番外:独断的歌舞伎感想文:七月花形歌舞伎 東海道四谷怪談
日記:2013年7月某日
歌舞伎座で,「七月花形歌舞伎」を見る.
夜の部は「狂言 東海道四谷怪談(とうかいどうよつやかいだん)」
序 幕 浅草観音額堂の場,宅悦地獄宿の場,浅草暗道地蔵の場,浅草観音裏田圃の場;二幕目 雑司ヶ谷四谷町伊右衛門浪宅の場,伊藤喜兵衛内の場,元の伊右衛門浪宅の場;三幕目 本所砂村隠亡堀の場;大 詰 滝野川蛍狩の場,本所蛇山庵室の場.
出演:お岩/佐藤与茂七/小仏小平(菊之助),直助権兵衛(松緑),奥田庄三郎(亀三郎),お袖(梅枝),お梅(右近),四谷左門(錦吾),按摩宅悦(市蔵),後家お弓(萬次郎),伊藤喜兵衛(團蔵),民谷伊右衛門(染五郎).
今回の四谷怪談は,序幕で直助やお袖,お岩,与茂七の因縁を説明し,この物語の骨格をなす忠臣蔵外伝としての位置づけと二幕目以降の展開とを明確に描き出す.
四谷左門が物乞いをし,お袖が地獄(私娼)に出て客を取り,お岩が夜鷹姿で現れる等,この一家がここまで貧窮を極めていることを,改めて認識した.
菊之助のお岩は美しい.これほど美しく官能的なお岩は久しく見なかった.
それに比べると,染五郎の伊右衛門はこのお岩をいたぶる色悪としての凄みがもっとあって良い.
滝野川蛍狩りの場は初めて見たが,実に美しい.夢のはかなさと判りつつも,目を見交わすお岩・伊右衛門の若い姿が胸に迫る.
この後大詰めを経て最後は早変わりの菊之助・与茂七と染五郎・伊右衛門の斬り合いとなり,両者口上となっての幕切れまで,緊張感に満ちた舞台が楽しめた.
終了20:15ごろ.
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