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2011年11月に作成された記事

2011/11/29

独断的映画感想文:クロッシング

日記:2011年11月某日
映画「クロッシング」を見る.1_2
2009年.監督:アントワーン・フークア.
出演:リチャード・ギア(エディ),イーサン・ホーク(サル),ドン・チードル(タンゴ),ウェズリー・スナイプス(キャズ),ウィル・パットン(ホバーツ副署長),エレン・バーキン(スミス捜査官).
ある1週間のニューヨークのある分署管内で起こった物語.
事なかれ主義で定年まであと1週間となった警官エディは,海兵隊上がりのやる気満々の新人教育を命じられ困惑する.
麻薬捜査係のサルは,劣悪な住宅で喘息となった臨月の妻のため新居の頭金の工面に奔走している.
麻薬潜入捜査官のタンゴは,これまで積み上げた成果とは全く無関係に,警官不祥事のマスコミ対策としておとり捜査の成果を上げる様上層部から強要され激怒する.
これら3人が交錯しつつ迎える悲劇的な結末を映画は追う….2_2
やりきれない現代のニューヨークの現実の中で苦闘する彼等,人生はこんなに味気ないものだったか.
3人のエピソードの中では,命の恩人のキャズを罠にかけ売れと命じられた,タンゴの物語が印象的.キャズ役のウェズリー・スナイプスも存在感がある.
物語の構成や緊張感はいまいちだが見て損はない映画.
★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:ツーリスト

日記:2011年11月某日
映画「ツーリスト」を見る.3
2010年.監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク.
出演:アンジェリーナ・ジョリー(エリーズ・クリフトン・ワード),ジョニー・デップ(フランク・トゥーペロ),ポール・ベタニー(ジョン・アチソン警部),ティモシー・ダルトン(ジョーンズ主任警部),スティーヴン・バーコフ(レジナルド・ショー),ルーファス・シーウェル(英国人男性).
冒頭,謎の女エリーズを監視するフランス警察の面々.
カフェで朝食を取るエリーズに手紙が届く.エリーズは尾行をまんまとまいてヴェネチア行きの特急へ.手紙の燃えかすを解読してエリーズの後を追う警察.
エリーズはギャングから大金を巻き上げ,ギャングからと脱税の疑いで警察からの両方から追われているアレクサンダーの愛人,彼女はアレクサンダーとの再会目指してベネチアに向かっているらしい.2
ところで特急列車内でエリーズと出会ったフランクは,エリーズに一目惚れ,エリーズはアレクサンダーの身替わりに利用すべく彼とホテルに投宿する.さあどうなるか,という映画.
まあストーリーはたいした事はありません.アンジェリーナ・ジョリーとジョニー・デップを,またベネチアの光景を楽しめば良い映画で,深く考える必要は無い.
途中で何か食べてもトイレに行っても(失礼),置いていかれることはまずありません.楽しく見られてあとには何も残らない.何も悩まず心配せずに見ましょう.
アンジェリーナ・ジョリーのメイクがハデっと思った以外は特に印象無し.でも映画としてはあまりにも中途半端すぎるかも.1
★★☆(★5個が満点)
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2011/11/10

