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2012年7月に作成された記事

2012/07/29

独断的映画感想文:ヒミズ

日記:2012年7月某日
映画「ヒミズ」を見る.4_2
2011年.監督:園子温.出演:染谷将太(住田祐一),二階堂ふみ(茶沢景子),渡辺哲(夜野正造),諏訪太朗(まーくん),川屋せっちん(藤本健吉),吹越満(田村圭太),神楽坂恵(田村圭子),光石研(住田の父),渡辺真起子(住田の母),モト冬樹(てつ),黒沢あすか(茶沢の母),堀部圭亮(茶沢の父),でんでん(金子),村上淳(谷村),窪塚洋介(テル彦),吉高由里子(ミキ),西島隆弘(YOU),鈴木杏(ウエイトレス).
映画の冒頭,夏の驟雨の中,女子中学生が文庫本の詩集を朗読している(ヴィヨン詩集・雑詩・三「軽口のバラード」).
続いて3/11の津波で壊滅した市街地の描写.モーツァルトのレクイエムがバックに流れる.
住田祐一は母と共に貸しボート屋の小屋で暮らす中学生.将来になんの希望も持たず,中学卒業後はボート屋として平凡に生きていくことだけが望みだ.
父は不在だが時にこの小屋を訪れ,祐一を殴り倒して子供の頃に死ねば良かったんだ,と繰り返し言う.母はたびたび男を引き込んでいたが,やがて祐一を捨てて男の元に去った.
祐一を一途に慕う茶沢景子の家庭も壊れており,母は景子を忌み嫌い父はその妻を溺愛している.母は自室に景子を吊すための絞首台を製作している.6
貸しボート屋の周辺には震災を逃れて来たホームレスが住み着いていて,彼等は祐一を好いているが,ある日父の作った借金を取り立てに来たマチ金が,祐一も彼等も袋だたきにして行く.
祐一はその夜訪れた父を遂に殺害し,死体を埋めた.祐一はせめて誰でも良い,悪党を一人殺して世の中のためになることをしようと,包丁を手に街を放浪する….
すべてを失いそれでも生きていく人々の中にあって,自分を肯定できない祐一と景子の死と再生を描く.
祐一が悪党を求めて彷徨う街は,何と荒んだ街だろう.
人の不幸を種に金を荒稼ぎしていく者達,つまらないことに切れて弱者を殺傷する者達,では祐一はそいつ等とどう違うのか(彼をたたきのめしたマチ金の社長の方がよほど上等な人物ではないか?).
その絶望する祐一と共にたたきのめされ,共に罪を犯し,共に雨の中を走る景子やホームレス達.
彼等の映像には涙を禁じ得ない.津波で破壊された街の映像と共に,心に残る映画.2_2
俳優では染谷将太,二階堂ふみの熱演が素晴らしい.渡辺哲,光石研,でんでんも期待通りの味.
音楽的には,レクイエムとバーバーの「弦楽のためのアダージョ」の使用は悪くないが,いささか手垢のついた感じがする.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船

