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2012年8月に作成された記事

2012/08/31

独断的映画感想文:ラブ・アゲイン

日記:2012年8月某日
映画「ラブ・アゲイン」を見る.1
2011年.監督:グレン・フィカーラ,ジョン・レクア.
」出演:スティーヴ・カレル(キャル・ウィーバー),ライアン・ゴズリング(ジェイコブ・パーマー),ジュリアン・ムーア(エミリー・ウィーバー),エマ・ストーン(ハンナ),ジョン・キャロル・リンチ(バーニー),マリサ・トメイ(ケイト),ケヴィン・ベーコン(デイヴィッド),ジョナ・ボボ(ロビー・ウィーバー),アナリー・ティプトン(ジェシカ).
結婚して25年のお堅い中年男キャルは,ある日のレストランでの夕食中突然妻に「離婚して!!」と迫られる.
妻のエミリーは職場の同僚デイヴィッドと寝たというのだ.
家を妻に明け渡しアパートで一人住まいとなったキャル,夜な夜なバーに通っては妻に裏切られたと誰彼舞わず話しかける始末.
そのバーで女性にもてまくっていたジェイコブがそんなキャルに声をかけ,ファッションから会話術迄じっくりキャルに教え込む.6
キャルは,見事女性を射止めてアパートに連れ込むが,その女性は何と息子の担任の先生だった….
この映画前半は退屈です.
そもそも妻が浮気したのに,何故キャルは息子を妻の元に残し家を出なければならなかったのだろう?まあそこはそういうものとしても,その後のキャルの惨めな行動や,ジェイコブの華麗な女あさりなど,見たくもないし興味も無い.よほど途中で止めようかと思った.
ところが途中から人間関係上の「実は」という話が続々と出てくる.その複雑に入り組んだ関係が破綻し,一旦は絶望的な状況に.その後息子の卒業式での起死回生の出来事が….というまあオーソドックスなハッピーエンドにつながるお話し.7
終わってみれば結構楽しめたラブコメディ.
ジェイコブのサイドストーリーと思わせたハンナとの恋もなかなか良かった.気軽手軽に楽しめる映画です.
後には何も残りません.
★★★(★5個が満点)
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2012/08/19

独断的映画感想文:ワイルド7

日記:2012年8月某日映画「ワイルド7」を見る.4_2
2011年.監督:羽住英一郎.
出演:瑛太(飛葉大陸),椎名桔平(セカイ),丸山隆平(パイロウ),阿部力(ソックス),宇梶剛士(オヤブン), 平山祐介(ヘボピー), 松本実(B・B・Q),要潤(藤堂正志),本仮屋ユイカ(岩下こずえ),中原丈雄(成沢守),吉田鋼太郎(桐生圭吾),深田恭子(本間ユキ),中井貴一(草波勝).
国家警察の秘密組織,ワイルド7は,手に負えない悪人を問答無用で制圧する超法規的組織.メンバーはいずれも重大な犯罪を過去に犯している.
凶悪犯罪制圧に出動するワイルド7だが,リーダーの飛葉は同じ現場に現れて犯人を射殺して去って行くライダーを追及していた.
そんなある日,飛行船に厚労省が米軍と共同開発したウィルスを積み,東京上空で爆破するとのテロリストからの脅迫事件が発生する.
ワイルド7は出動し事件は解決するが,そこにもそのライダー本間ユキは現れる.
一方,ワイルド7の指揮官草間は,公安調査庁の情報収集組織PSUの責任者桐生が,事件発生後その報告までの時間差を利用して巨額の利益を得ているとの疑惑を突き止める.
ワイルド7は草間の指令で桐生の制圧に出動するが….
70年代コミックの実写映画.まあ原作を知っているものと知らないものとでは,映画の評価も随分違うんでしょうね.2
僕は知っている世代だが,何と言っても飛葉のキャラクターが違いすぎることに困惑する.
もともと少年漫画の主人公である飛葉は,もっと明るくひょうきんなタイプなのだが(それが悪党制圧の時には豹変する迫力が人気のもと),本作の飛葉は暗く沈鬱で,笑顔の一つさえ見せない暗い(しかも生真面目な!!)キャラクターだ.
その相方である本間ユキは,本作ではその出自は明らかにされたものの,クライマックスでの戦闘には参加せず,それはシリーズ化を狙う次回作以降に持ち越された.
という訳でいろいろ腑に落ちない点は残る本作だが,映画としての面白さはまずまずの水準と思う.
PSUという敵の牙城にオートバイで突っ込むという観客の期待する結果を,曲がりなりにも実現したことが最大のポイント.
阻止線を突破し2階のフロアにバイクのまま駆け上がってオフィスを蹂躙するワイルド7は,アクションシーンとして絵になっていた.1
まあ不満を言えば切りはないが,それは今後の課題として貰おう.
本仮屋ユイカの活躍も今後次第.という訳で感想としては次回作以降を期待する形になった.なんか変だな.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:永遠の僕たち

