番外:独断的歌舞伎感想文:平成中村座 十二月大歌舞伎昼の部
日記:2011年12月某日
歌舞伎「平成中村座 十二月大歌舞伎昼の部」を見る.
演目は,「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」.
1.「車 引(くるまびき)」出演:梅王丸(勘太郎),桜丸(菊之助),杉王丸(虎之介),藤原時平(亀 蔵),松王丸(彌十郎).
2.「賀の祝(がのいわい)」出演:桜丸(菊之助),梅王丸(勘太郎),八重(七之助),千代(松 也),春(新 悟),松王丸(亀 蔵).白太夫(彌十郎).
3.「寺子屋(てらこや)」出演:松王丸(勘三郎),武部源蔵(菊之助),戸浪(七之助),園生の前(新 悟),春藤玄蕃(亀 蔵),千代(扇 雀).
この3幕を続けて見たのは初めてである.
この様に見ることによって,松王丸,桜丸,梅王丸の3兄弟がどのような関係であるかが判る.
すなわち,「車引き」では兄弟の「公的な」対決が描かれるが,それにも拘わらず「賀の祝」では殆どじゃれ合っている様な松王丸・梅王丸の兄弟げんかが描かれる.
しかしその「賀の祝」の後半は,思いがけない桜丸の覚悟の自害だ.
そして「寺子屋」の終盤では,公的には敵と思われた松王丸が,我が子小太郎をお役に立てたと言う一方で,桜丸の自害の憐れさを嘆くという結末となる.
この物語の悲劇性が改めて印象づけられるのである.
役者では「賀の祝」での彌十郞と菊の助がそれぞれに好演で印象深い.
亀蔵は出ずっぱりで様々な役を演じ,ひいきとしては大満足.久しぶりに見る勘三郎が元気そうで何よりである.
座った2階桜席は幕の内側で,役者の顔は殆ど横顔しか見えないが,黒子の動きや開幕前の支度などが丸見え,義太夫席も正面から見える.
なかなかに面白いが,太鼓の音が真下から腹に響くのには閉口した.
隅田川を飛ぶヘリコプターの音も結構気になる.
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