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2013/05/17

独断的映画感想文:希望の国

日記:2013年5月某日
映画「希望の国」を見る.3
2012年.監督:園子温.
出演:夏八木勲(小野泰彦),大谷直子(小野智恵子),村上淳(小野洋一),神楽坂恵(小野いずみ),清水優(鈴木ミツル),梶原ひかり(ヨーコ),菅原大吉(志村(町役場職員)),山中崇(加藤(町役場職員)),河原崎建三(産婦人科医),筒井真理子(鈴木めい子),でんでん(鈴木健).
長島県に住む小野泰彦は,認知症が進む妻と息子夫婦と共に酪農を営む.
向かいには農業を営む鈴木家があり,その息子ミツルは恋人ヨーコと遊んでばかりいて,父に叱られている.
ある日大地震が起き,続いて長島原発がメルトダウンに突き進む大原発事故が起こる.鈴木家は原発20キロ圏内ということで強制的に避難命令を受けるが,小野家は圏外なのでと放置される.
しかし泰彦は息子夫婦に,自分らをおいてすぐに逃げろと厳命する….2
3組の男女のカップルを通じて描く,大原発事故に直面した人々の物語.
この映画は原発事故の様々な側面をたんたんと描く.情報を隠し命令を発するだけの政府,被災者に対する差別・いじめ,放射能に対する恐怖に怯える人,その人を嘲笑することで自分の不安を押し隠そうとする人,映画が表現するのはまさに徹底した絶望的状況である.
その絶望的状況を,映画は美しい映像と音楽で(マーラーの交響曲10番)ひたすら描いて行く.
俳優では夏八木勲と大谷直子が共に素晴らしい.若手では山中崇が印象的だった.
小野泰彦・智恵子の夫妻が,津波の廃墟を覆う雪の上で炭坑節を踊る美しいシーンには,涙を禁じ得ない.また鈴木ミツル・ヨーコのカップルが同じく雪の上で,幼児の姿を取った死者の霊と出会う象徴的なシーンも心に残った.1
監督が示すのは,私たちがこの絶望的状況を正面から認識するしかないこと,それを正しく認識するところからスタートするしかないこと,なのであろう.
ある男女はそこで自ら死を選び,ある男女は歩み始める.
希望の国への道は,無条件に私たちの前に開けている訳ではない.しかし人間は絶望的状況の中で幸せを見つけることも出来るのだ.それが希望ということか.
見るべき映画.
★★★★(★5個が満点)

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☆☆☆☆(8点/10点満点中) 2012年日本映画 監督・園子温 ネタバレあり [続きを読む]

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