日記:2012年8月某日
映画「永遠の僕たち」を見る.3
2011年.監督:ガス・ヴァン・サント.
出演:ヘンリー・ホッパー(イーノック),ミア・ワシコウスカ(アナベル),加瀬亮(ヒロシ),シュイラー・フィスク(エリザベス),ジェーン・アダムス(メイベル),ルシア・ストラス(レイチェル),チン・ハン(ドクター・リー).
一部ネタバレがあります.
映画の冒頭,アスファルトの上に横たわり,自分の体の周囲に白いチョークで線を引く少年.バックにビートルズの「トゥー・オブ・アス」が流れる.
イーノックは見知らぬ人の葬式に出席する遊びを繰り返す少年.ところがある葬式で,自分が会葬者ではないと見破った少女に出会う.
その少女アナベルとはその後公園で会う.6
イーノックは交通事故で両親を亡くし,自身も3ヶ月間意識不明だった.その間臨死体験をし,気がつくと日本人の特攻隊の戦死者ヒロシの幽霊が付き添っていた.
以来他人には見えないヒロシの幽霊が,イーノックの唯一の友人である.
一方,アナベルはダーウィンを尊敬する自然の観察者,しかし脳腫瘍で余命3ヶ月と告げられている.
2人は次第に惹かれあい,ハロウィーンの夜に結ばれるが….
死にとらわれて苦しむ少年イーノックと,死から逃れられない少女アナベルの恋の物語.
しかし悲壮感はなく,透明感あふれる映像が印象的だ.
ヒロシを加えた3名の不思議な連携が映画に変化と奥行きを与えている.
デニス・ホッパーの息子ヘンリー・ホッパーとミア・ワシコウスカが共に清潔感あるカップルを好演.ワシコウスカの笑顔は実に魅力的である.加瀬亮の幽霊は味が合って,特攻服もよく似合う.
映画の最後で,それまでヒロシが見えなかったアナベルが,特攻服を燕尾服に着替えて現れたヒロシと挨拶(日本風のお辞儀だ)を交わすシーンが印象的.4
彼等の哀しみには涙を禁じ得ないが,見終われば素直に感動できる佳作である.
★★★★(★5個が満点)
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2012/08/14

