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2012年4月に作成された記事

2012/04/23

独断的映画感想文:ツリー・オブ・ライフ

日記:2012年4月某日
映画「ツリー・オブ・ライフ」を見る.2_2
2011年.監督:テレンス・マリック.
出演:ブラッド・ピット(オブライエン),ショーン・ペン(ジャック),ジェシカ・チャステイン(オブライエン夫人),フィオナ・ショウ(祖母),ハンター・マクラケン(若きジャック(長男)),ララミー・エップラー(R.L.(次男)),タイ・シェリダン(スティーヴ(三男)).
映画の冒頭聖書の「ヨブ記」の引用.この「ヨブ」記は中盤の教会のシーンでも解説される.
次いでオブライエン夫人の少女時代とおぼしき映像と共に,修道女から聞いた「人生には世俗的な道と恩寵と共に歩む道がある」という言葉が語られる.1_2
不思議な光の揺らめく映像の後,オブライエン夫人が息子の死の報せを受け取るシーン,オブライエン氏がそれを聞く電話ボックスのシーン,葬儀のシーンが続き,やがて映画は宇宙の始まりから惑星の誕生,生命の始まりから恐竜の時代までを総括する長大な叙事詩に至る.
続いて現代のジャックが登場,彼は19才で失った弟のことが未だ頭から離れない.
彼の回想として始まる1950年代の彼等3兄弟の誕生へと映画は進む.
信仰深く深い愛情を持って子供達を育てるオブライエン夫人,一方オブライエンは息子達を愛しながらも,まさに世俗的な道を生きる人として,息子達に自分への絶対服従を強いながら強く生きることを求める.
思春期にいたり,ジャックは父を憎みながらも自分も弟に絶対服従を求め,その自分を持て余し苦しむ日々を送る….4
一筋縄ではいかない映画である.
ふんだんにちりばめられる宇宙,波,樹々の緑の映像と回想するジャック自身のイメージ,回想される両親と子供達の映像も,あるいは時を溯りあるいは特定のエピソードを差しはさむ.
この映画は物語がテーマを解決していくのではなく,映像の連なりがジャックの精神的浄化を暗示していく映画の様である.
観客は母親の愛情深い生き方も,父親の一方的な愛情表現が子供達には全く受け容れられない状況も,そのまま受け止めることになるだろう.
その蓄積の中でジャックが苦しんでいく過程は痛々しい.ブラッド・ピットに生き写しの次男役:ララミー・エップラーが愛らしい.3_2
この監督独特の表現がユニークな映画,一見の価値あり.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:ゴーストライター

日記:2012年4月某日
映画「ゴーストライター」を見る.1
2010年.監督:ロマン・ポランスキー.
出演:ユアン・マクレガー(ゴースト),ピアース・ブロスナン(アダム・ラング),キム・キャトラル(アメリア・ブライ),オリヴィア・ウィリアムズ(ルース・ラング),トム・ウィルキンソン(ポール・エメット),ティモシー・ハットン(シドニー・クロール),ジョン・バーンサル(リック・リカルデッリ),デヴィッド・リントール(ストレンジャー),ロバート・パフ(リチャード・ライカールト),ジェームズ・ベルーシ(ジョン・マドックス),イーライ・ウォラック(老人).
元英国首相の自伝執筆を依頼された「ゴースト」,その元首相アダム・ラングはアメリカ東海岸の孤島の別荘に住む.
ゴーストはその別荘に缶詰になって自伝執筆に取り組む.
ところがラングは,首相在任中にイスラム過激派のテロ容疑者をCIAに引渡し,拷問をした疑惑が浮上,国際司法裁判所に告発されることに.2
自伝執筆の前任者はフェリーから転落し溺死したと言われているが,ゴーストの会った島の老人は,フェリーから落ちて死体発見現場に漂着することはあり得ないと言う.
次第に謎の深まるなか,ゴーストはラング夫人に誘われベッドを共にするが….
国家レベルの陰謀に巻き込まれたゴーストの運命や如何に,という映画.
ポランスキーは米国に入れないので,ロケ地は東海岸でなくドイツだとか.そういえば元首相の車はBMWであったな.3
映画は全体としては面白いが,謎の深さと解決の切れ味は今いち.
ユアン.マグレガーのゴースト役はあまりに淡々としていて,もう一つ納得できない.
最後の場面,何故ゴーストは解き明かした謎をあれほど性急に,言うべきでない人に言ってしまったのか.またその直後にもう暗殺者が彼を襲うのはどういう訳か.
謎の仕掛けもこれだけの映画にしては安っぽい感じがする.せっかくのクライマックスが拍子抜けで,評価はやや低い.
★★★(★5個が満点)
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2012/04/22