独断的映画感想文:SOMEWHERE

日記:2011年11月某日
映画「SOMEWHERE」を見る.Somewhere_4
2010年.監督:ソフィア・コッポラ.
出演:スティーヴン・ドーフ(ジョニー・マルコ),エル・ファニング(クレオ),クリス・ポンティアス(サミー),ララ・スロートマン(レイラ),クリスティーナ・シャノン,カリサ・シャノン,ベニチオ・デル・トロ.
ネタバレあります!!
映画の冒頭,荒野にしつらえたサーキットらしきところを,スポーツカーがひたすら疾走する.
5周目でようやく止まった車から男が降りてくる,長い固定カメラのショット.
次のシーンでは仲間と酔いどれる男,やがて男はホテルの自室に呼んだ女二人にポール・ダンスをさせる.そのダンスが終わる頃にはベッドで酔いつぶれて眠っている男.
ジョニーは映画スター,仕事はうまくいっているらしいが,暇な時間はひたすら酒と女と車で無為に過ごしている.
ところがある日別れた妻と暮らしていた娘,クレオが訪ねてくる.妻が家を空ける間預かって欲しいというのだ.
クレオは11才,ホテルでクレオと暮らすジョニーの心に変化が生まれてくる….
映画は長回しを多用したスローテンポな展開で,始めは眠くて堪らなかったが,リズムになれてくるとこの映画の魅力に心が奪われる.
ジョニーを演じるスティーヴン・ドーフは,ビートルズの前史を描いた「バックビート」で夭折した5人目のビートル,スチュアート・サトクリフを演じた人.17年経ってすっかり中年になったドーフだが,未だに少年のような目をしている.Somewhere_3
クレオを演じるエル・ファニングは最近では「スーパー・エイト」でアリス役を好演した.
この二人の暮らしの小さなドラマがが何とも魅力的.
クレオと暮らしながら愛人とベッドを共にするジョニー,翌朝愛人と3人の食卓を囲みながら行儀良く愛人に応対するクレオ,しかしその目はジョニーをはっきり非難している.
あるいは車でドライブする二人,放心状態のクレオにジョニーが声をかけると泣き濡れた目で振り返るクレオ.明るく振る舞いながらも,行き先を告げずに家を出た母にクレオの心は張り裂けそうなのだ.
そのようなシーンで重ねられていくクレオとの生活が,ジョニーの心を少しずつ変えていく.ジョニーは,クレオが去った後ある行動を起こすのだ.Somewhere_2
透明感のある映像と,独特のテンポが印象的な映画.
★★★☆(★5個が満点)
ところでベニチオ・デル・トロはジョニーがエレベーターの中で偶然乗り合わせる本人役でちょいと出てくる.クリスティーナ,カリサのシャノン姉妹はポール・ダンサー.なかなか見事な踊りでした.
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2011/11/05