独断的映画感想文:愛のむきだし

日記:2012年8月某日
映画は「愛のむきだし」を見る.3
2008年.監督:園子温.
出演:西島隆弘(角田ユウ),満島ひかり(ヨーコ),安藤サクラ(コイケ),尾上寛之,清水優,永岡佑,広澤草,玄覺悠子,中村麻美,渡辺真起子(サオリ),渡部篤郎(角田テツ).
237分という長尺で名高い園子温監督の大作.
ユウは敬虔なキリスト教徒を両親に持つが,母は「マリア様の様な恋人を見つけなさい」と言い残し病死する.父はそれを期に神父を志し,カソリックの神父となって教会の司祭となる.
ところが信徒のサオリが父に強引に迫るとあっけなく父はサオリと同棲,しかしサオリは3ヶ月で別の男と駆け落ちしてしまう.それ以来父はユウに日々懺悔を強制する様になる.
懺悔することなどない出来の良いユウは,以降父を喜ばすために罪を重ねる様になり,ふとしたきっかけから不良グループに入り,盗撮のプロとなる.
作品の出来を仲間と競っていたユウは,あるとき勝負に敗れ,女装して出会った女子高生とキスをするという罰ゲームをする羽目になる.1
一方サオリの前夫の連れ子ヨーコは,女出入りの激しい父に性的いたずらをされて以来の男嫌い,今はサオリと生活を共にしている.
コイケはやはり幼いとき虐待を受けて育ったが,父が脳出血で倒れたときに復讐を果たし,今はカルト教団の活動家として辣腕をふるう.
コイケはある目的を持ってヨーコを手下の男達に襲わせるが,ヨーコはその場に乱入した女装のユウと共に全員をやっつけてしまい,罰ゲームのつもりでキスをしたユウもされたヨーコも,その瞬間,恋に落ちてしまう….
というプロローグで始まる(ここで映画の題名が初めて表示されます.既に1時間経過)ユウとヨーコの運命の恋の物語.
この映画は長大な純愛映画で,ユウとヨーコの関係ももちろん純愛だが,一方でサオリと父テツとの関係も純愛以外の何ものでもなく,更にコイケの思いも純愛としか言い様がない.
映画はこの後,悪魔の様なコイケの企みにより翻弄されるユウとヨーコ,サオリとテツの運命の変転とカタストロフ,そしてエピローグを描いていくのだが,長時間を意識させない快調なテンポと豊富なエピソードで,最後まで一気に見ることができる.
特に主役の3名の熱演は素晴らしい.
西島隆弘は明るいキャラと流石の軽快な身のこなしで,ユウを最後まで演じきった.
安藤さくらの不気味さ・気色悪さは絶品である.これだけ印象が強いともう2度と感じの良いヒロイン役は来ないであろうが,果たして「それでも,生きている」で同様なキャラクターで満島と共演を果たしている.
満島ひかりのエネルギーは凄まじく,しかもどの瞬間をとっても愛らしい.これほど全編に亘って魅力を発揮し続けるヒロインは,希有ではないか.2
マインドコントロールを受けたヨーコを救おうとユウが対決したとき,ヨーコが聖書コリント人への手紙の13章を暗唱し続ける長回しのシーンがあるが,このシーンは本作の白眉であろう.
この映画は彼女の映画だと言って言い過ぎではあるまい.
音楽では,長い経過を緊張感を維持して盛り上げていくのに,ベートーベンの第七交響曲第2楽章や,ラベルのボレロを使ったシーンは好ましい.
長さにめげず見る価値あり.満島ファンは必見.
★★★★☆(★5個が満点)
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2012/08/13

独断的映画感想文:インモータルズ -神々の戦い-

日記:2012年8月某日
映画「インモータルズ -神々の戦い-」を見る.6
2011年.監督:ターセム・シン・ダンドワール.
出演:ヘンリー・カヴィル(テセウス),ミッキー・ローク(ハイペリオン),ジョン・ハート(老ゼウス),スティーヴン・ドーフ(スタブロス),フリーダ・ピント(パイドラ),イザベル・ルーカス(アテナ),ルーク・エヴァンス(ゼウス),ケラン・ラッツ(ポセイドン).
遠い昔神々が争い,勝利したゼウス達は,敗者タイタンの神々を地底深くに封じ込めた.
時代は下って古代ギリシャ時代,残忍な王ハイペリオンが強大な軍を率いてギリシャに侵攻する.
ハイペリオンは自分の野望を果たすためタイタンを解き放とうと考え,そのために必要な“エピロスの弓”を求めてその行方を知る巫女ハイドラを捕らえる.
ゼウスが密かに鍛えた若者テセウスは,平民ながら戦士となり,ハイドラと共にハイペリオンとの戦いに立ち上がる….1
「落下の王国」を撮ったターセム・シン監督の作品で,「圧倒的な映像美」が売り.
最新のCGを駆使したその映像は確かにたいしたものだが,映画全体があまりにもグロテスクで,正視に耐えない.
ギリシャ神話もオーソドックスなものとはおよそかけ離れたなんちゃって神話で,物語としても受け容れ難い.そもそもハイペリオンの軍が人間なのに,何故ギリシャを襲ってタイタン神を解放しなければならないのか,訳が分からない.
とにかく始まってから終わるまで,人間だろうが神だろうがお構いなく殺し合う.血しぶき飛び首が飛び,生きながら焼き殺されるという殺戮のオンパレード.これを「最新技術の映像美」で見せつけるのを,エンターテインメントとして認めることはできない(つまり<この映画だいっ嫌い>ということです.悪しからず).4
☆(★5個が満点)
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2012/08/12

