独断的映画感想文:ヘルプ ~心がつなぐストーリー~
日記:2013年6月某日
映画「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」を見る.
2011年.監督:テイト・テイラー.
出演:エマ・ストーン(スキーター),ヴィオラ・デイヴィス(エイビリーン),オクタヴィア・スペンサー(ミニー),ブライス・ダラス・ハワード(ヒリー),ジェシカ・チャステイン(シーリア),アリソン・ジャネイ(シャーロット),シシー・スペイセク(ミセス・ウォルターズ),シシリー・タイソン(コンスタンティン),メアリー・スティーンバージェン(ミス・スタイン).
1960年代のミシシッピ州ジャクソン.
大学を出て実家に戻ったスターキーは,ジャクソン市の地元新聞に雇われ,家庭欄を担当することになる.家事に疎い彼女は,親友エリザベスの家の黒人メイド,エイビリーンの智恵を借りることにする.
一方実家では彼女を育ててくれた老メイド:コンスタンティンが解雇されていた.ジャクソン市で大人の仲間入りをして暮らすうちに,スターキーは黒人メイドというシステムの持つ抜きがたい差別性に気付いていく.
同級生だったヒリーが黒人メイド専用のトイレを戸外に別に作るべきという法律制定運動に乗り出すに至って,スターキーはエイビリーンにメイドの実状を聞きだし,本を書こうと思い立つが,エイビリーン始め黒人メイド達は,そんなことをしたらこの街で生きていけないと拒絶するのだった….
その家のトイレを使っただけでメイドがクビになり,公然と白人社会を批判する黒人は人前で射殺されていた差別社会ミシシッピ.
この映画はその社会を揺るがした1冊の本の誕生物語であり,白人作家と黒人メイドが勇気をふるって社会と自らを変革した物語である.
主役の3女性-スターキー,エイビリーン,ミニーがいずれも魅力あるキャラクターで俳優も好演.一つ間違えば殺されるという深刻な差別社会を,白人の中にも差別があるという視点も踏まえ,ユーモアも忘れずに描き出した好編である.
本は出版されスターキーは成功しN.Y.に向かうが,エイビリーンはヒリーの圧力でクビを言い渡される.彼女は街の牧師の言う様に敵を愛することは出来なかったが,敵を哀れむことは出来た.
エリザベスの家を去って行くエイビリーンが,メイドではない新しい仕事に向かって歩いて行くラストシーンは,印象的である.
エンドロールの最後で,この映画にミシシッピ州が協力していることに感謝するコメントがある.
映画の中ではその差別性が糾弾されていたミシシッピ州の協力は意外であった.アメリカの市民は歴史をこのように総括しているのかと,感じ入った次第.
★★★★(★5個が満点)
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