« 2012年5月 | トップページ | 2012年7月 »

2012年6月に作成された記事

2012/06/29

独断的映画感想文:猿の惑星:創世記(ジェネシス)

日記:2012年6月某日
映画「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」を見る.3
2011年.監督:ルパート・ワイアット.
出演:ジェームズ・フランコ(ウィル・ロッドマン),フリーダ・ピント(キャロライン),ジョン・リスゴー(チャールズ・ロッドマン),ブライアン・コックス(ジョン・ランドン),トム・フェルトン(ドッジ),アンディ・サーキス(シーザー).
アルツハイマー病の特効薬を開発しているウィルは,動物実験の段階で高い知能を発揮したチンパンジーを見出す.
この成果を発表しようと社内の会議に臨むが,このチンパンジーが突然暴れ出して射殺される騒ぎとなり,研究計画は頓挫した.
チンパンジーは妊娠しており,この忘れ形見を引き取ったウィルは,赤子をシーザーと名付け自宅で育てることにする.シーザーはすくすくと育ち,高い知能を示す様になる.
ウィルの父親はアルツハイマー病に悩んでいたが症状が悪化,ウィルは研究所に保存してあった特効薬を持ち出し,父親に試してみると症状は劇的に改善した.
ところが時とともにその効果は薄れ,父親は近所の人とトラブルを起こしてしまう.
窓から見ていて救援に駆けつけたシーザーは,近所の人に暴行を加えてしまい,類人猿の保護施設に収容されてしまった.2
ウィルはシーザーと父親を救うためにある決意をする….
という訳でここから先はネタバレです.
お察しの通り,ここでシーザーはその能力を発揮して知能の高いサルの仲間を増やし,保護施設からの脱走を図る.人間の包囲網をまんまと突破して金門橋を渡り(舞台はサンフランシスコだったんですね),子供の頃から慣れ親しんだアメリカ杉の森に逃げ込んでそこで暮らすのでしたとさ.
これで映画は終わり.
では人類が滅亡し地球が猿の惑星になってしまうのは何故か?
それはウィルの持ち出した特効薬がウィルスだったからですね.しかもサルには免疫があって人類には免疫の無いウィルスであった(そんなことがあるだろうか?).
すると人類を滅ぼしたのは,映画の最初から最後まで悩める被害者を装っていたイケメンの男ウィルだということになります.1
そもそもウィルスの開発に対してこんなにセキュリティのいい加減な製薬会社もあり得ない.
実に後味の悪い結末,何とも受け容れがたい結果である.もう少し違う結末を期待していたのだが,かなりがっかりした.
60点.
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2012/06/19

番外:独断的歌舞伎感想文:ヤマトタケル-新猿之助襲名-

日記:2012年6月某日
新橋演舞場で歌舞伎「スーパー歌舞伎 三代猿之助 四十八撰の内 ヤマトタケル」を見る.Shinbashi201206b
出演:小碓命後にヤマトタケル/大碓命(亀治郎改め猿之助),帝(中車),タケヒコ(右近),ワカタケル(初舞台 團子),兄橘姫/みやず姫(笑也),弟橘姫(春猿),老大臣(寿猿),ヘタルベ(弘太郎),帝の使者(月乃助),倭姫(笑三郎),熊襲弟タケル/ヤイラム(猿弥),尾張の国造(竹三郎),皇后/姥神(門之助),熊襲兄タケル/山神(彌十郎).
幕が開くと劇中の衣装のまま猿之助と中車が平伏している.
二人だけの口上であるが,通常の挨拶に加えて二人はこもごも歌舞伎というもの,襲名というものについての自分の考えを語るのである.
二人の熱情が印象的だった.
一旦幕が下りるが,その幕(写真)は口上の中で猿之助が言及した福山雅治の幕である.Shinbashi120617
中央は猿之助3代の隈取りを重ね合わせたものだそうだ.誰も見たことのないこの隈取りは,代々続く襲名のようだと,口上で新猿之助が言っていた.
.「ヤマトタケル」は2008年3月に市川右近で見たことがある.
その時と同じ感動を得たのは,やはりヤマトタケルの物語が完成度高く胸を打つものだからであろう.
クマソ征伐の胸のすく様な立ち回りも良いが,ヤマトに恋いこがれてタケヒコの腕の中で落命するタケルの哀しさには,涙を誘われる.
今回はとりわけヤマトタケルのテーマの一つである父と子の葛藤が,中車と猿翁の経緯に重ね合わされて観客の感銘にも繋がるのだろう.
新・猿之助は立ち回りよく口跡良く,またヤマトタケルの少年の様な心映えを演ずるに相応しい若々しさを示して,感動的だった.
右近のタケヒコも落ち着きある演技でヤマトタケルと良いコンビネーション.
2階の西の席にいたため,最後の宙乗りは猿之助が目の前を天がけていく.素敵な3時間半だった.
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2012/06/16

