するが惨憺たる出来.
言語聴覚士の治療を受けるが,その成果は全くない.
心配した妻エリザベスの勧めで,王子は民間の吃音専門のオーストラリア人の治療師,ライオネル・ローグの治療を受けることになる.Photo_2
ローグは治療室では対等の人間関係を要求する風変わりな男だが,心理的にも王子の緊張を和らげようとする方針に,王子の心は次第に開いていく.
ところがジョージ5世の死去後,即位した兄のエドワード8世は,緊迫するナチス・ドイツとの関係をよそに離婚歴あるシンプソン夫人との恋愛に夢中となり,遂に王位を抛って彼女との結婚を選ぶ.
王となる覚悟を決めた王子は,名前もドイツ風のアルバートからジョージと改め,ジョージ6世として即位するが,待ち受ける王としてのスピーチに改めてローグの支援を求めるのであった….
ジョージ6世の人間としての歩みを描いて感動的な映画である.
元来聡明で真面目なジョージ6世が,スピーチでの吃音の克服だけでなく,それを通じて人間味ある人格を発現していくところが感動を呼ぶのだろう.5
ローグとの関係も,王族と平民というスタートから葛藤を含み,幾度も喧嘩別れをしてはまた治療を再開するという繰り返しだった.
霧の朝に(ロンドンの霧がこの映画ではよく出てくるが)治療室を出てこの2人が散歩をし,兄エドワードを批判してローグが「あなたが王になっては」と話しかけ,王子が「それは反逆罪だ」と激昂して一人去って行くシーンは,印象的である.
また,フランクなローグの家庭,暖かい王子の家庭の描写や,王子と政界の有力者との互いの位置関係の描写なども,イギリスという国のこの時点での歴史的状況を良く伝えて,心に残る.
登場人物それぞれに良くも悪くも印象的な魅力があり,映画として見応えあり.3
俳優のキャスティングも一見の価値あるもの.
★★★★(★5個が満点)
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