日記:2012年7月某日
映画「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」を見る.0
2011年.監督:ポール・W・S・アンダーソン.
出演:ローガン・ラーマン(ダルタニアン),ミラ・ジョヴォヴィッチ(ミレディ),オーランド・ブルーム(バッキンガム公爵),クリストフ・ヴァルツ(リシュリュー枢機卿),マシュー・マクファディン(アトス),レイ・スティーヴンソン(ポルトス),ルーク・エヴァンス(アラミス),マッツ・ミケルセン(ロシュフォール隊長),ガブリエラ・ワイルド(コンスタンス),ジェームズ・コーデン(プランシェ),ジュノー・テンプル(アンヌ王妃),フレディ・フォックス(ルイ13世).
映画の冒頭は夜のヴェネチア.
とある建物に忍び込んだアトス,アラミス,ポルトスと美女ミレディ.4人はまんまと地下の隠し所からダ・ヴィンチの飛行船の設計図を盗み出すが,祝杯に毒を仕込んだミレディの差し金で図面はイギリスのバッキンガム公爵に強奪される.5
2年後のフランスは,若きルイ13世の治世だが実権は枢機卿リシュリューが握っている.
その配下衛士隊が市中を制圧,先の失敗がたたって銃士隊は休業中である.
銃士隊に入るべくパリにやってきたダルタニアンは,その三銃士と決闘することになるが,衛士隊とのトラブルに三銃士と共に勝利し,王に謁見して銃士となることに成功する.
折りしもリシュリューの陰謀で王妃アンヌの首飾りはミレディにより盗まれ,バッキンガム公爵の手に渡る.英仏の戦争を回避しアンヌの名誉を守るべく,三銃士とダルタニアンは首飾り奪回に立ち上がる….
アレクサンドル・デュマの古典を滅茶苦茶に作り替え,シリーズ化の下心見え見えの剣劇アクション映画.
2隻の飛行船の空中戦など見どころは満載,何となく「パイレーツ・オブ・カリビアン」の二番煎じと見えないこともないが,アクションとしては面白く見た.4
悪役には毒がなく,後に残るものは何もない単純明快な映画だが,ヒーローは若くて生きが良く,伊藤つかさ似の王妃アンヌが可愛らしく,CGもまずまず.
★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:アンダーワールド 覚醒

日記:2012年7月某日
映画「アンダーワールド 覚醒」を見る.1
2012年.監督:モンス・モーリンド.ビョルン・スタイン.
出演:ケイト・ベッキンセイル(セリーン),スティーヴン・レイ(レーン博士),マイケル・イーリー(セバスチャン),テオ・ジェームズ(デビッド),インディア・アイズリー(イヴ),チャールズ・ダンス(トーマス).
ヴァンパイアとライカン(狼男)の存在が明らかになり,人類は紫外線と銀弾で両者の殲滅を図る.
その渦中に巻き込まれたヴァンパイア・セリーンとライカン・マイケルは,共にバイオ企業・アンディジェン社の研究対象として冷凍監禁される.
ある日侵入者の操作により覚醒したセリーンは脱出するが,既に捕らえられてから12年が経過したことを知る.
人類はヴァンパイアとライカンを制圧していたが,セリーンはライカンに襲われ,同じく襲われていた少女イヴと共にヴァンパイアの青年に救われ,ヴァンパイアの隠れ家に案内される.そこもライカンに襲われるのだが….2
人類に制圧された世界でライカンは何故執拗にヴァンパイアを襲うのか?少女イヴの正体は?
圧倒的なアクションで綴られる最強のヴァンパイア・セリーンの新たな物語.
ケイト・ベッキンセール主演のこのシリーズは妙に好きである.
セリーン自身の美貌もさることながら,不老不死の愛し合うカップルの,歴史を越えた物語が紡ぎ出す超人間的感情が心に残るのだ.
今回の「覚醒」は88分と短い作品だが,次のシリーズに繋がる重要な要因が付け加えられた.
マイケルはふたたび行方が分からなくなったが,セリーンはもはや一人ではない.この先遙かにどのような旅路が彼女を待っているのか?期待を次につなげる重要な作品.7_2
★★★☆(★5個が満点)
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2012/07/16

番外:独断的歌舞伎感想文:2012年7月国立劇場 毛抜 (けぬき)

