« 2013年4月 | トップページ | 2013年6月 »

2013年5月に作成された記事

2013/05/28

番外:独断的歌舞伎感想文:歌舞伎座 杮葺落五月大歌舞伎 一部二部

日記:2013年5月某日
歌舞伎「歌舞伎座新開場 杮葺落五月大歌舞伎」を見る.Kabukiza_201305_2
第一部「鶴亀(つるかめ)」出演:皇帝(梅玉),亀(橋之助),従者(松江),鶴(翫雀).
「菅原伝授手習鑑 寺子屋(てらこや)」.出演:松王丸(幸四郎),武部源蔵(三津五郎),戸浪(福助),涎くり与太郎(亀寿),百姓吾作(由次郎),園生の前(東蔵),春藤玄蕃(彦三郎),千代(魁春).
「三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ) 大川端庚申塚の場」.出演:お嬢吉三(菊五郎),お坊吉三(仁左衛門),夜鷹おとせ(梅枝),和尚吉三(幸四郎).
「鶴亀」は唐の皇帝の権勢を言祝ぎ舞う踊り.久しぶりに見る橋之助の踊りが印象的.皇帝の梅玉が,威厳ある踊りを見事に舞っていた.
「寺子屋」は豪華メンバーによる見事な出来上がり.源蔵はメリハリのある明快な源蔵.一方松王丸は一子小太郎の首を管秀才の首と検分後,その首桶をそっと左手でいたわる様に触れ続けるなど,親の心情溢れる役作り.千代(魁春)の嘆きも含め,印象深い舞台であった.
「三人吉三 大川端の場」は30分足らずの短い舞台だが,流れる様な名台詞の受け渡しと,三人吉三それぞれの達者な芝居が魅力.幸四郎にはやはり舞台の雰囲気を支配する力を感じる.
第二部は,「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ) 御殿 床下」.出演:〈御殿〉乳人政岡(藤十郎),沖の井(時蔵),松島(扇雀),栄御前(秀太郎),八汐(梅玉).〈床下〉仁木弾正(幸四郎),荒獅子男之助(吉右衛門).
「夕霧 伊左衛門 廓文章(くるわぶんしょう) 吉田屋」.出演:藤屋伊左衛門(仁左衛門),吉田屋女房おきさ(秀太郎),阿波の大尽(秀調),太鼓持豊作(千之助),番頭清七(桂三),吉田屋喜左衛門(彌十郎),扇屋夕霧(玉三郎).
「先代萩」は豪華配役に圧倒される.梅玉の八汐が憎たらしくて良い.床下を吉右衛門・幸四郎が演じるとは何ということか.
仁左衛門・玉三郎の「吉田屋」が素敵だった.
玉三郎の夕霧がようやく出てくるラスト30分は,二人のやり取りでうっとり.Photo
広い舞台の真ん中で台詞も少なくじっと見つめ合う二人を見ていると,自分の若い頃の恋の気分まで甦る様である.カットは先代歌舞伎座さよなら公演四月大歌舞伎のポスター.もう4年経ったんですな.
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

独断的映画感想文:96時間/リベンジ

日記:2013年5月某日
映画「96時間/リベンジ」を見る.2
2012年.監督:オリヴィエ・メガトン.
出演:リーアム・ニーソン(ブライアン・ミルズ),マギー・グレイス(キム),ファムケ・ヤンセン(レノーア),ラデ・シェルベッジア(ムラド),リーランド・オーサー(サム),ジョン・グライス(ケイシー),D・B・スウィーニー(バーニー),ルーク・グライムス(ジェイミー),オリヴィエ・ラブルダン(ジャン=クロード).
冒頭は,アルバニアの山中を走るトラックの映像.やがて山中の村での10人程の埋葬シーン,トラックが運んできたのは棺だったのだ.
前作「96時間」で主人公ブライアンに惨殺・殲滅されたアルバニアギャング達の埋葬である.
ブライアンへの復讐を誓うボスのムラド.やがて,イスタンブールで元妻と娘との休暇を楽しんでいたブライアンは襲われ,彼は妻と共に拉致され,ホテルの娘にも危機が迫る…という訳で始まるノンストップ・アクション映画.
まあ今回もブライアンが殺して殺して殺しまくります.1
ブライアンの特徴は,格闘・射撃・サバイバル術での超腕利きのプロ(生業としては要人警護をします)であると同時に,一撃で相手にとどめまで刺すその殺し屋としての圧倒的な敵愾心・殺意の大きさであろう.
最後の一人まで殺さずにおくものかという殺気には,呆然とするしかない.その迫力・アクションの激しさにはつい引き込まれてしまう.
しかし,事件が解決した後のエピローグで,娘が恋人をブライアンに紹介して,「彼は撃たないでね」といって笑うシーンがあるが,そんなしゃれが成り立つだろうか.ブライアンの背後には死屍累々である.3
前作と比べて今回は謎解きも簡略化され,より単純化されたアクションが展開されるが,正直言ってもう結構という感じである.
この映画が更にシリーズ化されたら,アルバニアという国は滅びてしまうだろう.
★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (1)

