独断的映画感想文:八日目の蝉
日記:2011年11月某日
映画「八日目の蝉」を見る.
2011年.監督:成島出.
出演:井上真央(秋山恵理菜=薫),永作博美(野々宮希和子),小池栄子(安藤千草),森口瑤子(秋山恵津子),田中哲司(秋山丈博),渡邉このみ(秋山恵理菜/薫(少女時代)),市川実和子(沢田久美(エステル)),余貴美子(エンゼル),平田満(沢田雄三),風吹ジュン(沢田昌江),劇団ひとり(岸田孝史),田中泯(タキ写真館・滝).
不倫の子を堕胎した希和子は二度と子供の産めない体になる.
愛人には捨てられ,その妻に押しかけられ罵倒された希和子は,愛人の赤ん坊を誘拐し姿を消す.
4年後,希和子は逮捕され子供は親元に戻ったが,子供は実の母になつかぬことで虐待されて育った.
その子・恵理菜/薫が成長し親元から自立後,自分の被誘拐時代を思い返しつつ自分探しを続けるという物語.
前回の「海炭市叙景」に匹敵する長尺であるが,これも一気に見た.
物語は希和子の回想(といっても現代の希和子は行方不明で登場しない),恵理菜/薫の回想・現状をとりまぜて構成されているが,その処理が巧妙で混乱は生じない.
それは物語の焦点が,現代の恵理菜/薫がどう人生を掴んでいくかに絞られているからではないか.
映画の魅力はまず子役渡邉このみの愛らしさにあろう.彼女と希和子の別れのシーンは涙を禁じ得ない.
今ひとつの魅力は井上真央にある.
数奇な運命と実母の虐待に負けず人生に立ち向かおうとする恵理菜/薫の面構えは,なかなかに見事である.期せずして育ての母と同じく妻子ある愛人を持った彼女がどのように人生を歩むのか,その彼女を見守る映画の視点は前向きである.
見て損はなし.永作博美,田中泯の演技も見応えあり.
★★★★(★5個が満点)
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