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2012/11/04

独断的映画感想文:マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙

日記:2012年11月某日
映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」を見る.1
2011年.監督:フィリダ・ロイド.
出演:メリル・ストリープ(マーガレット・サッチャー),ジム・ブロードベント(デニス・サッチャー),オリヴィア・コールマン(キャロル・サッチャー),ロジャー・アラム(ゴードン・リース),スーザン・ブラウン(ジューン),ニック・ダニング(ジム・プライアー),ニコラス・ファレル(エアリー・ニーブ),イアン・グレン(アルフレッド・ロバーツ),リチャード・E・グラント(マイケル・ヘーゼルタイン),アンソニー・ヘッド(ジェフリー・ハウ),ハリー・ロイド(若き日のデニス),アレクサンドラ・ローチ(若き日のマーガレット).
映画の冒頭,年老いた夫人がコンビニ店で牛乳を買っている.
如何にも覚束ない足取りで帰宅するその夫人,マーガレット・サッチャー.パンをトーストし卵をゆでる.夫と共に朝の食卓に向かうが,その人は今は亡きデニスだ.
夫人はしばしばデニスと語らうが,その幻覚を忌々しく思う時もある.2
この映画は認知症が進んでいるマーガレット・サッチャーの,政治家としての一生を回想しつつ,現在の状況を描くものである.
普通これだけの政治家の一生を描けば,肯定的であれ否定的であれ一貫した物語で主人公を描くだろう.観客はその主人公にもっと何らかの共感を持つことになる筈だ.
しかしこの映画はそういう映画ではない.映画は過去の政治家としての充実した日々,非難され罵倒される中で歩み続けついに保守党党首となった時,フォークランド紛争時にアメリカ国務長官の恫喝を拒絶して開戦を命じた時を描く一方,子どもを振り捨てて入閣を決意した時,君臨して傲慢な首相となったサッチャーも描く.
しかもその描写は断片的で,すぐに現在の覚束ない日々に帰ってくるのだ.
そうすると,映画が本当に描こうとしているのは,栄光のサッチャーではなく現在の惨めなサッチャーではないか,と思えてくる.4
映画は見応えはあった(メリル・ストリープの演技はやはり一見の価値有り.それとアカデミー賞のメイクアップ賞を獲得したのは納得がいく)が,共感することを拒否された映画という印象が残った.希有なことではあるな.
★★★☆(★5個が満点)
しかし日本でこういう映画が撮れるだろうか?とは,先に「クィーン」を見たときにも思ったことだ.(若松監督亡き今)日本で今上天皇や石原慎太郎のこういう映画が製作されることって,あるのだろうか?
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コメント

サッチャーの政治家としての実績は すばらしいが あくまで それは 彼女の"光"の面

 孤独な面は彼女の"影"の面。あまり知られない部分 あるいは知られたくない、知る価値がない部分だってあるから・・・

ストリープ演技は さすが女性版デニーロと言われるほど役のリサーチ振り。彼女の演技にデニーロも認めるのも 当然だなと 思いました。

 とある偉大な親を持つ七光り子ども特集で
サッチャーは 双子の息子と娘で 息子"マーク"を溺愛して "娘"キャロルは そっちのけのえこひいき愛情だったそうです。

息子のマークは甘やかし放題が災いしたのか
アフリカ大陸の 「パリ・ダカール レース」で行方不明になった際 サッチャー首相は あわてふためき、国家予算の日本円で2億円つぎこんで捜索したら レースを勝手にリタイヤして  砂漠の中 テント張って のほほんと待ってたそうです。 そして 母マーガレットに対し、

 「SORRY、MOMMY」 (ママ、ごめんな~) と新聞の見出しになっちゃいました・・・・
アホ・・・・(><)

 この騒動が きっかけで、イギリス中が マークのろくでなしぶりが表面化し、サッチャー首相にイギリス国内中から非難を浴びたんです。
 
 育て方を間違えた サッチャーの汚点・・・
でも、そういうのも ひっくるめて "サッチャー"なんです。

投稿: zebra | 2013/02/15 19:39

zebra様,コメントありがとうございました.
マーク坊の話,面白かったです.
この時代のサッチャーもレーガンも剛腕の政治家である一方,親しみも感じるエピソードが多かった様に思います.
中曽根康弘氏とはその辺が違う様に思えます….

投稿: ほんやら堂 | 2013/02/15 22:23

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