番外:独断的歌舞伎感想文:七月花形歌舞伎 通し狂言 加賀見山再岩藤
日記:2013年7月某日
歌舞伎座で「七月花形歌舞伎 昼の部」を見る.
「通し狂言 加賀見山再岩藤(かがみやまごにちのいわふじ) 骨寄せの岩藤」
発端 多賀家下館奥庭浅妻舟の場;序幕 浅野川々端多賀家下館塀外の場,浅野川々端の場,浅野川堤の場;二幕目 八丁畷三昧の場,花の山の場;三幕目 多賀家奥殿草履打の場,四幕目 鳥井又助内切腹の場;大 詰 多賀家下館奥庭の場.
配役:岩藤の霊/鳥井又助(松緑),二代目尾上/お柳の方(菊之助),望月弾正(愛之助),蟹江主税(亀寿),又助妹おつゆ(梅枝),花園姫(右近),奥女中関屋(廣松),又助弟志賀市(玉太郎),松浪主計(廣太郎),梅の方(壱太郎),花房求女(松也),)若党勝平(松江),蟹江一角(権十郎),多賀大領/安田帯刀(染五郎).
前回猿之助 (現猿翁)で見たのは2000年10月であるが,この時は幕見だったので,宙乗りを見逃した.途中から見たため筋も混乱,猿之助が七役早変わりをしたこともあって,善玉悪玉も判然としないまま見終わった記憶がある.
今回はその点は大丈夫だったが,若干全体が長く感じた.
物語としては四幕目が最大の山場であろう.
又助と妹おつゆが身を犠牲にして仕える主人・求女とその上司安田帯刀から,又助の奥方殺しを追及され,又助が切腹して申し開きをする.松緑の熱演が印象的だった.
その傍らで琴を弾きながら「妹背山」を歌う盲目の志賀市・玉太郎が何とも秀逸.またこれに先立って,求女とおつゆが相思相愛の仲と知り,求女の薬代のため苦界に身を沈めんとするおつゆと求女に対し,又助が仮祝言を挙げさせるくだりも胸に迫る.
この前の幕までは,お家騒動と岩藤の亡霊の復活が焦点だったのだが,岩藤が出るのも三幕目まで,大詰めではチャンバラの挙げ句お家乗っ取り派が全滅という,全体のバランスはあまり良くない狂言と思えた.
最後の多賀大領の台詞には思わず失笑,まあいつの世も自覚のないお殿様には困ったもんですね.
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