独断的映画感想文:聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-
日記:2012年1月某日
映画「聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-」を見る.
長い題名だが,「連合艦隊司令長官 山本五十六」という三船敏郎主演の映画が別にあるのである.
監督:成島出.監修:半藤一利.
出演:役所広司(山本五十六),玉木宏(真藤利一),柄本明(米内光政),柳葉敏郎(井上成美),阿部寛(山口多聞),吉田栄作(三宅義勇),椎名桔平(黒島亀人),益岡徹(草野嗣郎),袴田吉彦(秋山裕作),五十嵐隼士(牧野幸一),河原健二(有馬慶二),碓井将大(佐伯隆),坂東三津五郎(堀悌吉),原田美枝子(山本禮子),瀬戸朝香(谷口志津),田中麗奈(神崎芳江),中原丈雄(南雲忠一),中村育二(宇垣纏),伊武雅刀(永野修身),宮本信子(高橋嘉寿子),香川照之(宗像景清).
1939年,日独伊三国同盟締結の機運が朝野を上げて盛り上がる中,海軍大臣米内光政,次官山本五十六,軍務局長井上成美の3名はあくまで反対論を譲らず,一旦は日独伊三国同盟は棚上げとなる.
しかしその後山本は聯合艦隊司令長官に転出,日独伊三国同盟は締結され,日米開戦は避けがたいものとなっていった.
山本はあくまで開戦を避けようと願いながら,一方で真珠湾奇襲作戦を準備することとなる….
山本五十六の人間像を通して太平洋戦争の勃発と,講和が何故出来なかったかを描く.
映画で強調されていることの一つは,世論が(大新聞の煽りがあったにせよ)戦争を支持し,戦争を避けようとした勢力に悪口雑言を投げつけたことである(戦争を支持する理由は景気が悪いことだった).この世論を背景に,軍を含めた官僚達が雪崩を打って開戦への圧力を強めていく.
誠に政官軍にとって戦争は巨大な利権であった.それは今,政官産にとって原子力が巨大な利権であることと全く同じである.
また大新聞が戦争を煽り,事実を隠して大本営発表を国民に押しつけた構造は,今マスメディアが原子力について行っていることと全く同じである.
この映画はそういう意味では誠に現代的な映画であろう.
個人的には聯合艦隊と山本五十六のファンである僕にとっては誠に辛い映画で,特にミッドウェイ海戦の敗北は見るに忍びない.映画はこの作戦の失敗を南雲中将に負わせているが,その辺りはいささか類型的な感じがする.山本自身にも幾つかの誤りはあったであろう.
そこを踏み込まないことや,最期は小椋佳の叙情的な歌で終わるのも,如何にも日本映画的.
★★★☆(★5個が満点)
ところで映画の最終局面,山本五十六を乗せた一式陸攻機は密林に突っ込み爆発炎上するが,記録に依れば機体は破損したものの爆発はしておらず,山本五十六の遺骸は発見され回収されたとのこと.
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