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2013年7月に作成された記事

2013/07/28

番外:独断的歌舞伎感想文:七月花形歌舞伎 通し狂言 加賀見山再岩藤

日記:2013年7月某日
歌舞伎座で「七月花形歌舞伎 昼の部」を見る.2
「通し狂言 加賀見山再岩藤(かがみやまごにちのいわふじ)  骨寄せの岩藤」
発端 多賀家下館奥庭浅妻舟の場;序幕 浅野川々端多賀家下館塀外の場,浅野川々端の場,浅野川堤の場;二幕目 八丁畷三昧の場,花の山の場;三幕目 多賀家奥殿草履打の場,四幕目 鳥井又助内切腹の場;大 詰 多賀家下館奥庭の場.
配役:岩藤の霊/鳥井又助(松緑),二代目尾上/お柳の方(菊之助),望月弾正(愛之助),蟹江主税(亀寿),又助妹おつゆ(梅枝),花園姫(右近),奥女中関屋(廣松),又助弟志賀市(玉太郎),松浪主計(廣太郎),梅の方(壱太郎),花房求女(松也),)若党勝平(松江),蟹江一角(権十郎),多賀大領/安田帯刀(染五郎).
前回猿之助 (現猿翁)で見たのは2000年10月であるが,この時は幕見だったので,宙乗りを見逃した.途中から見たため筋も混乱,猿之助が七役早変わりをしたこともあって,善玉悪玉も判然としないまま見終わった記憶がある.
今回はその点は大丈夫だったが,若干全体が長く感じた.
物語としては四幕目が最大の山場であろう.
又助と妹おつゆが身を犠牲にして仕える主人・求女とその上司安田帯刀から,又助の奥方殺しを追及され,又助が切腹して申し開きをする.松緑の熱演が印象的だった.
その傍らで琴を弾きながら「妹背山」を歌う盲目の志賀市・玉太郎が何とも秀逸.またこれに先立って,求女とおつゆが相思相愛の仲と知り,求女の薬代のため苦界に身を沈めんとするおつゆと求女に対し,又助が仮祝言を挙げさせるくだりも胸に迫る.
この前の幕までは,お家騒動と岩藤の亡霊の復活が焦点だったのだが,岩藤が出るのも三幕目まで,大詰めではチャンバラの挙げ句お家乗っ取り派が全滅という,全体のバランスはあまり良くない狂言と思えた.
最後の多賀大領の台詞には思わず失笑,まあいつの世も自覚のないお殿様には困ったもんですね.
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2013/07/23

番外:独断的歌舞伎感想文:七月花形歌舞伎 東海道四谷怪談

日記:2013年7月某日
歌舞伎座で,「七月花形歌舞伎」を見る.Kabukiza_201307
夜の部は「狂言 東海道四谷怪談(とうかいどうよつやかいだん)」
序 幕 浅草観音額堂の場,宅悦地獄宿の場,浅草暗道地蔵の場,浅草観音裏田圃の場;二幕目 雑司ヶ谷四谷町伊右衛門浪宅の場,伊藤喜兵衛内の場,元の伊右衛門浪宅の場;三幕目 本所砂村隠亡堀の場;大 詰 滝野川蛍狩の場,本所蛇山庵室の場.
出演:お岩/佐藤与茂七/小仏小平(菊之助),直助権兵衛(松緑),奥田庄三郎(亀三郎),お袖(梅枝),お梅(右近),四谷左門(錦吾),按摩宅悦(市蔵),後家お弓(萬次郎),伊藤喜兵衛(團蔵),民谷伊右衛門(染五郎).
今回の四谷怪談は,序幕で直助やお袖,お岩,与茂七の因縁を説明し,この物語の骨格をなす忠臣蔵外伝としての位置づけと二幕目以降の展開とを明確に描き出す.
四谷左門が物乞いをし,お袖が地獄(私娼)に出て客を取り,お岩が夜鷹姿で現れる等,この一家がここまで貧窮を極めていることを,改めて認識した.
菊之助のお岩は美しい.これほど美しく官能的なお岩は久しく見なかった.
それに比べると,染五郎の伊右衛門はこのお岩をいたぶる色悪としての凄みがもっとあって良い.
滝野川蛍狩りの場は初めて見たが,実に美しい.夢のはかなさと判りつつも,目を見交わすお岩・伊右衛門の若い姿が胸に迫る.
この後大詰めを経て最後は早変わりの菊之助・与茂七と染五郎・伊右衛門の斬り合いとなり,両者口上となっての幕切れまで,緊張感に満ちた舞台が楽しめた.
終了20:15ごろ.
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独断的映画感想文:ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日

