独断的映画感想文:天地明察
日記:2013年3月某日
映画「天地明察」を見る.
2012年.監督:滝田洋二郎.
出演:岡田准一(安井算哲(渋川春海)),宮崎あおい(村瀬えん),佐藤隆太(村瀬義益),市川猿之助(関孝和),横山裕(本因坊道策),笹野高史(建部伝内),岸部一徳(伊藤重孝),渡辺大(安藤有益),白井晃(山崎闇斎),市川染五郎(宮栖川友麿),中井貴一(水戸光圀),松本幸四郎(保科正之).
碁打ちの安井算哲は数学好き.
ある神社の絵馬を介して交わされる数学の出題と回答にはまり,お城勤めも遅刻すれすれである.
その勤めである御前での碁の試合で将軍家綱の目に止まった算哲は,参与保科に呼び出され,日本各地での北極星の高さを測るお役目に任ぜられる.
この頃から暦の乱れを認識した算哲は,数理の力で暦を正すという使命に邁進していくのだった….
暦は公家の貴重な利権であった.
官僚の利権を侵すとどういう酷い目に遭うかという実例は,現在の原子力政策を始め枚挙に暇はないが,この時代の暦についても同様な事情があったらしい.
暦は数理により正すべしという算哲の持論は様々な物理的迫害を受けるが,その意志は揺るぎなく,遂に日食を巡る朝廷側との大勝負に至る物語の展開は痛快であり感動的である.
その間展開されるえんとのロマンス,和算家・関孝和との交友等,エピソードのバランスも好ましい.
俳優がそれぞれ配役を適確に演じているという印象が強いなか,この時代としては型破りな武士(?)とその妻を演じた岡田・宮崎の両名が素敵.
二人の不倫問題が映画の評価と絡めて取りざたされている様だが,笑止の限りである.そんなことは映画となんの関係もない.
後味の良い映画,江戸時代の初期に和算を武器に数理をもって天文を把握したという,そういう男の物語として,素直に感銘を受けた.
★★★★(★5個が満点)
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