独断的映画感想文:SOMEWHERE
日記:2011年11月某日
映画「SOMEWHERE」を見る.
2010年.監督:ソフィア・コッポラ.
出演:スティーヴン・ドーフ(ジョニー・マルコ),エル・ファニング(クレオ),クリス・ポンティアス(サミー),ララ・スロートマン(レイラ),クリスティーナ・シャノン,カリサ・シャノン,ベニチオ・デル・トロ.
ネタバレあります!!
映画の冒頭,荒野にしつらえたサーキットらしきところを,スポーツカーがひたすら疾走する.
5周目でようやく止まった車から男が降りてくる,長い固定カメラのショット.
次のシーンでは仲間と酔いどれる男,やがて男はホテルの自室に呼んだ女二人にポール・ダンスをさせる.そのダンスが終わる頃にはベッドで酔いつぶれて眠っている男.
ジョニーは映画スター,仕事はうまくいっているらしいが,暇な時間はひたすら酒と女と車で無為に過ごしている.
ところがある日別れた妻と暮らしていた娘,クレオが訪ねてくる.妻が家を空ける間預かって欲しいというのだ.
クレオは11才,ホテルでクレオと暮らすジョニーの心に変化が生まれてくる….
映画は長回しを多用したスローテンポな展開で,始めは眠くて堪らなかったが,リズムになれてくるとこの映画の魅力に心が奪われる.
ジョニーを演じるスティーヴン・ドーフは,ビートルズの前史を描いた「バックビート」で夭折した5人目のビートル,スチュアート・サトクリフを演じた人.17年経ってすっかり中年になったドーフだが,未だに少年のような目をしている.
クレオを演じるエル・ファニングは最近では「スーパー・エイト」でアリス役を好演した.
この二人の暮らしの小さなドラマがが何とも魅力的.
クレオと暮らしながら愛人とベッドを共にするジョニー,翌朝愛人と3人の食卓を囲みながら行儀良く愛人に応対するクレオ,しかしその目はジョニーをはっきり非難している.
あるいは車でドライブする二人,放心状態のクレオにジョニーが声をかけると泣き濡れた目で振り返るクレオ.明るく振る舞いながらも,行き先を告げずに家を出た母にクレオの心は張り裂けそうなのだ.
そのようなシーンで重ねられていくクレオとの生活が,ジョニーの心を少しずつ変えていく.ジョニーは,クレオが去った後ある行動を起こすのだ.
透明感のある映像と,独特のテンポが印象的な映画.
★★★☆(★5個が満点)
ところでベニチオ・デル・トロはジョニーがエレベーターの中で偶然乗り合わせる本人役でちょいと出てくる.クリスティーナ,カリサのシャノン姉妹はポール・ダンサー.なかなか見事な踊りでした.
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