独断的映画感想文:小川の辺
日記:2012年2月某日
映画「小川の辺」を見る.
2011年.監督:篠原哲雄.
出演:東山紀之(戊井朔之助,菊地凛子(田鶴),勝地涼(新蔵),片岡愛之助(佐久間森衛),尾野真千子(幾久),松原智恵子(以瀬),笹野高史(助川権之丞),西岡徳馬(鹿沢堯伯),藤竜也(戊井忠左衛門) 池内万作(主殿頭).
藤沢周平原作.
ある夜,戌井朔之助は海坂藩の執政・助川権之丞の呼び出しを受ける.助川の命令は,朔之助の剣友でもある脱藩者・佐久間森衛の上意討ちであった.
佐久間は妻である朔之助の妹・田鶴と共に出奔している.勝ち気な田鶴は,実の兄に対しても手向かってくると考えられた.
朔之助は若党・新蔵を連れて,佐久間の住む行徳に向け海坂藩を旅立つ….
という訳で始まる前半ロードムービー,後半は対決の物語.
原作に忠実に作られており,したがって物語に意外性や思わぬどんでん返しはない.
主従二人の長い旅は,それぞれの思い出を描いて幼い頃からの田鶴,新蔵,朔之助の関係を明らかにし,また佐久間と朔之助の因縁を物語っていく場として描かれる.最終局面で,佐久間と朔之助は避けようもなく対決し,また田鶴は思った通りに朔之助に刃を向けてくる.
しかし,その結果を見て感動の涙を禁じ得ないのはどういうことだろう.
山道を行き,川を渡って旅を続ける主従を描くカメラは美しい.「新日本紀行」を思い出させる様なのんびりとした音楽も悪くない.
俳優は東山紀之が安定して宜しい.泰然自若たる物腰から,対決の場での爆発的な剣気は想像も出来ない.
松原智恵子の母親も良い.藤竜也はちょっと違うかなと思ったがまずまず.
菊池凛子はちょっと顔が怖すぎる.いくら勝ち気だからって顔が怖いとは限らない.
殿様役の池内万作が意外と良かった.
全体としては,地味ながら藤沢時代劇として佳作と思える.見て損は無し.
★★★★(★5個が満点)
蛇足:この映画の菊池凛子の顔は,国村隼と瓜二つと見えたがどうでしょう?
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