独断的映画感想文:奇跡の海

日記:2012年6月某日
映画「奇跡の海」を見る.1
1996年.監督:ラース・フォン・トリアー.
出演:エミリー・ワトソン(ベス),ステラン・スカルスガルド(ヤン),カトリン・カートリッジ(ドド),ジャン=マルク・バール(テリー),エイドリアン・ローリンズ(リチャードソン医師),サンドラ・ヴォー(ベスの母親),ウド・キア(トロール船の男).
最近「アンチクライスト」を見たラース・フォン・トリアー監督1996年の作品,主演はこの2年後に「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」を撮るエミリー・ワトソン.
ベスは感じやすくエキセントリックな娘.数年前に精神病棟に入院したことがあったらしい.
今は両親と兄の未亡人ドドと一緒に,スコットランドの因習厳しいプロテスタントの村で暮らしている.
そのベスが結婚相手に選んだヤンは,海上の油井で働くよそ者.しかし二人は無事村の教会で結婚式を挙げ,新婚生活に入る.
休暇が終わりヤンは油井に戻るが,ベスは10日後の勤務明けが待ちきれず,神に一刻も早くヤンを返してくれる様祈るのだった.3
まもなくヤンは帰ってきたが,油井での事故で重傷を負っていた.手術で命は取り留めたものの全身麻痺の状態になってしまう….
この後ベスはヤンを愛するがあまり極めて困難な状況に立ち至り,遂には教会を追放され母親からも拒絶されてしまう.
そこに至ってもヤンを愛する心が変わらないベスの姿には,涙を禁じ得ない.
この映画は,純粋な愛による「犠牲」の有り様を描いている見事な作品.
エミリー・ワトソンがあまりに純粋なベスを緊張感を持って演じ,感動的である.共演のカトリン・カートリッジも素晴らしい,理性的にベスを支え続けて最後に感情を爆発させるシーンが印象的である.Photo
158分の長尺だが長さを感じさせない.
一見の価値ある映画.★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2012/06/04

独断的映画感想文:メカニック

日記:2012年5月某日
映画「メカニック」を見る.3
2011年.監督:サイモン・ウェスト.
出演ジェイソン・ステイサム(アーサー・ビショップ),ベン・フォスター(スティーブ・マッケンナ),ドナルド・サザーランド(ハリー・マッケンナ),トニー・ゴールドウィン(ディーン・サンダーソン),ジェームズ・ローガン(ホルヘ),ミニ・アンデン(サラ).
アーサーは殺し屋,事故死と見せかける完璧な暗殺を身上とする.
あるとき受け取った組織の指令は,長年の親友であり組織の一員でもあるハリーの暗殺だった.
アーサーはハリーを誘い出し指令を実行する.
ハリーの息子スティーブは薬と酒で身を持ち崩した放蕩息子だった.
アーサーは捨て置けず,まっとうな人間(?)に鍛え上げようとスティーブの身柄を預かる.やがて二人はコンビを組んで組織の仕事をする様になる….2
アーサーとスティーブの奇妙な信頼関係,アーサーの機械の様に精密な仕事がスティーブとのコンビとなって微妙に狂っていく過程,アーサーが自分の父の仇だという事情をスティーブが気付くか気付かないかというサスペンスが,映画の見どころ.
やはりジェイソン・ステイサムの暗殺者としての精緻な動きが魅力的である.
アーサーの愛蔵する車として登場する,ジャガーEタイプも一見の価値あり.
後に残る映画では無いが,このジャンルの映画として水準を遙かに上回る.
★★★★(★5個が満点)
1
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2012/06/03

独断的映画感想文:ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル

日記:2012年5月某日
映画「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」を見る.Mi42
2011年.監督:ブラッド・バード.
出演:トム・クルーズ(イーサン・ハント),ジェレミー・レナー(ウィリアム・ブラント),
サイモン・ペッグ(ベンジー・ダン),ポーラ・パットン(ジェーン・カーター),ミカエル・ニクヴィスト(ヘンドリクス),ウラジミール・マシコフ(シディロフ),ジョシュ・ホロウェイ(ハナウェイ),アニル・カプール(ナス),レア・セドゥー(サビーヌ・モロー).
冒頭はロシアの監獄からの主人公イーサン・ハントの脱出劇,まんまと成功したイーサンはチームでクレムリンに潜入する.
そこでイーサンは「コバルト」と呼ばれる「テロリスト」の情報を探るが,当のコバルト一味と鉢合わせ,辛くも脱出するもコバルト等の仕掛けた大爆発に巻き込まれた上,爆破犯として逮捕されてしまう.
イーサンは脱走して組織に救助を要請するが,米国政府はロシアの言うままイーサン等を「テロリスト」と認定,イーサンのチームを組織から切り離す.Mi43
孤立無援のイーサン等は,たった4人でコバルトの企む核ミサイル奪取に立ち向かうのだが….
モスクワ,ドバイ,ムンバイと地球を股にかけてイーサンが活躍するスパイ大作戦第4話.
とにかくトム・クルーズのスタント無しの猛烈アクションには脱帽,気合いがとにかく尋常ではない.
4人のチームの構成も良くできているし(イーサンの他は美女,3枚目の兄ちゃん,訳ありの分析官),そもそもイーサンが何故監獄に入っていたのかというサイドストーリーの落ちも宜しい.Mi44
アクションシーンと,訳あり分析官やサイドストーリーでのしんみりしたシーンとのバランスも好ましい.期待を裏切らない男の子向き映画.
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

« 2012年5月 | トップページ | 2012年7月 »