2013/05/20

番外:独断的歌舞伎感想文:歌舞伎座 杮葺落五月大歌舞伎 第三部

日記:2013年5月某日
「歌舞伎座新開場 杮葺落五月大歌舞伎 第三部」を見る.Img_0806_2
演目は,「一、梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり) 鶴ヶ岡八幡社頭の場」.
出演:梶原平三景時(吉右衛門), 梢(芝雀), 俣野五郎景久(又五郎),奴萬平(錦之助),山口十郎(歌昇),川島八平(種之助),岡崎将監(米吉),森村兵衛(隼人),剣菱呑助(彌十郎),六郎太夫(歌六),大庭三郎景親(菊五郎).
吉右衛門の緩急自在,時に優しく時に凄みのある台詞術を堪能した.
舞台のテンポも良い.
梢と六郎太夫の愁嘆場を横に,景時が家来から刀の下げ緒を受け取り,無言のままそれを白鞘の柄にゆっくりと巻いていく.巻き終わった時には梢は既に失神し,六郎太夫は試し切りのため囚人と重ねて横たえられる.
それを景時が太刀を振りかぶってさあ斬ろうという展開が,実に見事.
剣菱呑助の彌十郎が素敵.
「二、京鹿子娘二人道成寺(きょうかのこむすめににんどうじょうじ) 道行より鐘入りまで」.
出演:白拍子花子(玉三郎),白拍子花子(菊之助),所化(團蔵),同(権十郎),同(宗之助),同(萬太郎),同(巳之助),同(尾上右近),同(米吉),同(廣松),同(隼人),同(虎之介).
とにかく玉三郎と菊之助の美しさには目を瞠る.
次々に繰り広げられる踊り,衣装,引き抜きも2回ありその度に拍手喝采.見とれているうちに,1時間を越える踊りがあっという間である.
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2013/05/17

独断的映画感想文:希望の国

日記:2013年5月某日
映画「希望の国」を見る.3
2012年.監督:園子温.
出演:夏八木勲(小野泰彦),大谷直子(小野智恵子),村上淳(小野洋一),神楽坂恵(小野いずみ),清水優(鈴木ミツル),梶原ひかり(ヨーコ),菅原大吉(志村(町役場職員)),山中崇(加藤(町役場職員)),河原崎建三(産婦人科医),筒井真理子(鈴木めい子),でんでん(鈴木健).
長島県に住む小野泰彦は,認知症が進む妻と息子夫婦と共に酪農を営む.
向かいには農業を営む鈴木家があり,その息子ミツルは恋人ヨーコと遊んでばかりいて,父に叱られている.
ある日大地震が起き,続いて長島原発がメルトダウンに突き進む大原発事故が起こる.鈴木家は原発20キロ圏内ということで強制的に避難命令を受けるが,小野家は圏外なのでと放置される.
しかし泰彦は息子夫婦に,自分らをおいてすぐに逃げろと厳命する….2
3組の男女のカップルを通じて描く,大原発事故に直面した人々の物語.
この映画は原発事故の様々な側面をたんたんと描く.情報を隠し命令を発するだけの政府,被災者に対する差別・いじめ,放射能に対する恐怖に怯える人,その人を嘲笑することで自分の不安を押し隠そうとする人,映画が表現するのはまさに徹底した絶望的状況である.
その絶望的状況を,映画は美しい映像と音楽で(マーラーの交響曲10番)ひたすら描いて行く.
俳優では夏八木勲と大谷直子が共に素晴らしい.若手では山中崇が印象的だった.
小野泰彦・智恵子の夫妻が,津波の廃墟を覆う雪の上で炭坑節を踊る美しいシーンには,涙を禁じ得ない.また鈴木ミツル・ヨーコのカップルが同じく雪の上で,幼児の姿を取った死者の霊と出会う象徴的なシーンも心に残った.1
監督が示すのは,私たちがこの絶望的状況を正面から認識するしかないこと,それを正しく認識するところからスタートするしかないこと,なのであろう.
ある男女はそこで自ら死を選び,ある男女は歩み始める.
希望の国への道は,無条件に私たちの前に開けている訳ではない.しかし人間は絶望的状況の中で幸せを見つけることも出来るのだ.それが希望ということか.
見るべき映画.
★★★★(★5個が満点)

