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2012/02/11

独断的映画感想文:BIUTIFUL ビューティフル

日記:2012年2月某日
映画「BIUTIFUL ビューティフル」を見る.Biutiful2
2010年.監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ.
出演:ハビエル・バルデム(ウスバル),マリセル・アルバレス(マランブラ),エドゥアルド・フェルナンデス(ティト),ディアリァトゥ・ダフ(イヘ),チェン・ツァイシェン(ハイ),アナー・ボウチャイブ(アナ),ギレルモ・エストレヤ(マテオ),ルオ・チン(リウェイ).
ネタバレあります.
冒頭の2シーン,一つは暗い部屋で語られる指輪の物語,かって父から母に贈られた指輪を,今おまえに譲ると,男が娘に話しかけている.娘の手がその指輪を男の小指から抜き,自分の薬指に指す.
次のシーン,男は雪の森にいる.りりしい青年が現れ,男にたばこを勧める.静寂の森でたばこを吹かし微笑みを交わす二人.やがて二人は歩き始める….Biutiful4
バルセロナで不法移民の仕事を斡旋するウスバル,霊能者でもある彼は,死者から死の状況を聞きあの世に迷いなく旅立てる様助言するという仕事もしている.
父は彼が生まれる前にファシストに反対してメキシコに亡命し,客死した.母は彼が幼い頃亡くなった.
妻は精神を病み子どもを虐待するので今は別居し,2人の子どもは彼が育てている.
ところがそのウスバルに癌が見つかった.癌は進行し既に余命は2ヶ月という.
2人の子の行く末を案じた彼は妻と同居,少しでも稼ごうと仕事に奔走するが….
ウスバルは基本的に良い奴である.情報量が多くかつ味わい深い映像から,彼が家族を愛し,子供と強い絆で結ばれていることが伺える.Biutiful5
移民達に対しても彼はそれなりの誠意を持って対応し,彼等が無事に稼げる様に意を尽くすのだが,それは決してうまくいかない.
それどころかウスバルも移民達も度重なるトラブルに見舞われる.
一旦は同居した妻ともうまくいかず,彼が心中の苦悩を話せるのは霊能者仲間と思える老婦人只一人である.その婦人から与えられた2つの黒い石ころが,彼が子供達に残す唯一の贈り物となる….
人生の辛さ厳しさ,生と死,この世に自分が何を残せるのかということを考えさせる映画.
たんたんと描かれるウスバルと子供達の最期の日々は心に残る.
ウスバルの苦闘の日々が終わりに近づくとき,観客も彼が子供達に何が残せるのかを納得して見ることになる.
映画の最後のシーン,物語は始まったところで終わるのだ.Biutiful3
見て損のない映画,ハビエル・バルデムは期待を裏切らない好演.
ウスバルが霊能者であるということはいささか蛇足の様にも思えるが,映画に別の角度の緊張感を与えているのは間違いない.
★★★★(★5個が満点)
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