独断的映画感想文:奇跡の海
日記:2012年6月某日
映画「奇跡の海」を見る.
1996年.監督:ラース・フォン・トリアー.
出演:エミリー・ワトソン(ベス),ステラン・スカルスガルド(ヤン),カトリン・カートリッジ(ドド),ジャン=マルク・バール(テリー),エイドリアン・ローリンズ(リチャードソン医師),サンドラ・ヴォー(ベスの母親),ウド・キア(トロール船の男).
最近「アンチクライスト」を見たラース・フォン・トリアー監督1996年の作品,主演はこの2年後に「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」を撮るエミリー・ワトソン.
ベスは感じやすくエキセントリックな娘.数年前に精神病棟に入院したことがあったらしい.
今は両親と兄の未亡人ドドと一緒に,スコットランドの因習厳しいプロテスタントの村で暮らしている.
そのベスが結婚相手に選んだヤンは,海上の油井で働くよそ者.しかし二人は無事村の教会で結婚式を挙げ,新婚生活に入る.
休暇が終わりヤンは油井に戻るが,ベスは10日後の勤務明けが待ちきれず,神に一刻も早くヤンを返してくれる様祈るのだった.
まもなくヤンは帰ってきたが,油井での事故で重傷を負っていた.手術で命は取り留めたものの全身麻痺の状態になってしまう….
この後ベスはヤンを愛するがあまり極めて困難な状況に立ち至り,遂には教会を追放され母親からも拒絶されてしまう.
そこに至ってもヤンを愛する心が変わらないベスの姿には,涙を禁じ得ない.
この映画は,純粋な愛による「犠牲」の有り様を描いている見事な作品.
エミリー・ワトソンがあまりに純粋なベスを緊張感を持って演じ,感動的である.共演のカトリン・カートリッジも素晴らしい,理性的にベスを支え続けて最後に感情を爆発させるシーンが印象的である.
158分の長尺だが長さを感じさせない.
一見の価値ある映画.★★★★(★5個が満点)
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