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2013年3月に作成された記事

2013/03/16

番外:独断的歌舞伎感想文 隅田川花御所染- 女清玄 -

日記:2013年3月某日
国立劇場,歌舞伎「隅田川花御所染- 女清玄 -」を見る.Onnaseigenomote2
序幕 第一場:雲中より鎌倉六本杉の場,第二場:清水花見の場,第三場:路の玉川庵室の場,第四場:元の新清水の場 二幕目 第一場:隅田川梅若塚の場,第二場:同 渡し船の場 三幕目 浅茅ケ原妙亀庵の場 大詰 隅田川渡しの場.
出演:中村福助,中村錦之助,尾上松也,坂東新悟,中村隼人,中村児太郎,澤村宗之助,中村歌江,市川男女蔵,中村翫雀.
以前見た「桜姫東文章」とは共通の展開で,隅田川ものということで「法界坊」とも似たシーンがある独特の世界である.
許婚の松若丸が行方不明となったことをはかなみ出家しようという花子の前,得度して清玄と名乗るが,妹の桜姫の許婚・常陸の助が実は松若丸であると確信し,松若を慕って破戒に落ちるというお家騒動の絡んだ物語.
最後は娘道成寺と同様,鐘の中で蛇の霊となって現れるという大詰めとなる.
長く複雑な物語だが,最初はテンポが遅く間延びを感じた.
何でも出来る錦之助と翫雀がユーティリティープレイヤーとして大活躍,特に翫雀は最後の押し戻しで良い所を見せた.
松也の猿島惣太が悪役ながら元気で痛快.この人が出てきてテンポが良くなった.
福助が流石にきれいで魅力的.
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2013/03/02

独断的映画感想文:汚れた心

日記:2013年2月某日
映画「汚れた心」を見る.1
2011年.監督:ヴィセンテ・アモリン.
出演:伊原剛志(タカハシ),常盤貴子(ミユキ),菅田俊(ササキ),余貴美子(ナオミ),大島葉子(アケミ),エドゥアルド・モスコヴィス(保安官),奥田瑛二(ワタナベ・ノボル).
第2次大戦直後のブラジル,日系移民社会は大戦に日本が勝ったと信じる「勝ち組」と日本の敗戦を知る「負け組」とに別れ,確執を深めていた.3
他民族の民族主義を抑圧するブラジル政府の政策で弾圧された勝ち組は,それを契機に少数派の負け組への「粛正」を開始しする.
妻ミユキと幸せに暮らしていた写真館主タカハシは,心酔するもと帝国陸軍大佐で農場主のワタナベの指示により負け組を殺害するが,心中では日本の敗戦を察知していた….
この映画で示される「勝ち組」の論理は,事実には一切基づかないものだ.
ただただ,大和魂を持つ日本人が負けるはずがない,清い心を持つものはそれを信じる筈で,信じないのは汚れた心の国賊だ,という原理主義的精神論に過ぎない.
その一方で,勝ち組負け組騒動に乗じた土地の詐取,円買い詐欺等が横行し,映画ではワタナベが実はその様な行為に手を染めていることが示される.にもかかわらずそのワタナベに指示され「負け組」を殲滅していく「勝ち組」とは何だろうか.
僕自身,この「勝ち組」のような原理主義的精神論に反論できず圧倒された経験があり,何故我々はこの様な論理を生み出してしまうのか,ということに強いショックを受けた次第である.
「勝ち組」の愚行は決してよそ事ではない.今現在の日本にも,同様な傾向が進行しているのではないか.映画は強い緊張感に満ち,俳優の好演もあって最後まで一気に見た.
★★★☆(★5個が満点)4_2
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独断的映画感想文:BRAVE HEARTS 海猿

