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2011/09/19

番外:独断的歌舞伎感想文:新橋演舞場 秀山祭九月大歌舞伎夜の部

日記:2011年9月某日
「秀山祭九月大歌舞伎」夜の部を見る.Shinbashi201109b
演目は,「一、沓手鳥孤城落月(ほととぎすこじょうのらくげつ) 二の丸乱戦の場 城内山里糒庫の場」
出演:淀君(芝翫は休演.福助),豊臣秀頼(歌昇改め又五郎),千姫(芝雀),大住与左衛門(錦之助),石川銀八(児太郎),大蔵の局(吉弥),正栄尼(東蔵),大野修理之亮(梅玉),氏家内膳(吉右衛門).
大阪城落城での淀君狂乱の最期.
福助が狂女の不気味さを好演.裸武者の大立ち回り等見所は多いが,秀頼の台詞も切々と胸に迫るというところまでは行かず,散漫な印象の舞台.
「二、三代目又五郎、四代目歌昇 襲名披露 口上」
出演:歌 昇改め又五郎,種太郎改め歌昇,幹部俳優出演.
こちらは吉右衛門の喜びが伝わってくる様なホノボノとした口上.左団次の様に場の調子を狂わす怪優がいないのは,ちょっと寂しい.
「三、菅原伝授手習鑑 車引(くるまびき)」
出演:梅王丸(歌昇改め又五郎),松王丸(吉右衛門),杉王丸(種太郎改め歌昇),藤原時平(歌六),桜丸(藤十郎).
吉田神社の門前で,藤原の時平の牛車を巡り梅王,松王,桜丸3兄弟が邂逅するというただそれだけの筋ながら,その絢爛たる衣装,華やかな舞台,役者の大見得がこれほど面白い様に決まる芝居も珍しい.
又五郎の足(初日にアキレス腱を切るという怪我を負ったそうな)が心配だったが,威風堂々とした芝居,魅力的な声で楽しめた.
「四、増補双級巴 石川五右衛門(いしかわごえもん) 市川染五郎宙乗りにてつづら抜け相勤め申し候」
出演:石川五右衛門(染五郎),三好長慶(松江),三好国長(亀寿),左忠太(廣太郎),右平次(種之助),次左衛門(錦吾),呉羽中納言(桂三),此下久吉(松緑).
冒頭出てきた次左衞門が言うには,昔旅の途中癪で苦しむ女性を介抱してあげたら懐の金に気付き出来心で刺し殺した,その時お腹から生まれた赤子を不憫で育てたら泥棒になってしまったと,まあ無茶苦茶な話を平然とする.
そこから始まる無茶苦茶なストーリー.
石川五右衛門が公家に扮して将軍家に乗り込み幼馴染みの此下久吉と出会って旧交を温めるシーン,葛籠抜けの宙乗りシーン,最期の南禅寺山門の大セリの場面等,豪華絢爛奇想天外な物語を充分楽しめた.
染五郎は公家姿・泥棒姿いずれもよく似合う.
松禄がさすがに舞台に立ったときの居ずまいが美しく,表情台詞共に魅力が出てきた.
中納言の桂三はこれがはまり役と言っては気の毒だろうか,身ぐるみはがれて花道を引き揚げる姿が何とも言えない可笑しさ.終了8:50頃.
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