番外:独断的歌舞伎感想文:2012年新春・矢の根/連獅子/め組の喧嘩
日記:2012年1月某日
新橋演舞場で歌舞伎を見る.
演目は「一、歌舞伎十八番の内 矢の根(やのね)」
出演:曽我五郎(三津五郎),大薩摩主膳太夫(歌六),馬士畑右衛門(秀調),曽我十郎(田之助).
「二、連獅子(れんじし)-五世中村富十郎一周忌追善狂言」
出演:狂言師右近後に親獅子の精(吉右衛門),狂言師左近後に仔獅子の精(鷹之資),僧蓮念(錦之助),僧遍念(又五郎).
「三、神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ) め組の喧嘩 品川島崎楼より 神明末社裏まで」
出演:め組辰五郎(菊五郎),お仲(時蔵),尾花屋女房おくら(芝雀),九竜山浪右衛門(又五郎),柴井町藤松(菊之助),伊皿子の安三(松江),背高の竹(亀三郎),三ツ星半次(亀寿),おもちゃの文次(松也),御成門の鶴吉(光),山門の仙太(男寅),倅又八(藤間大河),芝浦の銀蔵(桂三),神路山花五郎(由次郎),宇田川町長次郎(権十郎),島崎楼女将おなみ(萬次郎),露月町亀右衛門(團蔵),江戸座喜太郎(彦三郎),四ツ車大八(左團次),焚出し喜三郎(梅玉).
「矢の根」は曽我もの.まあ荒事の代表みたいなお芝居で,訳の分からないことをわーわーと騒いで訳の分からないことを大仰にやっているうちに終わってしまう,と言うと実もふたもないが,まあそういうことである.
しかし歌舞伎の美的要素は全てそのうちに取り込まれているので,お客は拍手喝采.
三津五郎もこういう荒事をやるのかと改めて感心.
「連獅子」は冨十郎の遺児鷹之資くんと吉右衛門が踊る.吉右衛門も鷹之資もがんばれと言いたくなる50を越える年齢差の連獅子.
両方に暖かいかけ声が飛ぶ.
最後の「め組の喧嘩」は題名通りの芝居.それ以上でもそれ以下でもない.
料理屋で間の障子が外れたという些細なことから,相撲取り四ツ車の一門と火消しめ組が総力をかけて喧嘩をするというそれだけの物語.
呆れたことに間に立つ人がいて二度まで喧嘩を止めたのに,当事者の仲間内では止めようとかよそうとか言う人が一人として無く,辰五郎の女房までがけしかける始末で,「意気といなせとかっこよさ」自慢以外には何の取り柄もないぱっぱらぱーの男達が,舞台狭しと暴れ回る.
ところがその男達が一斉にときの声を上げて勇み立つと,見ているこちらもかっと頭に血が上るのが不思議.
男って本当に馬鹿だよね.戦争の時もこうだったのではないか.誠に芝居は浮き世の反映であるな.
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