日記:2013年7月某日
映画「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」 を見る.1
20102年.監督:アン・リー.
出演:スラージ・シャルマ(パイ・パテル(少年)),イルファン・カーン(パイ・パテル(成人)),アディル・フセイン(サントッシュ・パテル),タブー(ジータ・パテル),レイフ・スポール(カナダ人ライター),ジェラール・ドパルデュー(コック).
インドのボンディシェリで動物園を経営する一家に育ったパイ少年.
彼が16歳の時一家はカナダへ移住することになるが,動物を満載した貨客船は太平洋の真ん中で難破,救命ボートにはパイ少年の他,シマウマ,オランウータン,ハイエナ,そしてリチャード・パーカーという名のベンガルトラが残された.
やがて他の動物は死に絶え,パイ少年と虎の漂流生活が続く….3
少年の機知に富んだサバイバルの工夫と虎との共存生活,そして想像を遙かに超える美しい映像がこの映画の魅力.
次から次に起こるエピソードと映像美に目を奪われ,時の経つのを忘れる.
ストーリー自体は非現実的で,一方で都合の良すぎる面もあるが(太平洋の真ん中にあれ程魚が居るだろうか?),最後まで一気に見た.
最後のもう一つのストーリーの提示は,僕には蛇足と思えたが,如何であろうか.
映画の冒頭での父親の親友(パイの本名の名付け親)の奇妙な存在感と言い,彼がプールで泳ぐときの不思議な映像といい,如何にもファンタジーという感覚を持った.僕としてはそういう線で映画全体を受け入れたい.4
少年が難破したときの,嵐の海中に燈火を灯したまま沈んでいく貨客船の夢のように美しいシーン,夜光虫を身にまとって深夜の海上に大ジャンプを見せる鯨のシーン等が印象に残った.できれば3Dで見たかった作品.でも2Dでも見て損はなし.
★★★☆(★5個が満点)
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2013/07/15

