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2012年12月に作成された記事

2012/12/24

独断的映画感想文:ポイント45

日記:2012年12月某日
映画「ポイント45」を見る.45
2006年.監督:ゲイリー・レノン.
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ(キャット),アンガス・マクファーデン(アル),スティーヴン・ドーフ(ライリー),アイシャ・タイラー(リズ),サラ・ストレンジ(ヴィック).
冒頭,ミラ・ジョヴォヴィッチがカメラ目線でアルという男について語る.
話はアルの「もの」がでかいということで,この女キャットのあばずれぶりが露骨に表現されるのだが,一方アルという男は故買屋で拳銃の密売もしており,おまけに嫉妬深くキャットに些細なことで暴力を振るう.
この二人の関係が物語の中心なのだが,映画は途中にアルの母親やキャットの親,二人の知人等のインタビューを挿入し,彼らの行く末を暗示する形になっている.
この構成自体は面白いと思うが,途中からの話の展開があまりに唐突で,ついていけない.
キャットはいつの間に何故あんな女に変貌したのか?
役者の演技はまあまあだったが,それはともかく,脚本の出来がいまいちという感じで★★☆(★5個が満点).
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独断的映画感想文:愛の新世界

日記:2012年12月某日
映画,「愛の新世界」を見る.1
1994年.監督:高橋伴明.
出演:鈴木砂羽(レイ),片岡礼子(アユミ),杉本彩(冴子),萩原流行(澤登),松尾貴史(記者),鈴木ヒロミツ(医者),田口トモロヲ(ナイフの男),塩屋俊(店長),松尾スズキ(松木),袴田吉彦(ホスト),武田真治(徹),渡辺哲(客),下元史朗(客),荒木経惟(写真家),哀川翔(ジロー).
レイはSMクラブの女王様.昼間は劇団の一員として演劇活動に取り組んでいる.
アユミはホテトル嬢,稼いだお金を医者の卵(といっても医大の3浪受験生だが)に貢いでは逃げられ,弁護士の卵(やはり法学部2浪受験生)に貢いでは逃げられというお人好し.
この二人の,男(客)を手玉にとっては豪快に遊び,かつ目的(?)には没頭するという日常を,明るく描く.鈴木砂羽と片岡礼子の豪快なヌードが話題の作品だが,この年代のある種の青春像が過不足なく描かれており,映画として見応え有り.
二人のそれぞれの客あしらいも面白く,折り目正しいヤクザ澤登とレイとの交流は印象的.
レイは客とは寝ないが(女王様に徹している),劇団員とは分け隔てなく寝ており(このため全劇団員が感染症罹患の危機に直面する羽目になる),宮藤官九郎,阿部サダヲ等との元気な濡れ場も興味深い.
一見の価値有り.★★★☆(★5個が満点)
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2012/12/16

番外:独断的歌舞伎感想文:鬼一法眼三略巻

日記:2012年12月某日
歌舞伎「鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき) 四幕」を見る.Kiitihougensanryakunomakiomote2
国立劇場美術係=美術.
序 幕:六波羅清盛館の場,二幕目:今出川鬼一法眼館菊畑の場,三幕目:檜垣茶屋の場,大 詰:大蔵館奥殿の場.
出演:中村吉右衛門(吉岡鬼一,一条大蔵卿長成),中村魁春(常磐御前),中村歌六(平清盛),中村又五郎(奴智恵内実は吉岡鬼三太),市川高麗蔵(勘解由妻鳴瀬),中村松江(播磨大掾広盛),中村歌昇(笠原湛海),中村種之助(腰元白菊),大谷廣松(女小姓楓),中村隼人(丹波小三郎頼兼),中村米吉(女小姓弥生),中村歌江(腰元錦木),大谷桂三(難波次郎経康),澤村由次郎(八剣勘解由),中村錦之助(平重盛),中村芝雀(皆鶴姫),中村東蔵(鬼次郎女房お京),中村梅玉(虎三実は牛若丸・吉岡鬼次郎).
この序幕は初めて見たが,その無法横暴ぶりが圧倒的なのと同時に,為政者としての風格も感じられる歌六の清盛であった.贔屓の錦之介が眉目秀麗な重盛を演じ清盛に諫言する.
2幕目の菊畑は,吉右衛門の鬼一法眼を初めて見るが,流石の迫力・威厳である.又五郎の智恵内がこの吉右衛門と良く合っていた.鬼一法眼は後半登場しないが(次の幕で一条大蔵卿になるのだから無理なのだろうが),三段目の最後までこの配役で見られればと思ったことである.
一条大蔵卿は作り阿呆の話である.
常磐御前を清盛からお下がりとして頂き妻としているが,本人はとんでもない阿呆と思われているが実は…と言う物語.
この長成を演じる吉右衛門が素晴らしい.台詞術では歌舞伎界随一と思われる吉右衛門のその力が,余すところなく発揮され圧倒される.
芝雀,高麗蔵も見応えあり.充実した歌舞伎らしい歌舞伎であった.4時過ぎ終了.
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2012/12/01