日記:2012年7月某日
歌舞伎「市川團十郎=監修 歌舞伎十八番の内 毛抜 (けぬき) 一幕 小野春道館の場」を見る.H247kenukihonchiraomote2
出演:片岡愛之助,市川高麗蔵,片岡市蔵,澤村宗之助,大谷廣松,大谷廣太郎,松本錦吾,坂東秀調,大谷友右衛門,片岡秀太郎,片岡りき彌.
典型的な歌舞伎荒事で,豪傑・粂寺弾正が大活躍.
弾正は主君の家にお輿入れ予定の姫君・錦の前の,髪が逆立つ奇病を解決するのだが,そのあいまに若衆やお女中(いずれも高麗蔵,秀太郎というベテランが演じるのが傑作)にちょっかいをかけて振られたり,その度に観客に反省して見せたりするお茶目な様が可笑しい.
最後は槍を突いて天井から磁石をもった忍者を叩き落としたり,悪い家老を一刀のもとに斬り倒したりと獅子奮迅の働きでめでたしめでたしとなる.
愛之助が大声を張り上げて,荒事らしい大ぶりな演技を披露した.痛快脳天気な歌舞伎らしい歌舞伎で,拍手喝采のうちに終了.
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独断的映画感想文:一命

日記:2012年7月某日
映画「一命」を見る.8
2011年.監督:三池崇史.音楽:坂本龍一.
出演:市川海老蔵(津雲半四郎),瑛太(千々岩求女),満島ひかり(美穂),竹中直人(田尻),青木崇高(沢潟彦九郎),新井浩文(松崎隼人正),波岡一喜(川辺右馬助),天野義久(佐々木),大門伍朗(和尚),平岳大(井伊掃部頭直孝),笹野高史(宗祐),中村梅雀(千々岩甚内),役所広司(斎藤勘解由).
戦国の世がようやく治まった寛永11年(1634年).
井伊家に訪れた浪人津雲半四郎は,玄関先を借り受け自刃したいと申し出る.
大名家の庭先を借りて切腹を申し込む「狂言切腹」が横行している折から,家老・齋藤勘解由は,二月程前に同じ申し出をして竹光で切腹する羽目になった千々岩求女の一件を物語る.3
津雲はその話に動ぜず,あくまで自刃したいと求めるので井伊家はその支度を調えるが,その切腹の場で津雲は意外な話を始めるのであった….
本作のリメーク元である「切腹」も以前見ている.
この映画で辛いのは,津雲半四郎が語る彼等一族の貧窮の物語であろう.
改易のために浪々の身となった千々岩・津雲の(両家は姻戚である)従兄弟同士の求女・美穂を一人で育てた半四郎.二人の思いを成就すべく,求女・美穂を夫婦とするが,これは結局貧困の再生産となる.美穂が労咳に倒れ一人息子まで流行病にかかって,求女は「狂言切腹」に走らざるを得ない.
学者の家であるのに,書籍はすべて売り払われ,刀まで質入れしてもう後がないその貧困.映画は容赦なくその状況を描写し,それを見続ける中盤はいかにも辛かった.1
役者は瑛太,満島ひかりが好演,見応えのある演技を堪能できる.特に満島の死と直面しつつ生きようとする美穂の演技は,哀切である.
海老蔵は時代劇での存在感は流石である.しかし台詞が何を言っているのか聞き取れないのは,大いに不満.
津雲半四郎は本作では大刀をわざわざ竹光にして乗り込むが,「切腹」では,半四郎は竹光どころか,お家伝来の斬馬刀を振るって関ヶ原を知らない井伊家の郎党の死体の山を築く.津雲半四郎の造形は,観客としてはむしろこちらが納得がいく.2
映画全体は,時代劇としての要件を良く満たし,見応えある画面に仕上がっている.
坂本龍一の音楽も良いが,映画としては音楽に頼らない構成が好ましい.
★★★☆(★5個が満点)6
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2012/07/09