独断的映画感想文:ノスタルジア

日記:2013年7月某日
映画「ノスタルジア」を見る.Nostalghia5
1983年.監督:アンドレイ・タルコフスキー.
出演:オレグ・ヤンコフスキー(アンドレイ・ゴルチャコフ),エルランド・ヨセフソン(ドメニコ),デリア・ボッカルド(ドメニコの妻),ドミツィアーナ・ジョルダーノ(エウジェニア).
映画の冒頭,湖か大河を見下ろす緑の丘,霧が流れていくその丘に数名の女性,子供,白馬,犬が佇んでいる.
次のシーンでやはり霧の丘に現れるフォルクスワーゲン,降り立った男女は丘の上の古い僧院を目指す.聖母マリア像に礼拝する多数の女性信徒達.やがて男女はその日の宿に遅く着く.Nostalghia1
各部屋に引き取った二人,男は自分の部屋のベッドに倒れ込むが,浴室から犬が現れベッドの傍らに寄り添う….
男はロシアの詩人アンドレイ・ゴルチャコフ,故国の作曲家サスノフスキーの足跡を追って通訳のエウジェニアと旅を続けている.
冒頭のシーンに現れるのはアンドレイの実家らしく,妻子や犬を含めた故郷のその映像は,その後繰り返し挿入されるNostalghia0
宿泊地の温泉場に犬を連れて現れる老人ドメニコは,かって世界が滅びると信じて家族とともに7年間自宅に立てこもったことがあり,狂人と目されている.
アンドレイはドメニコのもとを訪れ(通訳のエウジェニアは彼に相手にされず怒って帰ってしまった),彼の言葉に強く心を動かされる.Nostalghia3
ろうそくの火を消さずに温泉場を対岸までたどり着いたら世界は救われる,その役を勤めて欲しいとドメニコに言われ,アンドレイはそれを引き受ける.
やがてエウジェニアは彼に抱かれないことを侮辱と考え,職を辞してしまう.一方ドメニコはローマに現れ,ある決死の行動に出る.Nostalghia7a
エウジェニアからそれを知らされたアンドレイは,ドメニコとの約束を果たすべく温泉場に向かったが….
映像美に溢れた散文詩のような映画.その映像は高い精神性に裏打ちされ,緊張感高く目を離すことが出来ない.
タルコフスキー特有の霧におおわれた風景,窓を伝う雨や川の流れの映像の多用に気持ちが癒される.
映画の全体の流れはシンプルで判りやすく,その後に作られる「サクリファイス」との共通性も伺える.Nostalghia9
一見の価値ある映画,見て損はない映画らしい映画.
P.S.ところで映画の中で作曲家サスノフスキーは,亡命先から故国に戻り2年間酒に溺れた後死んだと記述されている.タルコフスキー自身は,この映画撮影後事実上の亡命を宣言するが,2年後「サクリファイス」を完成させた後パリで死去した.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:まほろ駅前多田便利軒

日記:2013年7月某日
映画「まほろ駅前多田便利軒」を見る.1
2011年.監督:大森立嗣.
出演:瑛太(多田啓介),松田龍平(行天春彦),片岡礼子(ルル),鈴木杏(ハイシー),本上まなみ(三峯凪子),柄本佑(山下),横山幸汰(由良),大森南朋(囲炉裏屋亭主 山田),梅沢昌代(山下の母),松尾スズキ(シンちゃん),麿赤兒(岡),高良健吾(星),岸部一徳(早坂).
一部ネタバレあります.
まほろ駅前で便利屋を営む多田啓介は,真面目で人当たりの良い男.今回も無理矢理頼み込まれてチワワを預かることになってしまう.
そのチワワを連れて近くの旧家の老人・岡の依頼の仕事をして帰ろうとしたらチワワが行方不明.慌てて捜すとバス停のベンチで男がチワワをだっこしている.
その男行天は多田の中学の同級生で,多田のミスで行天は小指に大怪我をした過去を持つ.今晩一晩泊めてという行天に押し切られて泊めたら,そのまま行天は居着いてしまった.
その後二人はコンビで仕事をするようになる.2
チワワの飼い主は実は夜逃げしていた事件,塾の迎えを頼まれた小学生は実は運び屋だった事件,ハイシーのストーカー事件等を二人で解決する中,二人の過去も次第に明らかになってくるのだが….
天使系である主人公二人が抱えたそれぞれの思いがけない過去が,物語の主軸.二人の成長の物語とも,きつい過去との決別と再生の物語とも見ることが出来る.
今や日本映画界を背負って立っている若手俳優2人の演技を楽しめる映画.長い間が特徴の映画だが,それを成り立たせられるのもこの二人ならではであろう.
俳優では他に本上まなみ,柄本佑,高良健吾が見応えあり.監督の父君,弟くんの参加もあり,ホノボノとした雰囲気の映画.
★★★☆(★5個が満点)
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2013/07/08