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (1)

2013/05/13

番外:独断的歌舞伎感想文:明治座「五月花形歌舞伎」

日記:2013年5月某日
明治座の歌舞伎「五月花形歌舞伎」を見る.Meijiza_201305_2
演目は「1.源平布引滝 実盛物語」.
配役:中村勘九郎(斎藤別当実盛),中村七之助(小万),松本錦吾(百姓九郎助),上村吉弥(女房小よし),片岡亀蔵(瀬尾十郎兼氏),市川高麗蔵(御台葵御前).
平家物語で有名な実盛の義仲・手塚の太郎主従との因縁話を,若き日の実盛の活躍で解き明かす物語.
勘九郎がひとまわり大きくなった様に感じられる堂々の演技で,素敵だった.口跡は時に驚く程勘三郎に似てきた.子役に注ぐ眼差しも暖かく優しく,いい感じである.
亀蔵の瀬尾がでんぐり返しも披露して大健闘.
「2.与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし) 序幕:木更津海岸見染の場,二幕目:赤間別荘の場,三幕目:玄冶店妾宅の場」.
配役:市川染五郎(与三郎),中村七之助(お富),坂東薪車(海松杭の松五郎),片岡亀蔵(赤間源左衛門),中村勘九郎(頭鳶金五郎),中村亀鶴(蝙蝠安),片岡愛之助(和泉屋多左衛門).
染五郎の与三郎と七之助のお富が似合いの姿である.
玄冶店での七之助の台詞回しは玉三郎がお手本かしらと思えるが,なかなか素敵.
愛之助の和泉屋多左衛門が流石の風格,亀鶴の蝙蝠安が難しい役を奮闘していた.終演は3時前,外に出ると通りを神輿が練り歩いている.今日は神田祭であった.
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

独断的映画感想文:エクスペンダブルズ2

日記:2013年5月某日
映画「エクスペンダブルズ2」を見る._3
2012年.監督:サイモン・ウェスト.
出演:シルヴェスター・スタローン(バーニー・ロス),ジェイソン・ステイサム(リー・クリスマス),ジェット・リー(イン・ヤン),ドルフ・ラングレン(ガンナー・ヤンセン),チャック・ノリス(ブッカー),テリー・クルーズ(ヘイル・シーザー),ランディ・クートゥア(トール・ロード),リアム・ヘムズワース(ビリー・ティモンズ),ジャン=クロード・ヴァン・ダム(ジャン・ヴィラン),スコット・アドキンス(ヘクター),ユー・ナン(マギー),ブルース・ウィリス(チャーチ),アーノルド・シュワルツェネッガー(トレンチ).
金で軍事行動を請け負うプロの傭兵集団「エクスペンダブルズ」.
何の因果かネパールを舞台に,のっけから沙汰の限りの銃撃戦.監禁されていた金持ちを奪還しに来たスタローンの一統が,一緒に捕まっていた男の覆面を取ってみたらこれが何とシュワちゃん.
助けたんだけどシュワちゃんとはここで別れて執拗な追撃を振り切り,お約束のアルバトロス水陸両用機で脱出する.中国上空で金持ちとジェット・リーは祖国へパラシュート.
ところがCIAだかのブルース・ウィリスに過去の悪事で脅迫されて,止むなくみんなで墜落機から貴重品を回収する作戦に参加する…._2
まあこの映画,昔のロックフェスのブルースセッションを思い出します.
凄い腕の有名なギタリストが次から次へと出てくるが,全体としてはゆるゆるで,緊張感はゼロ.まあこんなメンバー良く揃えたなという,ただそれだけが取り柄のスーパーセッションってあったじゃないですか.この映画もそれですね.
だいたい俳優の出入りが激しくて物語の筋が良く分からない.
シュワちゃんが映画の最初と最後しか出てこないのは,自分が主演の「ラストスタンド」で忙しいからだろうか.
チャック・ノリスに至っては,スタローン一統がピンチになると忽然と現れるが,後はどこで何をしているか不明という,超御都合主義の存在.
とにかく物語が類型的で意味が無いことはいっそ痛快な程である.2_1
でもそんなことはどうでも宜しい.観客が見るべきなのはきら星の様なベテラン俳優のアクションなのだ.特に悪党の親玉:ジャン=クロード・ヴァン・ダムのかっこ良さは抜群,スタローンとの対決は魅力一杯だ.
こうなると「エクスペンダブルズ」は殆ど歌舞伎の世界に近くなる.今に各俳優のジュニアが出てきて,同じポーズを取る様になるかも知れない.
後に何も残らないが楽しい映画.
★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2013/05/07

