独断的映画感想文:永遠の僕たち
日記:2012年8月某日
映画「永遠の僕たち」を見る.
2011年.監督:ガス・ヴァン・サント.
出演:ヘンリー・ホッパー(イーノック),ミア・ワシコウスカ(アナベル),加瀬亮(ヒロシ),シュイラー・フィスク(エリザベス),ジェーン・アダムス(メイベル),ルシア・ストラス(レイチェル),チン・ハン(ドクター・リー).
一部ネタバレがあります.
映画の冒頭,アスファルトの上に横たわり,自分の体の周囲に白いチョークで線を引く少年.バックにビートルズの「トゥー・オブ・アス」が流れる.
イーノックは見知らぬ人の葬式に出席する遊びを繰り返す少年.ところがある葬式で,自分が会葬者ではないと見破った少女に出会う.
その少女アナベルとはその後公園で会う.
イーノックは交通事故で両親を亡くし,自身も3ヶ月間意識不明だった.その間臨死体験をし,気がつくと日本人の特攻隊の戦死者ヒロシの幽霊が付き添っていた.
以来他人には見えないヒロシの幽霊が,イーノックの唯一の友人である.
一方,アナベルはダーウィンを尊敬する自然の観察者,しかし脳腫瘍で余命3ヶ月と告げられている.
2人は次第に惹かれあい,ハロウィーンの夜に結ばれるが….
死にとらわれて苦しむ少年イーノックと,死から逃れられない少女アナベルの恋の物語.
しかし悲壮感はなく,透明感あふれる映像が印象的だ.
ヒロシを加えた3名の不思議な連携が映画に変化と奥行きを与えている.
デニス・ホッパーの息子ヘンリー・ホッパーとミア・ワシコウスカが共に清潔感あるカップルを好演.ワシコウスカの笑顔は実に魅力的である.加瀬亮の幽霊は味が合って,特攻服もよく似合う.
映画の最後で,それまでヒロシが見えなかったアナベルが,特攻服を燕尾服に着替えて現れたヒロシと挨拶(日本風のお辞儀だ)を交わすシーンが印象的.
彼等の哀しみには涙を禁じ得ないが,見終われば素直に感動できる佳作である.
★★★★(★5個が満点)
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