独断的映画感想文:ドラゴン・タトゥーの女

日記:2012年7月某日
映画「ドラゴン・タトゥーの女」を見る.C
2011年.監督:デヴィッド・フィンチャー.原作:スティーグ・ラーソン.
出演:ダニエル・クレイグ(ミカエル・ブルムクヴィスト),ルーニー・マーラ(リスベット・サランデル),クリストファー・プラマー(ヘンリック・ヴァンゲル),スティーヴン・バーコフ(ディルク・フルーデ),ステラン・スカルスガルド(マルティン・ヴァンゲル),ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン(ニルス・ビュルマン),ベンクトゥ・カールソン(ホルゲル・パルムグレン),ロビン・ライト(エリカ・ベルジェ),ゴラン・ヴィシュニック(ドラガン・アルマンスキー),ジェラルディン・ジェームズ(セシリア),ジョエリー・リチャードソン(アニタ),インガ・ランドグレー(イザベラ・ヴァンゲル),ペル・ミルバーリ(ハラルド・ヴァンゲル).B
映画のオープニングタイトルのバックにツェッペリンの「移民の歌」フルコーラスが流れる.まずはこれで映画に引き込まれてしまう.
冒頭,電話する老人二人,今年も送られてきましたと話す.テーブルの上には野草の押し花.
さて,大物実業家の不正行為を暴いた月刊「ミレニアム」の記者ミカエルは,名誉毀損裁判に敗れ資産を失う窮地に陥る.そんな彼に引退した実業家ヘンリックが自分の評伝を書いて欲しいと連絡してきた.
しかしその真の依頼は,40年前に起きた親族の少女ハリエットの失踪事件の真相究明にあった.ハリエットは失踪前から,毎年ヘンリックの誕生日に押し花を送っていた.今でも押し花が送られてくるが,誰がそれを送ってくるのか.
一族の本拠地であり事件の発生現場でもある島のコテージに滞在したミカエルの捜査は,思う様に進まない.そこにヘンリックの弁護士が,情報収集のための助手・リスベットを紹介する.
彼女は過去に事件を起こし保護観察中だったが,天才的ハッカーでフットワークの良いエージェントだった.ミカエルとリスベットの捜査により,40年前の恐るべき真相が徐々に姿を現してくる….9
原作は未読.しかし北欧スェーデンを舞台とした暗澹たる事件の解明という緊張感が,映画の画面からひしひしと伝わり,158分の長尺があっという間だ.
ミカエルは離婚し「ミレニアム」の経営者エリカ(ロビン・ライト,好きです)と不倫関係にある.一人娘とは仲が良いが宗教は異にする.
リースベットは過去に起こした事件もあって反社会的行動を取る.理解者であった保護観察人が脳溢血に倒れ,交代した保護観察人は精神病院への収容権をたてに彼女に性的服従を迫る,というピンチを迎える.
ヘンリックの一族は過去にナチズムに傾倒した反ユダヤ主義者もいて,互いに不仲である.A
こういう登場人物の複雑な事情が明らかになっていき,謎はより深く暗い様相を呈していく.その謎を切り裂いていくミカエルと少女リスベットとのコンビネーションが新鮮だ.特にリスベットの「地獄の天使」的魅力は何物にも代えがたいこの映画最大のポイント.ラストシーンのリスベットの姿には涙を禁じ得ない.
北欧の冬の映像イメージも物語世界と良く合って印象的だ.物語の面白さ,謎解きのサスペンス,俳優の魅力,テンポ良い画面展開等いずれも素晴らしい,一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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2012/07/06