阿佐ヶ谷ジャズストリート2011

日記:2011年10月某日
今日と明日は恒例の阿佐ヶ谷ジャズストリート.0082
まずは阿佐ヶ谷駅南口のストリートでやっていたHIBI★Chazz-Kを暫く聞く.ドラムの他はブラス4人という構成.
その後ルーテルむさしの教会に移動,ここは初めて来た.住宅街の中の小さな教会でステンドグラスが美しい.ここでの演奏は野口迪生(ds)カルテット+亜樹山ロミ(vo).野口迪生(ds)・吉田賢一(p)・成重幸紀(b)・宮野裕司(as)・亜樹山ロミ(vo).ホテルオークラのラウンジで15年勤めたというおとなしめのバンドである.「80日間世界一周」「霧のサンフランシスコ」など.
ここから阿佐ヶ谷駅に舞い戻り,北口ストリートの竹内郁人クインテットを聞く.これもドラム・ベース・ピアノの他はアルトサックスとテナーサックスのバンド.暫く聞いてから神明宮へ移動,
ここは山下洋輔ニューヨーク・トリオ.山下洋輔(p)・セシル・マクビー(b)・フェローン・マクラフ(ds).やや冷えてきた6時から演奏開始,最初は「チャット・イン・ア・ドリーム」という昨年もやった曲(昨年は未だ名前がついていなかった)で各パートでの3連打の繰り返しが特徴,早くも胸が高鳴る.二曲目は「エレジー」という3拍子の曲.三曲目は「チェイス」というアルバムでは弦楽四重奏団と共演したタイトルで,ベース,ドラムのソロがエネルギッシュに展開される.四曲目は「メモリー・イズ・ア・ファニー・シング」というバラード,リフレインの最期の小節だけ3拍子という特徴がある.最期は「グルービング・パレード」.
今年も素晴らしいエネルギーの爆発に感嘆,超一流のプレイヤーがフリーフォームで激突する技の応酬に,ともすれば置いていかれそうになる.山下洋輔は今年69才の筈,このエネルギーには大いに刺激された.
拍手喝采で終了後,今度は阿佐ヶ谷聖ペテロ教会に行く.ここの演奏は昨年と同じ鈴木良雄 BASS TALK.鈴木良雄(b)・井上信平(fl)・野力奏一(p)・岡部洋一(per).相変わらずユニークな演奏で,井上のカエルの擬音や岡部のトーキングドラムには笑わされる.鈴木良雄オリジナルのふるさと駒ヶ岳をイメージしたkomaが秀逸.この教会はベースの響きが最高.
この日はこの後飲みに行ったが,教会2つと神社のはしごという不信心な一日であった.0102
翌日の口開けは新東京会館の小田陽子(vo)&エスタシオン.市川直樹(key)・内田隆造(b)・小田智昭(ds)・梅田光雄(g)・浦辻晴実(cong・tp)・小田陽子(vo).
彼女は阿佐ヶ谷ジャズストリート皆勤,美貌の維持が大変と客を笑わせるが,16年前の第1回はこちらだって未だ40代前半である.例年通りラテン中心の歌を楽しむ.
その後細田工務店に移りここでは「スピリチュアルゴスペル」森崎Bella.成田昭彦(ds)・渡辺茂(b)・北島徹(g)・深澤葉子(key)・T-Slim(bl-hr・vo)・森崎Bella(vo).T-Slimのブルースハープが良い.森崎Bellaのヴォーカルは凄みあり.
その後またもや阿佐ヶ谷聖ペテロ教会.ここはEllingtnian Seven [リーダー紙上理(b)],紙上理(b)・高瀬龍一(tp)・元岡一英(p)・高橋知己(ts)・亀山賢一(ds)・紙上雅彦(bs)・澤田一範(as).最初にピアノトリオで1曲やったが結局これが一番良かった.元来ピアノトリオ好きな上,昨日からいささかサキソフォン酔いである.
7時過ぎからジャズバー「クラヴィーア」に行ってみるともうかなりの客の入りである.
ここは谷口英治(cl)西村俊哉(g)山口裕之(b)のトリオ.さすがに膝詰めライブは楽しい.
クラリネットもうまかったが,西村俊哉のギターが目の覚める様な腕の良さ,ベースも安定していて堪能した.0092
最後の最後でアルトサックスから逃れた開放感あり.来年からはもう少し出演者を吟味してプランを立てよう.
今日は午後だけで6バンドを聞いたが,そのうち4バンドに1名ずつのスキンヘッド奏者がいた.恐るべきスキンヘッド率,どういうことなのだろう…?
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独断的映画感想文:雷桜

