独断的映画感想文:危険なメソッド
日記:2013年6月1某日
映画「危険なメソッド」を見る.
2011年.監督:デヴィッド・クローネンバーグ.
出演:キーラ・ナイトレイ(ザビーナ・シュピールライン),ヴィゴ・モーテンセン(ジークムント・フロイト),マイケル・ファスベンダー(カール・グスタフ・ユング),サラ・ガドン(エマ・ユング),ヴァンサン・カッセル(オットー・グロス).
フロイトとユング,彼等の弟子でもあったザビーナを巡る物語.
映画は1904年8月17日,統合失調症患者としてユングが勤務する病院にザビーナが入院してくるところから始まる.
ユングは彼女にフロイトの理論であった談話治療(カウンセリング)を初めて適用し,彼女の父親との性的トラウマを探り出し劇的な症状改善に成功する.
その後ザビーナはチューリヒの大学医学部に入学,非凡な才能を発揮するが,ユングには治療の完成として彼女の処女を奪うことを要請し,遂に両者は愛人関係となる.
一方ユングはウィーンに住むフロイトとの親交を重ね,両者を軸に精神分析は隆盛を兆す….
20世紀初頭のウィーンとチューリヒを舞台に展開する,精神分析草分けの二人の交流が興味深い.
フロイトが科学理論での一元的解明を目指すのに対し,ユングは科学のみでは説明できない領域にも配慮しつつ患者との臨床に重きを置く.ザビーナはユングとの関係の一方フロイトの弟子ともなるという複雑な展開があり,またフロイトとザビーナがユダヤ人,ユングはアーリア系という民族問題も絡む.
ユングの妻エマも含め,各俳優の演技が見応えあり.ウィーン,チューリヒの映像も美しい.
映画は1913年7月16日のユング邸でのザビーナとユングの別離で終わるが,エピローグで語られるそれぞれのその後の運命,特にザビーナの悲劇的な最後は印象的である.
見て損はなし.
★★★☆(★5個が満点)
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