独断的映画感想文:声をかくす人
日記:2013年7月某日
映画「声をかくす人」を見る.
2011年.監督:ロバート・レッドフォード.
出演:ジェームズ・マカヴォイ(フレデリック・エイキン),ロビン・ライト(メアリー・サラット),ケヴィン・クライン(エドウィン・M・スタントン陸軍長官),エヴァン・レイチェル・ウッド(アンナ・サラット),ダニー・ヒューストン(ジョセフ・ホルト総監(検察)),ジャスティン・ロング(ニコラス・ベイカー),アレクシス・ブレデル(サラ),ジョニー・シモンズ(ジョン・サラット),コルム・ミーニイ(デヴィッド・ハンター),トム・ウィルキンソン(リヴァディ・ジョンソン上院議員(元司法長官)).
1865年4月15日,南北戦争でのリー将軍降伏を祝うパーティーに出席していた北軍大尉フレデリックは,暗殺され公邸に運び込まれるリンカーンを目撃する.
暗殺犯の一味は逮捕されたが,陸軍長官スタントンは早期決着を望む世論に従い,容疑者全員を自らの子飼いの部下で固めた軍事法廷で裁くこととする.容疑者の中には逃亡中のジョン・サラットの母メアリーも含まれた.
退役し弁護士に復帰したフレデリックは,敬愛する元司法長官のジョンソン上院議員から,彼女の弁護を頼まれる.
北軍将校として暗殺犯の弁護には気の進まないフレデリックだったが,法と正義を無視して進行する軍事法廷に強く抵抗するようになる.そのフレデリックにも世間の風当たりは強まった….
史実に基づく映画.
メアリー・サラットはアメリカ史上初めて死刑となった女性であるが,この映画を見ればその死刑が,全ての平時の司法システムを強行に覆して無理矢理行われたものであることが明白である.
この映画の意義は,9/11を経た今日のアメリカの状況を見れば,あきらかであろう.「テロ」との戦い,と称すればいかなる不正・不法な政府の行動も是認される状況は,現在に至るまで変わらず続いている.そのことを真正面から取り上げた作品.
ロビン・ライトが今回も見応えある演技.ジェームズ・マカヴォイは無論のこと,ケヴィン・クラインやダニー・ヒューストン等の陸軍・検察側も好演している.
緊張感高く心に残る映画.
但し邦題は意味不明である.何を言いたいのか全く判らず.原題は「THE CONSPIRATOR(共謀者)」で,ごく当たり前の映画どおりの題.
★★★☆(★5個が満点)
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