日記:2011年11月某日
映画「雷桜」を見る.4
2010年.監督: 廣木隆一.
出演:岡田将生(清水斉道),蒼井優(雷/遊),小出恵介(瀬田助次郎),柄本明(榎戸角之進),時任三郎(田中理右衛門),宮崎美子(たえ),和田聰宏(瀬田助太郎),須藤理彩(お初),若葉竜也(榊原秀之助),忍成修吾(今泉鉄之助),村上淳(鹿内六郎太),高良健吾(友蔵),柄本佑(茂次),大杉漣(高山仙之介),ベンガル(早坂門之助),池畑慎之介(田所文之進),坂東三津五郎(徳川家斉(特別出演)).
将軍の子でありながら母を気の病で早くに失った斉道は,癇癖の若者に育つ.
行く末を案じた用人の榎田は,斉道を家臣瀬田の実家で静養させるが,その山で斉道は天狗と呼ばれる謎の少女と邂逅する.3_2
少女は20年前の雷雨の夜に拐かされた瀬田の妹,遊であった….
レビューでは評判の悪いこの映画だが,良いところ悪いところのはっきりした映画ではある.
悪いところはどうも時代劇らしさが希薄で安っちいところか.
登場人物の台詞や所作,動作が板についていず違和感がある.
例えば助次郎の兄で庄屋の助太郎が,助次郎の主君斉道に向かって「殿」と呼びかけるシーンがあるが,斉道は助太郎の主君ではないのだからあり得ない呼びかけである.
斉道のお供の侍が主君を追いかけて走る姿もヨーロピアンスタイルの全力疾走で,大小を手ばさんだ袴姿の武士の走り方ではない.2_2
脚本もいまいちで,だいたい130分を超える長尺なのは,余計な話が整理できないままくっついているからである.
その余計な話の最たるものが遊をかどわかし育てた田中理右衛門の話で,この男の行動や考え方はおよそ理解不能である.何故殺せなかった遊を返さず自分で育てたのか,あげくに斉道暗殺に走った理由は何なのか,訳がわからない.
その他にも突っ込みたいところは山程ある.しかしそんなことはまあどうでも宜しい.
この映画の良いところは蒼井優と岡田将生の好演に尽きる.特に蒼井優は山で育った野生の娘の純情を演じて誠に納得がいく演技.この二人のロマンスという点で映画としての骨格は揺るがない.
俳優では柄本明,宮崎美子も宜しい.1_2
そして題名にもなっている雷桜という,落雷した銀杏の古木に桜が芽吹いて成長した不思議な木の姿も印象的である.この映像は美術とCGの合作なのか,原作が描写した象徴的な姿を表現し得ている.
あと一つ不満を言えば,遊と斉道が巡り会う村の祭りの群舞シーンで,群衆が量的にもエネルギー的にも貧弱なのが残念であった.
★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:七瀬ふたたび

日記:2011年10月某日
映画「七瀬ふたたび」を見る.1
2010年.監督:小中和哉.
出演:芦名星(火田七瀬(テレパス)),佐藤江梨子(漁 藤子(タイムトラベラー)),田中圭(岩淵了(予知能力者)),前田愛(真弓瑠璃),ダンテ・カーヴァー(ヘンリー・フリーマン(テレキネシス)),今井悠貴(山沢 ノリオ(テレパス)),河原雅彦(景浦),池田成志,大杉漣,平泉成(山木義男),吉田栄作(狩谷).
筒井康隆原作のSF小説の映画化.ネタバレです,注意!!
原作は1972年から1974年にかけて執筆された.
SF小説であることから原作はかなり詳細な超能力についての理論的な位置づけがあり,また時代背景からか,最終章では国家の黒々とした圧倒的な威圧のもとに,七瀬を始め超能力者はことごとく狩られて殺害されていく.
まさに最終章にある様に「超能力者は何のために生まれてきたのか」という痛切な問いかけが後に残る,悲劇である.3
ところがこの様な小説の内容とは別に,美貌のテレパス火田七瀬というキャラクターは一人歩きをしたのではないかというのが,この映画を見た感想.
火田七瀬を美貌の芦名星が演じたという点以外は見るべきものなし.
キャスティングではノリオ役,藤子役は失敗ではないか.
吉田栄作の「狩谷」はそういう風に権力がつまらないキャラクターとして出てくること自体が失敗である.
迷彩服を着た自衛隊員の登場や,彼等がヘンリーに頭部を破壊されて殺害される映像も,見たくはなかった.テレパシーで読み取られたり交わされたりする会話の映像表現も,およそ現代の映画とは思えないレベル,
七瀬がヘンリーの念動で湖水を渡るシーンは,まあそういうことなんでしょうが,あまりにも馬鹿正直な映像でどん引きした.
このCGの時代にもう少し何とかならなかったのだろうか.
まあ筒井作品の映画化の難しさは,この感想の様な非難が雨の様に降りかかることが予測される,まさにその点にあるだろう.2
とは言え残念な映画.
★★(★5kが満点)
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