独断的映画感想文:少年と自転車

日記:2012年11月某日
映画「少年と自転車」を見る.3_3
2011年.監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ,リュック・ダルデンヌ.
出演:セシル・ドゥ・フランス(サマンサ),トマス・ドレ(シリル),ジェレミー・レニエ(シリルの父),ファブリツィオ・ロンジョーネ(書店の店主),エゴン・ディ・マテオ(ウェス),オリヴィエ・グルメ(居酒屋の主人).
映画の冒頭,必死になって電話をかける少年.電話が通じないと見るや,周囲の大人の手を振り切って屋外に飛び出し,金網を乗り越えて脱出しようとする.
少年は母親に死別したシリル,父親の希望で施設に預けられたが,シリルの知らない間に父親は引っ越しをしてしまい,シリルの自転車まで売り払ってしまったらしい.
そのことをどうしても信じられず自宅に電話をかけるシリル.施設職員の手配で空き家になったアパートに行ってみる.空っぽの部屋を呆然と見る少年.
偶然シリルと知り合った美容師のサマンサは,父親が売り払った自転車を見つけ買い戻してくれた.シリルはサマンサに頼み込んで父の居場所を共に捜す.
ようやく父の居場所を見つけるが,父親はシリルにもう来るなと告げるのだった….
父に捨てられ全てのものに不信感を持つシリル.未だ12才の彼は,しかし不屈の闘志を持つ真っ直ぐな少年でもある.1_2
サマンサは週末だけの里親としてシリルを土日だけ自宅に引き取ってくれることになった.しかしシリルに街のチンピラも目をつける.
何ものにも油断しまいというシリルも,自分も施設で育ったというそのチンピラには心を開いてしまう.シリルの運命や如何に,という物語.
シリルのイガイガに尖った心情が痛々しい.にこりともせず泣きもせず,しかし時には突然の自傷行為に走るシリルに胸を打たれる.
一方そのシリルの親という立場を引き受けるサマンサは,一人前の大人とはどういうものかをシリルに見せつける点で,印象的.
映画中盤の,脇目も振らずに一心に自転車をこぎ続けるシリルの長回しのシーンが心に残る.2_2
時折挿入されるベートーベンのピアノ交響曲「皇帝」の第2楽章の断章が効果的だった.
そういえば,以前見たダルデンヌ兄弟の映画では,音楽は使われていなかったのではないか?
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:愛と誠

日記:2012年11月某日
映画「愛と誠」を見る.
2012年.監督:三池崇史.3_2
出演:妻夫木聡(太賀誠),武井咲(早乙女愛),斎藤工(岩清水弘),大野いと(高原由紀),安藤サクラ(ガムコ),前田健(先生),加藤清史郎(太賀誠(幼少期)),一青窈(早乙女美也子)(特別出演),余貴美子(太賀トヨ),伊原剛志(座王権太),市村正親(早乙女将吾).
あの「愛と誠」のリメイクだが,本作は70年代歌謡曲をフィーチャーしたミュージカル仕立ての「なんちゃって愛と誠」である.
こういう映画を作ることに共感は出来ないが,映画自体は力業で最後までなんちゃって路線を貫いているのはご立派.まさかこういう映画と思わなかった.
映画自体のメタ構造については,映画のブログが必要にして十分な解説を展開している.
この論説に全く異論は無いが,好き嫌いから言えば僕にはこの映画は「なんちゃって」としてしか受け入れられないということである.1
残念ながら★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:のぼうの城

日記:2012年11月某日
映画「のぼうの城」を見る.4
2011年.監督:犬童一心,樋口真嗣.
出演:野村萬斎(成田長親),榮倉奈々(甲斐姫),成宮寛貴(酒巻靭負),山口智充(柴崎和泉守),上地雄輔(石田三成),山田孝之(大谷吉継),平岳大 (長束正家),西村雅彦(成田氏長),平泉成(成田泰季),夏八木勲(和尚),中原丈雄(北条氏政),鈴木保奈美(珠),前田吟(たへえ),中尾明慶(かぞう),尾野真千子(ちよ),芦田愛菜(ちどり),市村正親(豊臣秀吉),佐藤浩市(正木丹波守利英).
秀吉の北条攻めに際し,支城忍城は城主氏長が小田原城に詰める.
忍城には残兵500を率いて城代・氏長の叔父成田泰季が詰めるが,泰季が病のためその息子長親が代理を勤める.
長親は「のぼう様」と家臣はおろか領民からも面と向かって呼ばれるが,「のぼう」とはでくの坊のことである.長親は田楽踊りを舞う他は武芸その他何も出来ないが,家臣の豪傑や領民の百姓はそういう長親をほってはおけない人として気にかけていた.
その長親が忍城を包囲した石田三成麾下の2万の兵に対し,なんと開城拒否を宣言,前代未聞の大攻防戦が始まる….2
長親は何とも推し量りようのない人物である.彼は一方で百姓にも慕われるでくの坊だが,他方,一城の城代として領民の運命を握る人物でもある.
その長親がまさに一存で開城拒否を宣言するということは,部下の将兵は固より領民全ての生存を重大な危機に陥れることに他ならない.
その決定を領民は「のぼう様が言い出したことじゃあ仕方がない」と笑って受け入れ,武装して城に詰める.
この長親の悪魔的な決定と無垢な親近感の持つ二面性を,野村萬斎が比類のない演技で表現していることが,本作の最大のポイントであろう.
原作を読んで,これはどういう人物であろうかと興味の湧いた人を見事に造形しているのは,長親=萬斎の他にも柴崎和泉守=山口智充,正木丹波守利英=佐藤浩市他,枚挙にいとまがない(ちどり=芦田愛菜も上げたい気がするが…).3
映画全体はCGとの融合が日本映画としては見事で,その面の見応えもあり,戦国時代劇としての満足度は高い.小説とは若干異なるが,見た後の爽快感はなかなかのもの.
一見の価値あり.★★★★(★5個が満点)
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