独断的映画感想文:再会の食卓
日記:2012年3月某日
映画「再会の食卓」を見る.
2010年.監督: ワン・チュアンアン.
出演: リサ・ルー(ユィアー(玉娥)),リン・フォン(リゥ・イェンション(劉燕生)),シュー・ツァイゲン(ルー・シャンミン(陸善民)),モニカ・モー(ナナ(娜娜)).
国民党軍兵士として1949年の台湾への撤退に巻き込まれた劉燕生は,新婚だった妻と別れ台湾で暮らす.
40年後,劉燕生は台湾から祖国への訪問ができる様になったのを機に,妻・玉娥に再会したい旨の手紙を送る.
玉娥は陸善民と再婚し,劉燕生の息子の他3人の娘達を育て,今は平穏に暮らしている.劉燕生の手紙に娘達は揃って反対の声を上げたが,玉娥の心は動き,また人の良い陸善民は劉燕生を歓迎すると言い出す.
かくて一家は上げて劉燕生を迎える食卓を準備するのだが….
40年の歴史を越え,劇的な変貌を遂げつつある上海を舞台に綴られる,男女・家族の物語.
劉燕生はこの機会に玉娥を台湾に連れ帰りたいと考え,玉娥も遂にはそれに同調する.二人に打ち明けられた陸善民は妻のためにその申し出を受け容れようと即答するが,心の中には深い葛藤があった.
重ねられる食卓を囲む歓談の度に,変化していくシチュエーションと男女の心が,見事に描かれている.
3人の主役達はいずれも良い人たちで(陸善民は誠に名前通りの好人物である),歴史に翻弄され苦労を重ねながらも生きていこうとするそれぞれの立場に,涙を禁じ得ない.
また,この映画には多くの歌曲が採用され,主役達が食卓でそれぞれに歌う歌曲はなかなかに味があり,映画への彩りとなっている.
これは蛇足であるが,台湾訪問団が見学する小学校で児童等が歌っていた歌曲は,原曲はジョン・P・オードウェイ(John P. Ordway)による“Dreaming of Home and Mother”とウィキペディアにある曲だが,日本では「旅愁」として知られる唱歌であり,中国では「送別」として知られる唱歌の様である.この歌の挿入も印象的.
物語の結末も心に残る.一見の価値ある映画.
★★★★(★5個が満点)
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