独断的映画感想文:アンフェア the answer

日記:2012年4月某日
映画「アンフェア the answer」を見る.1_2
2011年.監督:佐藤嗣麻子.
出演:篠原涼子(雪平夏見),佐藤浩市(一条道孝),山田孝之(村上克明),阿部サダヲ(小久保祐二),加藤雅也(三上薫),吹越満(武田信彦),大森南朋(結城脩),寺島進(山路哲夫),香川照之(佐藤和夫),横山めぐみ,モロ師岡.
初めて見る「アンフェア」,前回までの事情はとんと分かりません.3_2
ということで,映画の冒頭,一条とベッドで馴染み会う雪平夏美,ここは北海道で雪平は西紋別署刑事課に勤務,しかし職場では警視庁からの左遷組として孤立している.
一条は西紋別署の上司.
一方東京では釘打ち銃による連続殺人事件が発生,現場からは雪平の元夫・佐藤の指紋が見つかる.佐藤は雪平に会いに北海道まで来るが,雪平に重要な情報を伝えた後,釘打ち銃を撃ち込まれ死亡する.
その釘打ち銃からは雪平の指紋が検出され,雪平は逮捕連行されるが….
展開は面白いし役者はそれぞれちゃんと演技しているのだが,いまひとつなのは全体の構成がちゃちいことでしょうか.5
味方と思っていたら敵,敵と思っていたら味方で,と思っていたらやっぱり敵などと,こういう展開自体は面白いが,最終的に浮かび上がってくる警視庁や警察庁の構造的な悪の仕組みは中身すかすかで,ここに至ってああやっぱりフジTVドラマだったのねと不覚にも納得した次第.
★★★(★5個が満点)
良い役者をこういうテレビ映画で消費して欲しくないですね.
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独断的映画感想文:シャンハイ

日記:2012年4月某日
映画「シャンハイ」を見る.4
2010年.監督:ミカエル・ハフストローム.
出演:ジョン・キューザック(ポール・ソームズ),コン・リー(アンナ・ランティン),チョウ・ユンファ(アンソニー・ランティン),フランカ・ポテンテ(レニ),ジェフリー・ディーン・モーガン(コナー),菊地凛子(スミコ),ベネディクト・ウォン(キタ),ヒュー・ボネヴィル(ベン・サンガー),デヴィッド・モース(リチャード・アスター),渡辺謙(タナカ大佐).
欧米,日本が租界を確保し,各国の諜報員がうごめく1941年の上海.1
CIAのエージェント・ポールは,親友コナーの死の原因を探るべく,その後任として上海に記者を装い赴任する.
親独派の記者という触れ込みで独大使館に出入りしたポールは,そこで旧知の友人の奥方レ二と一緒になるが,同時に上海の暗黒街の大物ランティンとその夫人,更に日本の諜報責任者タナカ大佐との面識を得る.
コナー事件の調査を続ける一方,ランティン夫人アンナと親しくなるポールだが,アンナは日本軍に対するレジスタンス活動を行っているらしい….
日米開戦直前の上海における諜報戦を描く大作.2
この映画はコン・リー姐さん,チョウ・ユンファ,渡辺謙の存在感が圧倒的である.
主演のジョン・キューザックはそれに比べると如何にも格下.
そもそも,ポール・ソームズの役は何故ジョン・キューザックなのか.他にいくらでももうちょっと緊張感の高い顔をした役者が居るでしょうに.3
映画としては,諜報機関員の必死の活動にも関わらず,日米開戦という圧倒的な歴史的事実の展開がドラマを締めくくっていくところが印象的である.
戦争,ということの重さを改めて考えさせられた.
★★★☆(★5個が満点)
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2012/04/16

