独断的映画感想文:小さな村の小さなダンサー
日記:2011年10月某日
映画「小さな村の小さなダンサー」を見る.
2009年.監督:ブルース・ベレスフォード.
出演:ツァオ・チー(リー・ツンシン),ジョアン・チェン(リーの母親),ブルース・グリーンウッド(ベン),アマンダ・シュル(エリザベス),カイル・マクラクラン(フォスター弁護士),グオ・チャンウ(青年時代のリー),ホアン・ウェンビン(少年時代のリー),ジャック・トンプソン(判事ウッドロウ).
実在のバレー・ダンサー,リー・ツンシンの自伝をもとにした映画.
1961年,山東省の山村に生まれたリーは,1971年,毛沢東の文化政策により始められたバレー団育成にスカウトされ,北京舞踏学校に入学する.
リーは次第に頭角を現し,やがて北京舞踏学校を訪問したヒューストン・バレー団との交流で,1981年,3ヶ月間の研究生として訪米することになった.
ヒューストンでバレーの勉強を始めたリーは,初めて見る「資本主義社会」に瞠目する….
毛沢東とその文化大革命,その後の後継争いの政治闘争が吹き荒れる時代を背景に描く,バレーダンサーの数奇な運命である.
この映画の印象は,誠実でまっとうな作り方と言えるだろう.
リーの生まれ故郷の両親の描写,北京舞踏学校での英才教育の様子,ぎごちなくも次第にアメリカ社会に慣れ親しんでいくリーの姿が過不足なく描かれる.
また,中国出身で現在英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとして活躍する主演のツァオ・チーのバレーシーンは実に素晴らしい.
バレーには門外漢の僕だが,舞台芸術の迫力というものを目の当たりにした感がある.
特に大詰めで,両親が見守る中での現代バレーのシーンには心を打たれた.
エリザベスとの微妙な関係等,敢えて踏み込んで描かない部分もあるが,映画の感動には影響しない.
一見の価値あり.
但し,邦題には営業的偏りが感じられる.原題は「毛沢東最期のダンサー」といったところか.
★★★★(★5個が満点)
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