独断的映画感想文:レ・ミゼラブル
日記:2013年1月某日
映画「レ・ミゼラブル」を見る.
2012年.監督:トム・フーパー.
出演:ヒュー・ジャックマン(ジャン・バルジャン), ラッセル・クロウ(ジャベール),アン・ハサウェイ(ファンテーヌ),アマンダ・セイフライド(コゼット),エディ・レッドメイン(マリウス),ヘレナ・ボナム=カーター(マダム・テナルディエ),サシャ・バロン・コーエン( テナルディエ),サマンサ・バークス(エポニーヌ),アーロン・トヴェイト(アンジョルラス),イザベル・アレン(コゼット(少女時代)).
映画の冒頭,大荒れの海に漂う傾いた難破船を,ロープでドックに引き寄せる囚人の群れが描かれる.その囚人の一人,ジャン・バルジャンの物語.
時は18世紀初めのフランスである.妹の子のために,1きれのパンを盗んで5年の懲役刑に服したジャン・バルジャンは,脱走を繰り返したため19年間獄につながれる.仮放免された後も仕事にありつけず,死に瀕していたときミュリエル司教に救われる.その夜ジャン・バルジャンはその司教の銀食器を盗み逃走する.ところが司教は逮捕され連行されてきたジャン・バルジャンに対し,その銀器は譲ったものだと言い,更に銀の燭台をも与えるのだった….
この後ジャンは改心しマドレーヌと名前を変え市長にまで上り詰めるが,受刑時代を知る警視ジャベールに正体を見破られ自ら罪を告白する.しかし女工ファンテーヌの死に責任を感じその子コゼットを養育するために逃亡,月日は流れ,物語は1832年6月のパリ暴動でクライマックスを迎える….
レ・ミゼラブルはミュージカルとして最高峰の作品の一つであることは疑いを得ない.その舞台をほぼ忠実に映画化したと言われる本作品は,その物語と歌と音楽の力で,観客の胸ぐらを掴んで離さない,力業の感動作と言えよう.
158分の長尺を意識する暇もなく,この映画の世界に引き込まれ翻弄された.映画がこれほどのことができるのかという一つの象徴ともなるべき作品である.
このミュージカルの特徴の一つとして,唄の数々は交響曲のモチーフの様に様々な場面で繰り返されることにより,重層的な奥行きのある意味を与えられ,感動を深めている.その感動は,クライマックスのバリケードのシーンで最高潮に達し幕切れとなるが,そのバリケードの俯瞰は観客の目に永く焼き付くであろう.
個々の配役では,ファンテーヌとエポニーヌの絶唱の哀れさが際立つ一方,コゼットの透明な美声が印象的.群像劇での5重唱,6重唱が圧倒的な感動を呼ぶ.
必見の映画.★★★★☆(★5個が満点)
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