独断的映画感想文:アウトレイジ ビヨンド

日記:2013年5月某日
映画「アウトレイジ ビヨンド」を見る.2
2012年.監督:北野武.
出演:ビートたけし(元大友組組長 大友),西田敏行(花菱会若頭 西野),三浦友和(山王会会長 加藤),小日向文世(刑事 片岡),加瀬亮(山王会若頭 石原),桐谷健太(木村の手下 嶋),新井浩文(木村の手下 小野),松重豊(刑事 繁田),中野英雄(元村瀬組若頭 木村),名高達男(山王会 白山),光石研(山王会 五味),田中哲司(山王会 舟木),高橋克典(花菱会 城),中尾彬(山王会古参幹部 富田),塩見三省(花菱会 中田),神山繁(花菱会会長 布施).
前作に続いてヤクザ社会の抗争を描く.
加藤が会長となり石原,舟木がその側近として活躍する山王会は,政治家にも影響力を及ぼす大きな組織となった.3
刑事・片岡は山王会との関係を維持しつつ,関西ヤクザ花菱会と山王会を噛み合わせよう,あるいは山王会の捨て駒となった元村瀬組の木村と元大友組組長の大友を山王会に立ち向かわせようと,権謀術数の限りを尽くす….
前回にも増して存在感の増した片岡,彼の策謀によって山王会の古参幹部が命を落とし,刑期半ばの老ヤクザ大友が仮釈放される.4
巨大ヤクザを噛み合わせることで片岡の目的は達成されるかに見えたが….
前作では冷徹なインテリヤクザ石原を演じた加瀬亮の印象が強かった.今回の石原は守勢に回り,部下に罵声を浴びせるだけのつまらない存在に成り下がっている.
一方,片岡の思い通りの筋書きで進行していた状況は,大友と木村の両名が登場するに至って,激しさを増していく.
大友の狂気,木村の執念は,山王会に最後のとどめを刺すか?5
前半を片岡が狂言回しのプロット中心の展開と見るなら,後半はまさに大友・木村の情念による展開と言えよう.その迫力には,木村の部下・小野の運命も含めて,涙を禁じ得ない.
徹底した暴力とぎりぎりの抗争を描く,緊張感に満ちた映画,見て損はなし.ビートたけしの演技の力に敬礼!!
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