独断的映画感想文:桃(タオ)さんのしあわせ

日記:2013年7月某日
映画「桃(タオ)さんのしあわせ」を見る.3
2011年.監督:アン・ホイ.
出演:アンディ・ラウ(ロジャー),ディニー・イップ(桃/鐘春桃),チン・ハイルー(チョイ主任),ワン・フーリー(ロジャーの母),チョン・プイ(キン),アンソニー・ウォン(バッタ),サモ・ハン(映画監督),ツイ・ハーク(映画監督).
ネタバレあります.
実話に基づく映画.
桃さんはロジャーの家に日中戦争の頃からもう60年来仕える家政婦.今はロジャーの家族は皆米国に移住してしまい,独身の映画プロデューサー・ロジャーが一人暮らすマンションで,桃さんも共に暮らす.
心臓病を患ったことのあるロジャーに,桃さんは薬膳スープや魚料理を心を込めて作る.4
ところがある日桃さんが脳卒中で倒れてしまった.
左半身の麻痺が残った桃さんは,ロジャーの世話で老人介護施設に入る.最初は不安で一杯だった桃さんだが,ロジャーが来ては世話を焼いてくれ(彼女は僕の義母ですと周りの老人達に言ってくれた),リハビリにも取り組み,桃さんは次第に施設に溶け込んでいくが….
ロジャーと桃さんの関係がとても丁寧に描かれるのが,何と言っても印象的な映画.1
桃さんが懸命に作った料理をロジャーは何も言わず黙々と食べ(何気なく左手を挙げるとそこに桃さんがご飯の茶碗をさっと差し入れるというコンビネーションの良さ),たまには牛タンの煮込みを食べたいなどとわがままも言うが,ロジャーが心から桃さんを信じて頼りにしているのがしみじみ感じられる.
桃さんが施設に入ってからは,調子の良くなった桃さんを公園の散歩に連れ出し,あるいは懐かしい自宅に連れ帰り,またある時は完成した映画の試写会に招待する.ロジャーの腕にすがって誇らしげに歩く桃さんの嬉しそうな顔が.何とも言えない.2
映画の終盤,桃さんは再び脳卒中を起こし,また他の病気も併発して急速に衰え,遂に帰らぬ人となる.
見てるこちらもいずれこうなるであろうという予感と緊張を持って見ていた訳だが,しかし桃さんはしあわせだった.
つまり,病を得て仕事を辞し,しかしそのお陰でロジャーとは新しい関係を築けた.人はいずれ死ぬのだが,その最後の日々をロジャーとの絆を持って過ごすことが出来た.それが桃さんのしあわせだったのではないか.
映画には悪人は一人も出ず,その意味では寓話的な映画だが,桃さんのしあわせについてじっくり考えることの出来る映画となった.一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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2013/07/05