番外:独断的歌舞伎感想文:桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)

日記:2012年8月某日
新橋演舞場で「八月花形歌舞伎 昼の部」を見る.Shinbashi201208b
「桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)」:発端 江の島稚児ヶ淵の場,序幕 新清水の場・桜谷草庵の場,二幕目 三囲の場,三幕目 岩淵庵室の場,四幕目 権助住居の場,大詰 浅草雷門の場.
出演:白菊丸/桜姫(福助),清玄/稲野屋半兵衛(愛之助),粟津七郎(右近),葛飾のお十(笑也),吉田松若(児太郎),奴軍助(弘太郎),端女お咲(歌江),入間悪五郎(亀蔵),残月(市蔵),長浦(萬次郎),釣鐘権助/大友常陸之助頼国(海老蔵).
四世鶴屋南北作の隅田川ものの一つ.
17年前,稚児・白菊丸との道ならぬ恋に心中を企図した清玄は,一人生き残り今は高僧となっている.
京都吉田家の息女・桜姫は,父を殺されお家の重宝「都鳥の一巻」を盗まれた上,弟・梅若まで殺され,お家は断絶の危機にある.
生まれつき左手が開かない桜姫は,縁談も破れ,今は出家を願って清玄のもとを訪れる.
清玄の念仏でその左手は開き,中から香箱の片身が現れるが,それは白菊丸に清玄が送ったものだった.清玄はここで姫が白菊丸の生まれ変わりと知る.Sakurahimeazumabunsyo_201208_poster
ところが剃髪を待つ庵室に現れた釣り鐘権助は,かって屋敷に忍び込み,姫を手込めにした張本人,姫はその男を慕って自らの腕に釣り鐘の刺青を彫っていた.
再び権助に身を任せた姫は不義の罪で捕らえられ,清玄は女犯の罪を自らかぶって,追放となる….
といった因縁が奇怪に入り組んだ怪談を交えた物語.
福助が複雑な出自のお姫様・女郎を見事に演じている.4幕の緊張感あふれる幕切れには息を呑んだ.
桜姫の局・長浦の主人顔負けの数奇な運命も面白く,演じた萬次郎の達者な芝居が印象的.
入り組んだ筋立てをうまく整理した脚本も見事.
終了3時.
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2012/08/08

独断的映画感想文:ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

日記:2012年8月某日
映画「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」を見る.3
2011年.監督:スティーヴン・ダルドリー.
出演:トム・ハンクス(トーマス・シェル),サンドラ・ブロック(リンダ・シェル),トーマス・ホーン(オスカー・シェル),マックス・フォン・シドー(賃借人),ヴァイオラ・デイヴィス(アビー・ブラック),ジョン・グッドマン(スタン),ジェフリー・ライト(ウィリアム・ブラック),ゾー・コードウェル(オスカーの祖母).
ちょっと変わった少年オスカーは,父親と大の仲良し.父と「調査研究」のゲームをするのが大好きだ.
今回は,ニューヨーク市にはかって第6区という幻の区があったが,その証拠を見つけようというもの.父はオスカーに「第6区」の様々なエピソードを語り,オスカーは夢をふくらませる.
そんなある日,街は朝から騒然とする.学校は早引けとなり,オスカーが帰宅すると留守電に父からの伝言が入っている.父は何とワールド・トレード・センター・ビルの106階に打合せのために来ていたのだ.
やがてビルは崩壊し父は帰らぬ人となった.1
以来オスカーは深い絶望の中で暮らしている.公共交通機関には乗ることが出来ない.細い橋を渡ることが出来ない.ガスマスクを手放すことが出来ない.母親ともしっくりいかない.
ある日父のクローゼットを探していたオスカーは,誤って青い壺を割ってしまう.中から思いがけず封筒に入った鍵が出てきた.
封筒に記されたBlackの文字を頼りに,オスカーはニューヨーク中のBlack氏をしらみつぶしに訪ねて,父の残したメッセージの謎を解こうと決意する.
大好きな祖母の家にその頃間借りを始めた,口のきけない老人と仲良くなったオスカーは,その老人と共に調査を開始する….
アスペルガーの傾向がうかがえる主人公オスカーと母親の,深い喪失感と再生の物語.
この映画で感じられることは,9/11を巡りテロリストへの非難もなく復讐もなく,ただひたすら死者の鎮魂を願い残された者の再生を願うその姿勢である.2
自宅に居るオスカーが,時に悲しみに耐えきれず叫び泣きわめく.映画は淡々とその状況を描写する.また街を歩くオスカーは9/11の遺族だと言うとハグされキスされる.オスカーも悲しみを抱えている人に「ハグしようか」と聞く.
この様な哀しみをたたえたアメリカ映画は久しぶりだ.ささやかなエピソードにぽろぽろと涙がこぼれる.
物語は意外な展開の後にオスカーと母親の,そして間借り人の老人の再生へと繋がるのだが,この3名の俳優がいずれもよろしい.
特に大好きなマックス・フォン・シドーは筆談でしかコミュニケートできないというややこしい役ながら,素晴らしい存在感.4
実は僕は自身がアスペルガー傾向の濃い人間で,オスカーの気持ち,動き方には極めて親密感を持つ.僕は泣きわめくことはしない方だが,オスカーの様に泣きわめきたいという感情を抑えることが殆ど出来なかった.
この映画はその様に気持ちを揺り動かす映画である.一見の価値有り.
★★★★☆
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2012/08/02