独断的映画感想文:コンテイジョン

日記:2012年7月某日
映画「コンテイジョン」を見る.5
2011年.監督:スティーヴン・ソダーバーグ.
出演:マリオン・コティヤール(ドクター・レオノーラ・オランテス),マット・デイモン(ミッチ・エムホフ),ローレンス・フィッシュバーン(エリス・チーヴァー博士),ジュード・ロウ(アラン・クラムウィディ),グウィネス・パルトロー(ベス・エムホフ),ケイト・ウィンスレット(ドクター・エリン・ミアーズ),ブライアン・クランストン(ライル・ハガティ海軍少将),ジェニファー・イーリー(ドクター・アリー・ヘクストール),サナ・レイサン(オーブリー・チーヴァー).1
映画の冒頭,咳き込みながら携帯をかけている女性,シカゴの浮気相手との再会を約している.
香港から帰ってきたその女性は翌日発病,痙攣を起こして救急搬送されるがそのまま息を引き取る.家でベビーシッターが見ていた幼い息子も死んだ.
父親のミッチは免疫があったのか発病を免れたが,その時香港で,シカゴで,猛烈な勢いで新型ウィルス性疾患が流行を開始した.4
それと闘うWHO,米国疾病予防管理センター(CDC)の闘いを中心に,パニックに陥る人々,荒廃していく都市等をリアルに描くサスペンス映画.
キャストがすごいが,マット・デイモンってこんなに肥っていたっけ?ジュード・ロウってこんなに禿げていたっけ?役作りか老けたのか判らないが,そんなことが気になって….
良くできた映画だが,あまりこの手のサスペンスを見たくないのは,現実にこういうことが起こる確率は決して低くないことが分かっているからだ.3
映画の後半では別のことも考えた.
CDCの誠実な指導者チーヴァー博士が,シカゴが感染の拡大を防ぐために閉鎖される直前に,同市に住む恋人に脱出する様電話をかける.
このことがメディアに漏れ,博士は後日議会に喚問されることになるが,博士は「最も愛する者のために自分が取った行動は後悔していない」と述べる(「正しい」と言ったのではなく,「後悔していない」と言ったのだ).2
では日本では昨年の3月11日以降,福島原発のメルトダウンを政府・電力が否定しているとき,文部科学省がSPEEDIの分析結果の公開を拒絶していたときに,我が原子力ムラの人々で福島在住の親類縁者友人がいた者は,密かに脱出を勧める電話をかけたのだろうか.
今更どうでも良いことではあるが,こういう映画を見ると,そのことを考えずにはいられない.彼らが国会に喚問されることは決してないだろうから.6
★★★☆
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2012/07/03

独断的映画感想文:恋の罪

日記:2012年6月某日
映画「恋の罪」を見る.3
2011年.監督:園子温.
出演:水野美紀(吉田和子),冨樫真(尾沢美津子),神楽坂恵(菊池いずみ),児嶋一哉(正二),二階堂智(吉田正男),小林竜樹(カオル),五辻真吾(木村一男),深水元基(マティーニ真木),内田慈(土居エリ),町田マリー(マリー),岩松了(スーパーの店長),(友情出演)大方斐紗子(尾沢志津),津田寛治(菊池由紀夫).
渋谷円山町の廃アパートの一室で女性の遺体の一部が見つかった.マネキン人形と組み合わせてあったその遺体の主は誰か.
女性刑事吉田が担当となって進む捜査線上に,行方不明者・菊池いずみ,尾沢美津子が浮かぶ.
菊池いずみはピュアな人気作家の貞淑な妻,尾沢美津子は東都大学の准教授だが,いずれもセックスに関わる葛藤を抱えていた.2_2
吉田自身も夫と子供のいる家庭がありながら,夫の友人との不倫に身を任せている….
3人の女の性に憑かれた行動の織りなす悲劇を描く映画.
物語は菊池いずみの行動のエスカレーションを軸に,それにまつわって登場し菊池いずみを領導する形となる尾沢美津子を描く.その消息を追う吉田刑事.3人の人物像に対する園子温監督の強い信念を感じる映画(それがなければ只のポルノ映画である).
俳優では神楽坂恵,富樫真が熱演,児嶋一哉は不気味なキャラクターを良く表現(というかそのまんまか?).1_2
中心的登場人物のほぼすべてが包丁を握り,その半数が包丁で刺されたり自らを刺したりして死んでいくという,楽しくはないがその迫力には引きずり込まれる.映画の最後でいずみは悲惨であるが,その有り様は共感できないことはない.その点で,「冷たい熱帯魚」とは異なる映画.
★★★☆
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