独断的映画感想文:ヘルプ ~心がつなぐストーリー~

日記:2013年6月某日
映画「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」を見る.1
2011年.監督:テイト・テイラー.
出演:エマ・ストーン(スキーター),ヴィオラ・デイヴィス(エイビリーン),オクタヴィア・スペンサー(ミニー),ブライス・ダラス・ハワード(ヒリー),ジェシカ・チャステイン(シーリア),アリソン・ジャネイ(シャーロット),シシー・スペイセク(ミセス・ウォルターズ),シシリー・タイソン(コンスタンティン),メアリー・スティーンバージェン(ミス・スタイン).
1960年代のミシシッピ州ジャクソン.
大学を出て実家に戻ったスターキーは,ジャクソン市の地元新聞に雇われ,家庭欄を担当することになる.家事に疎い彼女は,親友エリザベスの家の黒人メイド,エイビリーンの智恵を借りることにする.
一方実家では彼女を育ててくれた老メイド:コンスタンティンが解雇されていた.ジャクソン市で大人の仲間入りをして暮らすうちに,スターキーは黒人メイドというシステムの持つ抜きがたい差別性に気付いていく.
同級生だったヒリーが黒人メイド専用のトイレを戸外に別に作るべきという法律制定運動に乗り出すに至って,スターキーはエイビリーンにメイドの実状を聞きだし,本を書こうと思い立つが,エイビリーン始め黒人メイド達は,そんなことをしたらこの街で生きていけないと拒絶するのだった….2_2
その家のトイレを使っただけでメイドがクビになり,公然と白人社会を批判する黒人は人前で射殺されていた差別社会ミシシッピ.
この映画はその社会を揺るがした1冊の本の誕生物語であり,白人作家と黒人メイドが勇気をふるって社会と自らを変革した物語である.
主役の3女性-スターキー,エイビリーン,ミニーがいずれも魅力あるキャラクターで俳優も好演.一つ間違えば殺されるという深刻な差別社会を,白人の中にも差別があるという視点も踏まえ,ユーモアも忘れずに描き出した好編である.
本は出版されスターキーは成功しN.Y.に向かうが,エイビリーンはヒリーの圧力でクビを言い渡される.彼女は街の牧師の言う様に敵を愛することは出来なかったが,敵を哀れむことは出来た.4_2
エリザベスの家を去って行くエイビリーンが,メイドではない新しい仕事に向かって歩いて行くラストシーンは,印象的である.
エンドロールの最後で,この映画にミシシッピ州が協力していることに感謝するコメントがある.
映画の中ではその差別性が糾弾されていたミシシッピ州の協力は意外であった.アメリカの市民は歴史をこのように総括しているのかと,感じ入った次第.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:声をかくす人

日記:2013年7月某日
映画「声をかくす人」を見る.2
2011年.監督:ロバート・レッドフォード.
出演:ジェームズ・マカヴォイ(フレデリック・エイキン),ロビン・ライト(メアリー・サラット),ケヴィン・クライン(エドウィン・M・スタントン陸軍長官),エヴァン・レイチェル・ウッド(アンナ・サラット),ダニー・ヒューストン(ジョセフ・ホルト総監(検察)),ジャスティン・ロング(ニコラス・ベイカー),アレクシス・ブレデル(サラ),ジョニー・シモンズ(ジョン・サラット),コルム・ミーニイ(デヴィッド・ハンター),トム・ウィルキンソン(リヴァディ・ジョンソン上院議員(元司法長官)).
1865年4月15日,南北戦争でのリー将軍降伏を祝うパーティーに出席していた北軍大尉フレデリックは,暗殺され公邸に運び込まれるリンカーンを目撃する.
暗殺犯の一味は逮捕されたが,陸軍長官スタントンは早期決着を望む世論に従い,容疑者全員を自らの子飼いの部下で固めた軍事法廷で裁くこととする.容疑者の中には逃亡中のジョン・サラットの母メアリーも含まれた.
退役し弁護士に復帰したフレデリックは,敬愛する元司法長官のジョンソン上院議員から,彼女の弁護を頼まれる.3
北軍将校として暗殺犯の弁護には気の進まないフレデリックだったが,法と正義を無視して進行する軍事法廷に強く抵抗するようになる.そのフレデリックにも世間の風当たりは強まった….
史実に基づく映画.
メアリー・サラットはアメリカ史上初めて死刑となった女性であるが,この映画を見ればその死刑が,全ての平時の司法システムを強行に覆して無理矢理行われたものであることが明白である.
この映画の意義は,9/11を経た今日のアメリカの状況を見れば,あきらかであろう.「テロ」との戦い,と称すればいかなる不正・不法な政府の行動も是認される状況は,現在に至るまで変わらず続いている.そのことを真正面から取り上げた作品.
ロビン・ライトが今回も見応えある演技.ジェームズ・マカヴォイは無論のこと,ケヴィン・クラインやダニー・ヒューストン等の陸軍・検察側も好演している.
緊張感高く心に残る映画.4
但し邦題は意味不明である.何を言いたいのか全く判らず.原題は「THE CONSPIRATOR(共謀者)」で,ごく当たり前の映画どおりの題.
★★★☆(★5個が満点)
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