独断的映画感想文:SAFE/セイフ

日記:2013年5月某日
映画「SAFE/セイフ」を見る.Safe1
2012年.監督:ボアズ・イェーキン.
出演:ジェイソン・ステイサム(ルーク・ライト),キャサリン・チェン(メイ),ジェームズ・ホン(ハン・ジャオ),クリス・サランドン(トラメロ市長),ジョセフ・シコラ(ヴァシリー),ロバート・ジョン・バーク(ウルフ警部),レジー・リー(チャン・クワン),アンソン・マウント(アレックス・ローゼン),サンドール・テクシー(エミール).
冒頭,ロシア人マフィアのボスに脅されている中国人少女メイ.
彼女は数学の天才で記憶した数字は決して忘れない.それを知ったギャングのハンは彼女を拉致,コンピュータの代わりにあらゆる数字を覚えさせる為ニューヨークに送る.
ある時メイは長い数字列を記憶させられるが,その直後連れ出されたメイは今度はロシアマフィアに拉致されたのだった.メイは警察の手入れ騒ぎの隙に辛うじて脱出し,地下鉄の駅に逃げ込む.
一方,格闘家として金網リングでの対戦を日々繰り返すルークは,もとニューヨーク市警の特命刑事.
ところが組織ぐるみの賄賂取得に参加を拒んだため,クビになった過去を持つ.
ある日リングで八百長で負ける筈の相手が弱すぎ,うっかり病院送りにしてしまう.八百長に乗っていたロシアマフィアは多額の損失を出し,ルークの愛妻を殺した上,ルークが親しくなるものは全て殺すと宣言,ルークを監視して実際にそれを実行する.Safe2
追い詰められたルークはホームレスに身を落とし,遂には自殺しようと地下鉄ホームに立つが,そこでロシアマフィアに追われる中国少女を発見,彼女を救うために地下鉄に飛び乗る….
ジェイソン・ステイサムお得意のノンストップ・ハード・アクション.
中国人少女メイとルークがどのように出会うのかが判るまでのスリリングな展開,二人が逃亡しながら反撃に移る過程が,共に面白い.
メイの覚えた数字は何かを巡る謎をルークが解き明かし,中国マフィア・ロシアマフィア・汚職警官グループをそれぞれに利用しながら,情け無用とばかりにルークは死体の山を築いて逃亡していく.
ギャング達も何の躊躇もなく街中で銃撃戦を始める始末で,その描写は,爽快感さえ感じる.
メイは只の天才少女ではない,そのど根性も見もの.
血なまぐさい映画だが,面白い.Safe3
★★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2013/05/04

独断的映画感想文:別離

日記:2013年5月某日
映画「別離」を見る.1
2011年.監督:アスガー・ファルハディ.
出演:レイラ・ハタミ(妻・シミン),ペイマン・モアディ(夫・ナデル),シャハブ・ホセイニ(ホッジャト),サレー・バヤト(ラジエー),サリナ・ファルハディ(娘・テルメー),ババク・カリミ(判事),メリッラ・ザレイ(ギャーライ先生).
映画の冒頭は離婚調停の場.
夫で銀行員(?)のナデルと妻で英語教師のシミンがそれぞれ主張することに依ると,イランの教育環境が悪いので娘を海外で教育しようと1年かけてようやく海外移住の許可を取った,ところが夫はアルツハイマーの父親の介護があるので海外には行けないと言う,そこで妻は夫と離婚するという話.
両者は離婚そのものには同意しているが,娘テルメーの養育権を互いに譲らず,その件はテルメーの意志次第ということになる.
とりあえずシミンは実家に帰り,ナデルは父親の介護の為に義姉の紹介でラジエーを雇う.
彼女は敬虔なイスラム教徒で,幼い娘を連れて仕事に通うことになる.初日から父親は粗相をし,ラジエーは宗教指導者に男性の肌に触れて良いかどうかを聞く羽目になり,動揺する.
数日後ナデルが帰宅すると家は留守で,父親は手をベッドにくくりつけられたまま床に倒れ気を失っていた.まもなく帰ってきたラジエーをナデルは激しく詰り,クビを申し渡してドアから押し出す.
翌日ラジエーが流産し,ナデルは胎児の殺人で告訴される….2
一部ネタバレの部分があります.
イランの映画であるが,その内容は極めて現代的・普遍的な内容と思えた.
登場人物には悪人はいない.只,皆少しずつ嘘をついている.
例えばラジエーは失業中の夫をはばかって,自分がナデルのもとで働いていることを伝えていなかった.ナデルはラジエーが妊娠していることを知らなかったと主張し,テルメーも父親の主張に同調するが,これは虚偽であることが明らかになる.
映画はラジエーの流産の原因は何かという点で一種のミステリー的展開となるが,その結果よりはむしろ,ナデルやラジエーの家族が遂に崩壊してしまうのか,それは何故防げないのかという映画の問題提起が,観客の胸に深く残るだろう.3
意外に欧米的なイランの市民生活も印象的だ.
様々なしがらみにより家族が崩壊せざるを得ない哀しみが,娘テルメーがぽろぽろと流す涙に象徴的だ.
映画の構成もしっかりしていて映画らしい映画.見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

« 2013年4月 | トップページ | 2013年6月 »