番外:独断的歌舞伎感想文:平成中村座 四月大歌舞伎

日記:2012年4月某日
歌舞伎「平成中村座 四月大歌舞伎」を見る.Nakamuraza201204b
演し物は,串田和美 演出・美術,「隅田川続俤 法界坊(ほうかいぼう) 序幕 深川宮本の場より 大喜利 隅田川の場まで」.
出演:聖天町法界坊(中村 勘三郎),道具屋甚三郎(中村 橋之助),永楽屋手代要助実は吉田松若(中村 勘九郎),花園息女野分姫(中村 七之助),仲居おかん(中村 歌女之丞),山崎屋勘十郎(笹野 高史),番頭正八(片岡 亀蔵),永楽屋権左衛門(坂東 彌十郎),永楽屋娘お組(中村 扇雀).
「法界坊」を見るのは,7年ぶりである.
今回の「法界坊」は,勘三郎の回復ぶりを推し量るバロメーターにもなろうかという訳だが,期待を上回る怪演ぶりは素直に嬉しいところ.
本日の席は桜席,舞台の義太夫席の上から見下ろす2階席だ.開幕前から彌十郎が上を見上げて挨拶してくれる.
幕が上がると勘三郎始め一同エンジン全開,黒衣まで演技する抱腹絶倒の舞台が続く.
中でも笹野高史,片岡亀蔵は秀逸.勘三郎を含めた3人の入り乱れてのお組・松若を巡る出入りには腹を抱える.
笹野高史がムーンウォークを演じれば亀蔵はスプリット(バレーの180度前後開脚)を披露するなど,肉体を酷使したギャグに客席からはオーという賛嘆の声.
このギャグの洪水にもかかわらず,決めるべきところでは歌舞伎本来の見得が必ず綺麗に決まるというのが,流石である.
大喜利では歌舞伎の様式通りの舞踊が繰り広げられ,最期の大立ち回りでは背景の扉が開けられ,舞台を覆い尽くす花吹雪の乱舞越しに本当の隅田川と満開の桜,その背後にスカイツリーが見え(た筈である.桜席からは想像するしかない),やんやの喝采.
終了後のカーテンコールには,劇場総立ちのスタンディングオベーションで応える.何とも素敵な舞台であった.
閉幕後も桜席では拍手が続き,勘三郎,橋之助他が手を振って楽屋に引き上げてゆく.中村座はこれだから止められない.
この串田演出の「法界坊」(の成功)には,勘三郎が単なる喜劇役者になってしまうのではないかという批評があるらしい.
しかし,この芝居が魅力的であることは否定できないし,勘三郎がこういう芝居が好きで本人の人柄とも良く合っていることも否定できまい.
一歌舞伎ファンとしては,それ以上のことを言うつもりはない.
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独断的映画感想文:モテキ

日記:2012年4月某日
映画「モテキ」を見る.2
2011年.監督:大根仁.
出演:森山未來(藤本幸世),長澤まさみ(松尾みゆき),麻生久美子(桝元るみ子),仲里依紗(愛),真木よう子(唐木素子),山田真歩(彩海),伊達暁(三浦),りりィ(愛の母),内田慈(千葉),東加奈子(カオリン),傳田うに(出入り業者),上田遥(ミキちゃん),信川清順(小宮山基樹),赤堀雅秋(吉野家の店員),丸尾丸一郎(フェスカップル),祖父江唯(フェスカップル),野波麻帆(土井亜紀),満島ひかり(中柴いつか),松本莉緒(小宮山夏樹),菊地凛子(林田尚子),新井浩文(島田雄一),金子ノブアキ(山下ダイスケ),リリー・フランキー(墨田卓也).
人気漫画が原作の映画.勿論漫画は読んでいない.6
30歳で定食のないおたく青年藤本は,これではいかんと音楽系サイトを運営するメディア会社に応募,ところが編集長墨田の女4名がかち合う騒ぎに巻き込まれ包丁で刺され,その結果見事正社員に採用される.
起死回生,仕事に女に張り切る藤本だが,ツイッターで反応してきたアイコンがゴリラという松尾とオフで会ってみたらこれが何と美少女みゆき.
その夜はみゆきの友人と3人で盛り上がった上藤本のアパートに全員が雑魚寝,夜明けにみゆきと濃厚なキスを味わう.7
その後はみゆきの友人るみ子と寝たり,バーの女・愛のベッドで目が覚めたり,これがモテキかっという濃厚な日々.その中で藤本は揺れ動いていくのだが….
30歳おたくのお馬鹿映画ではあるが,終わってみればこれが何と大純愛映画,普通こういう話の主人公はせいぜい22,3歳と思うのだが.
主人公が30でセカンド童貞で社会人としては1年生でってのは今の世の中しょうがないんですかね.日本は滅びますな.
こういうことはともかくとして,映画としては面白い.随所に挿入される音楽も悪くはない.リズムもテンポも良くて,あっという間に終局までいきました.8
但し,おたく主人公藤本を演じる森山未來はうまいが,長澤,仲のバストをもみしだいたのは許せない.
もっと許せないのは泣いてすがった麻生久美子を突き放したことで,ここでは殺意を覚えた(僕は麻生久美子ファンです).
でも後味は良いし見て損はない映画.
★★★★(★5個が満点)
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2012/04/03

