独断的映画感想文:パーフェクト ワールド
日記:2012年11月某日
映画「パーフェクト ワールド」を見る.
1993年.監督:クリント・イーストウッド.
出演:ケヴィン・コスナー(ブッチ・ヘインズ),クリント・イーストウッド(レッド・ガーネット),T・J・ローサー(フィリップ・ペリー),ローラ・ダーン(サリー・ガーバー),キース・ザラバッカ,レオ・バーメスター,ブラッドリー・ウィットフォード,ジェニファー・グリフィン.
映画の冒頭,明るい日の射す草原に横たわる男,ドル紙幣が幾枚か傍らを吹き飛ばされていく.頭上にはヘリコプターが旋回している.
画面は切り替わって,刑務所からの脱走のシーン.同房のブッチとテリーは刑務所をハロウィーンの夜脱出,車を奪って近くの村まで来る.
ここでテリーが住宅に侵入,女性を襲ったことから騒ぎとなり,二人はこの家の息子,フィリップを人質にとって逃亡する.
途中少年を襲おうとしたテリーをブッチが射殺,ブッチはフィリップを連れアラスカを目指す旅に出る.一方,警察署長レッドと知事の特命を受けたプロファイラー・サリーは,FBIの男(名前は失念)と共に知事の特別仕様車で追跡を開始する….
殺人者と人質のロードムービー.
ブッチは残忍な男という予断が観客に与えられるが,実はそれほどの悪人ではないことが次第に見えてくる.ただ,ブッチには少年時代に父親に暴力を振るわれたトラウマがあって,テリーを射殺したのもそこに原因がある.
一方フィリップは父親不在で,母親は「エホバの証人」の教義を厳格に守る人物,フィリップはクリスマスもハロウィーンも参加できず,遊園地に連れて行ってもらったこともない.
二人は次第に打ち解けて,その逃避行をむしろ楽しんでいる様に見えてくる.
追う立場のレッドは実はかって少年時代のブッチの裁判で証言した人物,ブッチの人となりを知っている.
映画は追われるものと追うもののこういう状況を紹介しながら,とぼけたユーモアを交えゆったりしたテンポで進行して行く.クリント・ イーストウッドは脇役として力を抜いた演技だが,ケヴィン・コスナーの持ち味を十分に生かした佳作.
一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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