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2013/07/15

独断的映画感想文:ノスタルジア

日記:2013年7月某日
映画「ノスタルジア」を見る.Nostalghia5
1983年.監督:アンドレイ・タルコフスキー.
出演:オレグ・ヤンコフスキー(アンドレイ・ゴルチャコフ),エルランド・ヨセフソン(ドメニコ),デリア・ボッカルド(ドメニコの妻),ドミツィアーナ・ジョルダーノ(エウジェニア).
映画の冒頭,湖か大河を見下ろす緑の丘,霧が流れていくその丘に数名の女性,子供,白馬,犬が佇んでいる.
次のシーンでやはり霧の丘に現れるフォルクスワーゲン,降り立った男女は丘の上の古い僧院を目指す.聖母マリア像に礼拝する多数の女性信徒達.やがて男女はその日の宿に遅く着く.Nostalghia1
各部屋に引き取った二人,男は自分の部屋のベッドに倒れ込むが,浴室から犬が現れベッドの傍らに寄り添う….
男はロシアの詩人アンドレイ・ゴルチャコフ,故国の作曲家サスノフスキーの足跡を追って通訳のエウジェニアと旅を続けている.
冒頭のシーンに現れるのはアンドレイの実家らしく,妻子や犬を含めた故郷のその映像は,その後繰り返し挿入されるNostalghia0
宿泊地の温泉場に犬を連れて現れる老人ドメニコは,かって世界が滅びると信じて家族とともに7年間自宅に立てこもったことがあり,狂人と目されている.
アンドレイはドメニコのもとを訪れ(通訳のエウジェニアは彼に相手にされず怒って帰ってしまった),彼の言葉に強く心を動かされる.Nostalghia3
ろうそくの火を消さずに温泉場を対岸までたどり着いたら世界は救われる,その役を勤めて欲しいとドメニコに言われ,アンドレイはそれを引き受ける.
やがてエウジェニアは彼に抱かれないことを侮辱と考え,職を辞してしまう.一方ドメニコはローマに現れ,ある決死の行動に出る.Nostalghia7a
エウジェニアからそれを知らされたアンドレイは,ドメニコとの約束を果たすべく温泉場に向かったが….
映像美に溢れた散文詩のような映画.その映像は高い精神性に裏打ちされ,緊張感高く目を離すことが出来ない.
タルコフスキー特有の霧におおわれた風景,窓を伝う雨や川の流れの映像の多用に気持ちが癒される.
映画の全体の流れはシンプルで判りやすく,その後に作られる「サクリファイス」との共通性も伺える.Nostalghia9
一見の価値ある映画,見て損はない映画らしい映画.
P.S.ところで映画の中で作曲家サスノフスキーは,亡命先から故国に戻り2年間酒に溺れた後死んだと記述されている.タルコフスキー自身は,この映画撮影後事実上の亡命を宣言するが,2年後「サクリファイス」を完成させた後パリで死去した.
★★★★(★5個が満点)
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