独断的映画感想文:かぞくのくに
日記:2013年4月某日
映画「かぞくのくに」を見る.
2011年.監督:ヤン・ヨンヒ.
出演:安藤サクラ(リエ),井浦新(ソンホ),ヤン・イクチュン(ヤン同志),京野ことみ(スニ),大森立嗣(ホンギ),村上淳(ジュノ),省吾(チョリ),塩田貞治,鈴木晋介,山田真歩,井村空美,吉岡睦雄,玄覺悠子,金守珍,諏訪太朗(テジョ),宮崎美子(母(オモニ)),津嘉山正種(父(アボジ)).
1972年に北朝鮮に渡った兄ソンホが25年ぶりに帰国した.脳腫瘍を患い,日本の病院での治療を目的として3ヶ月の帰国を認められたのだ.
母親と妹のリエ,叔父のテジョが暖かく迎えるが,北朝鮮から共に来た「ヤン同志」がそれ以来,昼夜を分かたずソンホを見張る様になる….
父親は朝鮮総連の役員らしく,厳しくソンホに接する.そもそも25年前にソンホを帰国させたのは父親自身なのだ.
同窓生が集まり歓迎してくれるが,ソンホは自分の北朝鮮での生活を殆ど語らない.
病院で脳腫瘍の検査を受けるが,医者は3ヶ月では責任が持てないと,手術の執刀を拒んだ….
北朝鮮という国家で暮らす人間の異常な緊張感を描く映画.
父親には礼儀正しく,母と妹には真情あふれる態度で接するソンホだが,自分のことは殆ど語らず「ヤン同志」には絶対服従を崩さない.その表情には希望や明るさを殆ど見出し得ないのだ.
ソンホを見守る母親や妹の心情に,観客は強く心を動かされるだろう.
そして物語は,唐突に極めて不条理な結末を迎える.エピローグでのソンホの絶望,リエの怒りには,涙を禁じ得ない.
俳優では安藤サクラ,井浦新がいずれも良い.更に宮崎美子,津嘉山正種が素晴らしい.
映画に引き込まれる100分間.
★★★★(★5個が満点)
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