独断的映画感想文:スリーデイズ

日記:2012年3月某日
映画「スリーデイズ」を見る.4
2010年.監督:ポール・ハギス.
出演:ラッセル・クロウ(ジョン・ブレナン),エリザベス・バンクス(ララ・ブレナン),ブライアン・デネヒー(ジョージ・ブレナン),レニー・ジェームズ(ナブルシ警部補),オリヴィア・ワイルド(ニコール),タイ・シンプキンス(ルーク),ヘレン・ケアリー(グレース・ブレナン),リーアム・ニーソン(デイモン・ペニントン).
親子3人で何不自由ない生活を送っていた大学教師ジョン,しかしある朝突然警察が踏み込み妻・ララが逮捕される.
容疑は殺人,ララは無実を主張するが裁判は有罪が確定する.
裁判費用に有り金をつぎ込んだジョンだが,弁護士は上告を諦める様示唆,絶望したララは自殺を図る.
ここに至りジョンはすべてをかけて「脱獄」を決意するが….
冒頭は妻の有罪が確定するまで,中盤は脱獄の構想と準備,最期は実行と,まさに序破急を描く映画の展開がスムース.3_2
特に後半ははらはらどきどきのサスペンス,仕込みに仕込んだ計画,その破綻,警察の動きとその対応が凄まじいテンポで展開され手に汗を握ること必定.
結果がハッピーエンドなのもこの映画の良いところだが,但しこれがハッピーエンドかどうかはよーく考えると微妙なところである.
この過程でララは無実としても,ジョンは正真正銘の強盗殺人犯・脱獄犯となっているからである.1_2
本当のハッピーエンドは真犯人の逮捕ということになろうが,この映画のエピローグでは,真犯人は確かに別にいるがそれは捕まらないということが示されていて,ある種の余韻ある終局となっている.
まあそれもしょうが無いか.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:再会の食卓

日記:2012年3月某日
映画「再会の食卓」を見る.3
2010年.監督: ワン・チュアンアン.
出演: リサ・ルー(ユィアー(玉娥)),リン・フォン(リゥ・イェンション(劉燕生)),シュー・ツァイゲン(ルー・シャンミン(陸善民)),モニカ・モー(ナナ(娜娜)).
国民党軍兵士として1949年の台湾への撤退に巻き込まれた劉燕生は,新婚だった妻と別れ台湾で暮らす.
40年後,劉燕生は台湾から祖国への訪問ができる様になったのを機に,妻・玉娥に再会したい旨の手紙を送る.
玉娥は陸善民と再婚し,劉燕生の息子の他3人の娘達を育て,今は平穏に暮らしている.劉燕生の手紙に娘達は揃って反対の声を上げたが,玉娥の心は動き,また人の良い陸善民は劉燕生を歓迎すると言い出す.
かくて一家は上げて劉燕生を迎える食卓を準備するのだが….
40年の歴史を越え,劇的な変貌を遂げつつある上海を舞台に綴られる,男女・家族の物語.1
劉燕生はこの機会に玉娥を台湾に連れ帰りたいと考え,玉娥も遂にはそれに同調する.二人に打ち明けられた陸善民は妻のためにその申し出を受け容れようと即答するが,心の中には深い葛藤があった.
重ねられる食卓を囲む歓談の度に,変化していくシチュエーションと男女の心が,見事に描かれている.
3人の主役達はいずれも良い人たちで(陸善民は誠に名前通りの好人物である),歴史に翻弄され苦労を重ねながらも生きていこうとするそれぞれの立場に,涙を禁じ得ない.
また,この映画には多くの歌曲が採用され,主役達が食卓でそれぞれに歌う歌曲はなかなかに味があり,映画への彩りとなっている.2
これは蛇足であるが,台湾訪問団が見学する小学校で児童等が歌っていた歌曲は,原曲はジョン・P・オードウェイ(John P. Ordway)による“Dreaming of Home and Mother”とウィキペディアにある曲だが,日本では「旅愁」として知られる唱歌であり,中国では「送別」として知られる唱歌の様である.この歌の挿入も印象的.
物語の結末も心に残る.一見の価値ある映画.
★★★★(★5個が満点)
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2012/04/01