日記:2013年2月某日
映画「BRAVE HEARTS 海猿」を見る.Brave_hearts2
2012年.監督:羽住英一郎.
出演:伊藤英明(仙崎大輔),加藤あい(仙崎環菜),佐藤隆太(吉岡哲也),仲里依紗(矢部美香),三浦翔平(服部拓也),平山浩行(村松貴史),伊原剛志(嶋一彦),時任三郎(下川いわお).
仙崎は吉岡と共に海難救助のエキスパートである特殊救難隊に所属している.
仙崎は二人目の子供がもうすぐ生まれるところ,吉岡はキャビンアテンダントの恋人・美香が出来ている.職場では先任の嶋から感情に流れ組織を危険に陥れると批判されている仙崎だった.
ところが美香の乗ったジャンボがエンジントラブルを起こし東京湾に着水する事態に.海上保安庁始め,警察消防の総力を挙げた救難作戦が開始されるが….
ネタバレあります.Brave_hearts1
このシリーズはTVで見たりしたことはあるが,きちんと見たのは今回が初めて.ストーリーの展開は予想通りで,仙崎を批判し壁となって現れた嶋だったはずが,気がついたら仙崎と一緒にルールそっちのけで身を危険にさらしている.
このシリーズの面白さ・真骨頂は,ルールを逸脱して感情のままに突撃し奇跡を起こすというところにあるのは分かるが,そのアンチテーゼとして設定されたはずの嶋がこんな状態ではね.
この映画は精神力を信じて走ると奇跡が起こってうまくいく(筈)という,旧帝国陸軍の作戦の様な印象を受ける.
しかも映画全体としては良くできていて,人命救助の為に動員される各部隊や主人公達の必死の活動には引き込まれざるを得ない.Brave_hearts3
こういう活動の中で感情のままに大声で叫ぶものに全体が引っ張られるという展開は,実に危険だと思うがどうだろうか.エンタテインメントとして優れた作品だが,上に述べた意味では危険な作品でもある.
★★★(★5個が満点)
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2013/03/01

独断的映画感想文:桐島、部活やめるってよ

日記:2013年2月某日
映画「桐島、部活やめるってよ」を見る.6
2012年.監督:吉田大八.
出演:神木隆之介(前田涼也(映画部)),橋本愛(東原かすみ(バドミントン部)),大後寿々花(沢島亜矢(吹奏楽部)),東出昌大(菊池宏樹(野球部)),清水くるみ(宮部実果(バドミントン部)),山本美月(梨紗),松岡茉優(沙奈),落合モトキ(竜汰),浅香航大(友弘),前野朋哉(武文(映画部)),高橋周平(キャプテン(野球部)),鈴木伸之(久保(バレー部)),榎本功(日野(バレー部)),藤井武美(詩織(吹奏楽部)),岩井秀人(片山(映画部顧問)),奥村知史(屋上の少年),太賀(風助(バレー部)).
ある高校の2学期とおぼしきある金曜日.
バレー部のエースで高校のヒーローでもある桐島が,部を辞めるというニュースが全校を震撼させる.その金曜日の校内の状況を幾度も繰り返し多角的に描写しながら,映画は関係者の事情を観客に飲み込ませるというのが前半.4
後半はその状況で動き始めた校内の人間関係のなか,あるクライマックスに収斂されていくこの高校の情景を描いていく高校生群像劇.
まあいろいろな高校生が登場するが,僕にも馴染みのある部活頑張る男女生徒(その中にもレギュラー上位クラスとその他のクラスがいる),桐島の彼女という座を持つ校内一の美女梨紗を中心とする美女グループ,基本的に人間関係上成績上運動神経上いい線行っている帰宅部イケメングループ,彼等にあこがれる真面目女子生徒,これらと全く接点を持たないおたく的映画部の面々というのが主要なグループである.
子供から大人への過渡期にある彼等の,結構複雑な人間関係と自我の確立が生々しく描かれる点が,この映画の魅力.2
映画部のロケと吹奏楽部のリハーサルという,なんの関係もない二つの事象が,物理的にこの映画のクライマックスを形成していく過程は見応えあり.
神木隆之介,大後寿々花,東出昌大,清水くるみという俳優の存在感が印象的だった.なかなかに面白い,見て損はない映画.
★★★★(★5個が満点)
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