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2012/09/28

独断的映画感想文:戦火の馬

日記:2012年9月某日
映画「戦火の馬」を見る.2
2011年.監督・制作:スティーブン・スピルバーグ.
出演:ジェレミー・アーヴァイン(アルバート・ナラコット),エミリー・ワトソン(ローズ・ナラコット),デヴィッド・シューリス(ライオンズ),ピーター・ミュラン(テッド・ナラコット),ニエル・アレストリュプ(エミリーの祖父),トム・ヒドルストン(ニコルズ大尉),パトリック・ケネディ(ウェイバリー中尉),デヴィッド・クロス(ギュンター).
イギリスの農村で生まれたサラブレッドの子馬.子馬は馬好きの貧しい小作農ナラコットに買われ,その息子アルバートにジョーイと名付けられ愛情深く育てられる.
小作農ナラコットのために鋤を引く重労働もこなすジョーイだったが,ナラコットの経済的苦境のため,折しも勃発した第1次大戦の軍用馬として売却される.3
イギリス騎兵隊のニコルズ大尉の乗馬として戦争に臨んだジョーイは,しかしドイツ軍の反撃を受けニコルズは戦死,ドイツ軍の軍用馬となる.その後戦場で数奇な運命をたどるジョーイ,ついには大砲を引く軍用馬として使われ,その重労働の為死を目前にする….
この映画を見て,欧米のかって良い子だった大人達は,アンナ・シュウェルの「黒馬物語」を思い出すのではないだろうか.
幸せな子馬時代を送った主人公の馬が,持ち主の変遷に伴って辛酸をなめるこのイギリスの物語は,僕も少年時代に印象深く読んだ.
これを読んで僕が一番はっきりと持った印象は,世の中には馬に優しい人と,馬に情け容赦のない人の2種類がいるということだ.
本作の舞台は第1次大戦である.戦争の凄惨な描写が続くこの映画の中で,ほっとするものがあるとすれば,戦場の何処にでも,馬を理解し馬に優しい人間が必ずいたということだろうか.
塹壕の中間地帯で鉄条網に引っかかり動けなくなったジョーイを助けるため,命がけで白旗を掲げ救出に向かう英兵,それに応じてカッターを持って塹壕から出てくる独兵.両者が協力してジョーイを助ける一幕は,ファンタジーの様だ.4
ジョーイの所有権を巡る決着は,独兵の投げたコイントスで付けられる.では戦争もそうやって決着を付ける訳にはいかないのか?
スピルバーグはこの映画で勇気を描いたと言っている.その勇気は,戦争をしないことに向けられたら一番良かったのではないか?
映画はカメラも美しく,音楽も水準以上,しっかりした作りで,安心して少年と馬の命をかけた物語を楽しめる.
★★★★(★5個が満点)
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