独断的映画感想文:はなれ瞽女おりん
日記:2011年12月某日
映画「はなれ瞽女おりん」を見る.
1977年.監督:篠田正浩.
出演:岩下志麻,原田芳雄,奈良岡朋子,神保共子,横山リエ,宮沢亜古,中村恵子,殿山泰司,桑山正一,樹木希林,西田敏行,安部徹,小林薫,原泉,不破万作,山谷初男,浜村純,加藤嘉.
若狭小浜で生まれた盲目のおりんは,6歳の時母親に捨てられ,薬売りの斉藤の世話で越後高田の瞽女屋敷に弟子入りする.
ここで厳しく歌と三味線を仕込まれたおりんは,美しく成長する.
瞽女は,盲目の女性が集団で門付けをしたり宴席に呼ばれたりして,歌と三味線の芸を披露する.厳しい掟の下に暮らし,男に体を許したものは追放される.
おりんは美貌が災いし,瞽女宿に侵入した酔漢(西田敏行)に手込めにされ,瞽女屋敷を追われる結果となった.
はなれ瞽女となったおりんは以降,体をまかせることを条件にした男の手引で,一人瞽女の旅を続けるのだった.
ある日阿弥陀堂で出会った男鶴川(原田芳雄)は,おりんの手引となることを申し出ともに旅するが,何故かおりんの体を求めない….
街道を行き来する芸人達の世界が未だ辛うじて成立していた第1次大戦前後の日本海沿岸,それを舞台に展開するはなれ瞽女おりんの物語.
母を幼くして失い,育ての親である瞽女屋敷の親方にも追放されたおりんは,自分を暖めてくれる存在を必死に求めるが,男達は皆おりんの体だけが目当てだった.
ところがこの男鶴川はおりんに心から優しくしてくれるが,自分とおりんは兄妹でいようと言うのだ.
それは何故か.二人の運命はどうなるのか.
北陸の四季を追う,美しいカメラ.この地方に色濃く残る阿弥陀信仰を背景に物語は進む.
一心に鶴川を思い慕うおりんの哀れさ,その運命が心を打つ.
物語の終焉を予告する中盤のショット(ポスター写真)の印象が強烈である.
俳優は,原田芳雄が素晴らしい.この時代の名脇役がこぞって参加しているのも嬉しい.新人で出ている小林薫の印象が鮮烈.
樹木希林のはなれ瞽女は見事.
岩下志麻のおりんは,川で水浴していて原田芳雄から「阿弥陀様じゃ」と声をかけられるシーンが印象的.
骨太の原作を見事に映像化した傑作.★★★★(★5個が満点)
人気ブログランキングへ
コメント