番外:独断的歌舞伎感想文:六代目中村勘九郎襲名披露平成中村座 三月大歌舞伎

日記:2012年3月某日
歌舞伎「六代目中村勘九郎襲名披露平成中村座 三月大歌舞伎」を見る.
夜の部:「一、片岡十二集の内 傾城反魂香(けいせいはんごんこう)  土Nakamuraza201203b
佐将監閑居の場」.
配役:   浮世又平後に土佐又平光起(仁左衛門),土佐将監光信(亀 蔵),土佐修理之助(新 悟),狩野雅楽之助(猿 弥),又平女房おとく(勘三郎).
仁左衛門の魂を込めた演技に胸が熱くなる.
この役は台詞も満足にしゃべれない吃りの役である上,白塗りではない素の仁左衛門が演ずるのだが,素直に感動した.
女房役の勘三郎との絡みがまた宜しい.師匠・土佐将監の亀蔵も好き.
「二、六代目中村勘九郎襲名披露 口上(こうじょう)」.
勘太郎改め勘九郎,幹部俳優出演.新勘九郎を励まし期待する声と共に,歌舞伎を守り育てようという熱意が伝わってくる,中村座の口上であった.
「三、曽我綉侠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)  御所五郎蔵」
配役:御所五郎蔵(勘太郎改め勘九郎),星影土右衛門(海老蔵),傾城逢州(七之助),梶原平蔵(亀 蔵),新貝荒蔵(男女蔵),秩父重介(国 生),二宮太郎次(猿 弥),花形屋吾助(笹野高史),傾城皐月(扇 雀),甲屋与五郎(我 當).
この芝居は1年ぶり,前回は五郎蔵が菊五郎,傾城逢州は菊之助だった.
何と言ってもこの芝居は傾城逢州が哀れである.
それで五郎蔵はというと,これは格好の良い親分の様でいて,実は素寒貧のうえ頭が悪い.
しかし勘九郎が若々しく演じると,その圧倒的な美しさで,悲劇的運命に翻弄される五郎蔵の姿に涙を禁じ得ない.芝居というのは不思議なものである.
「四、元禄花見踊(げんろくはなみおどり)」.
配役:元禄の衆(児太郎,虎之介,鶴 松,宜 生,国 生).宜生が愛らしく懸命に踊って可愛らしい.鶴松は達者,虎之助が女形らしくうまかった.なかなか見応えのある夜の部である.
さあ来月は「法界坊」だ.
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独断的映画感想文:大鹿村騒動記

日記:2012年3月某日
映画「大鹿村騒動記」を見る.2
2011年.監督: 阪本順治.
出演:原田芳雄,大楠道代,岸部一徳,松たか子,佐藤浩市,冨浦智嗣,瑛太,石橋蓮司,小野武彦,小倉一郎,でんでん,加藤虎ノ介,三國連太郎.
300年の伝統を引き継ぐ大鹿歌舞伎の主演・影清役を張る善ちゃんは,大鹿村で鹿肉を食べさせる食堂を営むが,久しぶりに雇ったバイトの雷音は何か訳ありの青年.
いよいよ大鹿歌舞伎の近づく日々,ところが村はリニアモーターカーの賛否を巡って揉めている上,何と18年前に駆け落ちした善ちゃんの女房・貴子と親友の治が,帰ってきた.
治の言うことには,貴子は頭の病気でまだらぼけになり,駆け落ちしたことさえ忘れてしまっているという.
「もうおまえに返す」という治.4
折しも台風の襲来で山崩れが起き,女形の一平が怪我をする.その役「みちしま」は貴子が昔得意とした役で,貴子は台詞を全部覚えていた.
起死回生,貴子と善ちゃんの共演で大鹿歌舞伎の幕は開くが….
という訳で,きら星の様な豪華配役で見せる村歌舞伎を巡る大騒動.
ベテラン俳優達の何とも言えない間での台詞のやりとり,青年の様に若々しい演技への情熱が楽しめる,希有な映画.程よい可笑しさと程よい哀しさのバランスが好ましい.
南アルプスの美しい自然も魅力的だが,何と言っても大鹿歌舞伎そのもの,演ずる俳優や囃子方,おひねりを投げて喝采する村の皆さん,その全てが印象に残る.
出てくる俳優は好きな人ばかりだが,皆年を取った.5
原田芳雄ちゃんがこの映画の完成直後に亡くなったのは実に残念.それを知って見る映画の感想は,「面白うてやがて哀しき…」というところか.
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