独断的映画感想文:エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE

日記:2012年8月某日
映画「エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE」を見る.6
2010年.監督:ジョゼ・パヂーリャ.
出演:ヴァグネル・モーラ,アンドレ・ハミロ,イランヂール・サントス,ペドロ・ヴァン=エウド,マリア・ヒベイロ,サンドロ・ホーシャ,ミリェム・コルタス,タイナ・ミューレル,セウ・ジョルジ,アンドレ・マットス,ファブリシオ・ボリヴェイラ,ジョーヴェン・セレブラウ.
映画の冒頭,患者を見舞った後病院の外に出る男・ナシメント中佐.車に乗って駐車場を出るその行動全てが監視されている.
ナシメントの行く先をふさぐ黒い車,ナシメントは車を止め外に飛び出す.マシンガンが乱射され車は蜂の巣状態,一方車を盾にするナシメントの背後に止まった車からも,ばらばらと武装した男達が降りてくる.万事休すか.
画面は4年前に遡る.
犯罪都市リオの監獄,その中で外と同様にギャング同士が抗争している.1
銃を手に入れた囚人が対立するギャングを惨殺,人質を取って立て籠もる事件が発生,人権活動家フラガが交渉中に配置された警察特殊部隊BOPE(ボッピ)のマチアス大尉が,隙を見てリーダーを射殺する.
指揮を執ったナシメントはフラガや上官に非難されるが,市民の圧倒的な支持を受け,利に賢い政治家の指示で公安部次長に就任するが,マチアスは普通警官に格下げになった.
ナシメントは,BOPEを指揮してマフィアを殲滅,ところがマフィアがいなくなった後には腐敗警官が組織的に入り込み,自らの武装組織ミリシアを使って敵対組織の死体の山を築きながらその地域を牛耳る.
その上に立つ州知事に至る政治家達が,システムとしてその恩恵を受ける.
BOPEに復帰したマチアスを腐敗警官に殺され,自分の息子までフラガへの襲撃に巻き込まれ重傷を負う.窮地に立ったナシメントの行動は…?4
驚くべきリオの暴力抗争を描く衝撃の映画.
しかし賄賂や暴力という形を取るリオ流に比べて,利権や天下りという形を取る日本流腐敗の方が桁違いに巨額の金が流れるので,人のことは言えません.
社会的問題自体の強烈な印象もさることながら,乾いた暴力描写,軽快なテンポ,家族や同僚との葛藤を織り込んだ物語の展開等,映画そのものの面白さが際だつ作品.
俳優は名前を知らない人ばかりながら,存在感ある演技が見応えあり.
映画として一見の価値あり,どうして日本では配給されないのか訳が分からない.
このリズム感,突き抜けた暴力描写が素晴らしい.5
★★★★(★5個が満点)
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